雨と花の水無月【コラム:深セン物語】

2023/05/31

深センで徒然(つれづれ)なるままに、、、
徒然(つれづれ)なるとは、思いにふけること

~水無月や 鯛はあれども 塩鯨~
これは松尾芭蕉の句である。
“水無月かぁ、鯛よりもクジラの塩漬けが食べたいな~”
というふうに、庶民は贅沢できない気持ちを表している。
江戸時代はクジラ肉が安く買えた6

水無月
旧暦の6月は水無月(みなづき)である。他の和風月明では、風待月、松風月、伏月、常夏月、鳴神月、鳴雷月、葵(あおい)月、などがある。5

和菓子“水無月”
6月の代表的な和風月名は、「水無月(みなづき)」。和菓子の名前でも有名だ。では、なぜ和菓子にも同じ名前をつけたのか?その由来は、旧暦の6月1日に氷を食べることで、夏バテを予防するという風習から来ている。氷を食べて夏バテ予防を祈願するのは、元々室町時代の宮中で行われていた行事であった。この行事で暑気払いをしていたのだが、当時の庶民は高級品であった氷を入手することは簡単ではなかった。その代わりとして、氷に似たお菓子を食べていたのだ。それが和菓子水無月の始まりらしい。三角形の形は氷のかけらや氷の角を表しており、小豆は邪気払いや悪魔祓いという意味で上にトッピングされているのである。昔は氷をどうやって作っていたのだろう…?2

なぜ雨が多いのに水無月…
6月といえば、雨が降り続く梅雨の時期になる。ではなぜ雨が多い月なのに、水が無い、水無月なのか?旧暦6月は、現在の7月頃。いよいよ梅雨も明け、暑さの厳しい日が続く時期のため、水が涸れ尽きて無くなるという意味の「水無し月」が変化したものだといわれているが、最も有力な説は、田んぼに水を張る月という意味の「水な月」だという説。“な”は“の”という意味の古語で、“無”は当て字というわけらしい。ほかには、田植えも終わって、大事な農作業をすべて、“し終える”月であることから、“皆仕月(みなしづき)”と…、これが変化したという説もあるようだ。1

深センの6月は雨と花…
さて、深センの6月であるが、本格的な夏の季節にあたり、気温は常に30℃を越す暑い日が続く。熱帯雨林化しつつあるといわれるスコールのような豪雨も年々増えており、当然湿度も高い日が続く。曇った日でも紫外線が強いので、肌には要注意7

まさに花の天国である。白蘭花、鳳凰木、紫薇、龍船花、桃金娘、椰子、なかでも、湖や池に生息する“蓮華(はす)”は見事な風景をかもしだすのである。おすすめは、羅湖の洪湖公園だ。広い池にあたり一面、蓮の葉の群衆と花が咲きめぐる光景は、まるで天国にいるような気分である。
まだ行ったことはないが…4そのほかにも大きな公園や梧桐山山麓では、雨上がりになると熱帯植物群が大きく膨らませた“気(パワー)”を吐き出し、まるでモンスターの化身のように覆いかぶさってくるように感じる。

あちらこちらの道路に緑色の自然なトンネルが生まれる…3

この時期は、降り注ぐ太陽と雨のエネルギーを得た植物たちのユートピアであり、これら多くの植物たちが市民の鬱陶しさを吹き飛ばしてくれる、素晴らしい“癒し”になるのである。


宮城 紀生深セン在住22年のベテランコンサルタント
宮城 紀生
miyagi@waya.net.cn
 
 
 
 
 
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