【屯門エリア】路面電車の走る街

2024/04/17
【ヒストリー】交易に欠かせない要害の地

かつて屯門はランタオ島から中国・東莞を含む地域全体の呼称であった。漢代にはすでに塩製品の商業交易のための港町として機能していたが、唐代初期に広州の管轄下に置かれると、湾内に停泊する商船の監視を目的に駐留軍が派遣された。そう、屯門という地名は、軍の駐屯地から由来しているのだ。
傾斜のある山が多く要害の地である点からも、交易港として適していたのだろう。その後も国際貿易における要としてますます栄えた屯門。海賊の取り締まりや海外船舶の監視など治安維持のための軍事的役割はさらに高まっていった。1514年には強制上陸したポルトガル人によって一時占領されたことから、明朝との屯門海戦が勃発。撃破されたポルトガル海軍は屯門から駆逐された。1553年、明朝がマカオでの居住権を彼らに認めたことで最終的に争いは収まり、19世紀半ばまでマカオはポルトガルの租借地となった。
時は大きく流れ1970年代、大幅な人口増加を受け、政府は屯門にもニュータウンの計画を開始、現在では住宅地、商業地域、工業地帯を有する人口50万人以上の大きな街となった。歴史 (1)

 

 

【おすすめスポット】美しい景色の宝庫!

休日は喧騒を忘れてリフレッシュ
ゴールドコースト

黄金海岸日本人の間でもひそかにファンの多い、美しい海岸線がみる者を魅了するゴールドコースト(黄金海岸)。快晴時には対岸にあるランタオ島の大嶼山が望め、香港国際空港を往来する飛行機が上空を飛び交う。夕暮れと日の出の景色もまた絶景で、この時間を狙って訪れる人も多い。海南島の砂をわざわざ運びこんだという美しいビーチでは、ウエディング撮影やビーチバレーを楽しむ香港人や、昼間からビール片手に休日を満喫する陽気な西洋人たちの姿が見られる。

 

 

絶景を撮影するなら香港の松島へ
千島湖

千島湖いくつもの小島が浮かぶ絶景を山から眺めることのできる千島湖。この美しい景色見たさに、ハイキング愛好家ならば必ず赴く場所だ。コースは緩やかで子ども連れの家族にも大人気。地元では手軽なハイキングルートとして知られており、軽装備で山登りを楽しむ人が多く見られる。屯門駅からはミニバス43に乗っておよそ20分、掃管笏村で下車。大欖郊野公園と呼ばれる自然公園の山道を2時間ほど歩くと、千島湖清景台という展望台からこの絶景が堪能できる。

 

 

断崖絶壁!ミニ・グランドキャニオン
良田坳峽谷

IMG_7324のコピーお次は香港のグランドキャニオンをご紹介しよう。通称パイナップル山と呼ばれる良田坳峽谷だ。軽鉄・良景駅近くにある登山口からの急勾配はかなりきついものの、慣れた人であれば1時間半ほどでたどり着く。本場とは雲泥の差ながらも、大自然のスリリングな景色を写真に収めることができるこの場所。さらに海の向こうの深圳をバックにしたサンセットは圧巻のひと言で、太陽が沈むのを狙って夕方ごろから登り始める人も多い。良田坳峽谷

 

 

汚泥処理施設がスパ完備⁉
T・PARK 源・區

T・PARK 源・區ついに有料指定ゴミ袋の購入が義務化されることとなった香港。環境への取り組みを市民の意識レベルから上げていこうと、近年、最新のエコ技術を体感できる施設が増えている。屯門にあるT・PARKは、2016年に誕生した香港初の汚泥処理工場。香港の汚水処理物をそれまでの90%も削減できたという環境配慮社会には重要な施設で、一般の人も処理方法についての見学ツアーや定期的に開催されているワークショップなどが利用できる。しかしなかでも驚きなのは、海を眺めながらゆったりとした時間を過ごせる温水スパ施設。死海のミネラル成分を含んだ水温の異なる3つのプールは、ゴミを焼却する際に発生した熱を利用して温められている。
No. 25 Nim Wan Rd.,Tsang Tsui
www.tpark.hk
※見学ツアー・スパ共に要事前予約

 

 

【絶品グルメ】ローカル美食が堪能できる食堂街!

街市でローカルグルメ食べ歩き
良景市集

良景市集軽鉄・良景駅の目の前にある良景市集は、B級グルメ好きなら毎日でも通えるほどのホットスポット。良景街市に併設された軽食街だが、この市場自体が古い中華建築をテーマにデザインされた新しい内装で、一般的な街市とは一線を画す。各店、気軽に利用できるカウンターのみなので、スナック感覚で食べ歩きを楽しむのもおすすめだ。
Leung King Market, G/F., Leung King Plaza, 31 Tin King Rd.hj

 

 

B級スナックの楽園
龍門居食街

龍門居食街龍門居食街は、コストパフォーマンスの高いスナックフードの楽園として知られている。売られているのは、ほかの地では真似できないほどの価格で提供される地元メシだ。ほとんどの店が家族経営で地域密着型。近隣住民の胃袋を支えるため、中心部よりも安い価格で提供されているのだという。営業時間は通常午後6時から午前1時ごろまでだが、そこはローカルあるある、平日は営業していなかったり突然休む店もある。運に任せて激安ローカルフードを堪能しよう。
Lung Mun Oasis, 43 Lung Mun Rd.g2i

 

 

 

【ゆらゆら揺られて路面電車旅 】ライトレールに乗ろう!

軽鉄1新界西部の屯門、ユンロン(元朗)、ティンソイワイ(天水囲)を結ぶ路面電車は、ライトレール(軽鉄)と呼ばれている。シルバーメタリックボディの軽鉄は都会的なイメージで、同じ路面電車でも香港島を走るクラシックなトラムとは全く異なる雰囲気だ。軽鉄の初路線が開通したのは1988年9月18日。当時は2ルートだけだったが、現在は11路線が設けられている。トラムと比較するとその速度は速く、最高時速70km。そのため高速路面電車との異名も持つ。1両または2両編成で運行されており、1両の定員は120名。各ルートの終点などではループ線を使用して方向転換する様子が見られ、電車好きの人はワクワクすることだろう。軽鉄2 政府の政策により、バス路線は軽鉄路線と競合しない形で設けられているため、この地にバスの運行は少なく、軽鉄は新界西部を結ぶ貴重な交通網となっている。
乗車料金はオクトパスで支払い可能。乗り降りの際、停留所にある小型のリーダーにカードをタッチして支払うことになっているが、駅員がそれを確認することはしない。それゆえ乗車料を払わない不届者がいるため、時折、無賃乗車のチェックも行われているという。もちろんそれに関係なく、料金はちゃんと支払って乗車しよう。
軽鉄の何ともいえないスピード感と心地のよい揺れ、カランカランカランという優しい警笛が、日々の慌ただしい生活とは違う世界へと誘ってくれることだろう。

 

 

 

【屯門住民インタビュー】

Elein会社員 イレインさん
香港生まれ香港育ち。数年前までこの地に住んでおり、現在も家族は屯門在住。

屯門にはいつから住んでいますか?
生まれた時からです。実は私は数年前に中心部に引っ越したのですが、現在も親や姉一家がここで生活しているので、年に何度かある家族の集まりの際は屯門に帰っています。

住み心地はいかがですか?
古い歴史のある街ですが、最近は新しいスポットやショッピングモールなども増えてとても住みやすいですよ!

一押しスポットを教えてください!
青松観ライトレール青松駅のそばにある青松観(チンチュンクン)はいかがでしょう。香港最大規模の道教寺院で観光客にも人気があります。
※日光東照宮を思い起こさせる豪華絢爛な装飾を施した建造物と、その名の通り青々とした松がところどころに植えられた、風情ある中国式庭園を有する。数年にわたる大規模な修復・拡張工事を経て、現在のような美しい姿に。以来人気の観光スポットとなっている。中央に位置する色鮮やかな本殿は2級歴史的建造物に指定されており、北京の故宮博物館から贈られたというランタンが飾られている。また森羅万象を浄化させてくれるという3頭の龍が支える大釜や、門と本殿をつなぐ位置に描かれた陰陽マークなど随所に幸運アイテムが散りばめられており、最強の風水スポットとしても知られている。青松観2

屯門には有名な寺院がもう1つあります。ブルース・リーの代表作、燃えよドラゴンの撮影場所として外国人にも人気の青山禪院(青山寺)です。
※西暦317~420年に建てられた香港三大古寺院のひとつ。もっとも古い記録は1464年の東莞縣誌で、これによれば1600年以上の歴史を持つ同院は、香港仏教の発祥地だそうだ。徒歩で向かうなら、ライトレール青雲駅で下車後「青山古寺」の看板に沿って行こう。敷地内には、燃えよドラゴンの中でブルース・リーが弟子に発した名言、「Don’t think. Feel!」の場面の人型パネルが設置されており、香港映画ファンにはたまらない撮影スポットとなっている。青山禅院

おすすめグルメを教えてください!
三聖墟海鮮市場は、週末になると香港中から人が集まるシーフード街です。新鮮な魚介類をお好みの調理法で食べることができますよ。海鮮街 ※海鮮街といえば西貢を思い浮かべる人も多いだろうが、海に囲まれた香港には海鮮の名所が至るところに点在している。三聖もそんな場所のひとつで、三聖墟海鮮市場の場内やその周辺には、シーフードレストランが数多く存在する。生け簀から食べたい魚を自分で選ぶこともできるが、よく分からなかったりちょっと面倒だという人は、レストランのスタッフに選んでもらおう。
注) ※は編集部補足

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