深センものがたり 第9回
深センの世にも奇妙な物語 其の2
不思議なスポット
頭の後ろをナニかが飛び回る…虫ではない。気配を感じ振り向くと、チラッと視線をかすめる水色半透明のナニか。親指ぐらいの大きさだ。何度も振り返ると僅かな笑い声が聞こえてくる。”森の妖精“か?
このエリアは羅湖から東へ車で40分の梧桐山風景区の森の小径。筆者は樹木の”気“を求め時々立ち寄る。元気になり気分が高揚するここはパワースポットかもしれない。
この飛び回るナニかを決して捕まえようとせぬ方がいい。”森の妖精“じゃなく”別のモノ“かもしれない。
恐怖の人ダマ
広東省汕頭北東の村に“人魂(ひとだま)”が浮遊する。清朝末期、覇権を狙った軍閥同士の争いで全滅した兵士の魂(たましい)との言い伝え。日本の夏の風物詩人魂は中国にも。
夜道を歩いているとわらわらと無数出現し、囲まれると逃れられなくなり、身体中に無数の打撲痕や切り傷が残るらしい。「夜道は危険だから出歩かぬように」と言う子供への戒めだと、この村の出身者は言うが…。
人を招くSNS
10年ほど前、深センで連続して若者が亡くなった。その頃、世を儚(はかな)んで逝った者たちが”人を招く“との噂話が巷に広まった。どの地にも伝わる都市伝説であろうが、携帯電話に「はやくおいで〜」と見知らぬ者からメッセージを何度も着信したという女性がいた。
このコラムを書くにあたり、その女性にあらためて尋ねようとしたが、番号は別人に、メールはエラー、行方不明状態。果たして彼女はこの世にいるのだろうか…
キョンシー
当地おなじみキャラのキョンシー。香港や台湾の映画出演で有名人(?)。両足を閉じて直立不動(死後硬直?)、両手を前にピョンピョン跳ね、人間を襲うゾンビ系である。恨みを持ちこの世を去った者がキョンシーとして復活する。映画では吸血鬼を演じたが、生物学上や民俗学上の根拠はまったくない。ちなみに、空中を飛べるのはフェイキョンと呼ばれ、咬まれた人間がキョンシーになると棒棒鶏(バンバンジー)と名付けられる。
視力ゼロのくせに自分の姿が映る鏡が嫌いなので、もし運悪く出くわすと、スマホを自撮りモードでかざしてやれば攻撃を防げるはずだ。額に護符を貼り付けると動きも止まるが、日本語の護符は効かないかも。蘇らないためには火葬にすれば問題はない。
仙人現る
中国には大昔から仙人が実在。修行を重ね昇格し、最終的に”天上“(人里離れた辺境の地)に住む。古い書物によると最高位に到達した仙人は尊敬の対象。瞑想して空中浮揚し、金目の物や資産をお供え物で要求する自称”神“のインチキ輩とは異なる。
ちなみに、”天上人間“という熟語、天上は「雲の上」、人間とは「この世」であるが裏の意味が…ここでは書けぬので中国人の友にでも聞いてみれば良い。
街に仙人のような老人がいる。人に近づき「老板、謝謝〜」とつぶやきお椀を差し出す……彼は仙人ではない!仙人モードの俗人である。
深セン在住18年のベテランコンサルタント
宮城 紀生
miyagi@waya.net.cn
深セン華日(ワーヤ)コンサルティング
会社設立・運営、法律相談、会計財務税務
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