総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:スポーツの秋に考える

2016/09/27
メディポート

メディポート代表:堀 真

厳しい残暑は過ぎ去り、これから一気に秋の気配が 色濃くなる時季です。まだ日差しは強くても吹く風に 心地よさが増してくるこの季節は、暑さを理由に運動を拒んでいた人であってもつい身体を動かしてみたく なるのではないでしょうか。今年はオリンピックが開催されたこともあり、運動が苦手な人でもスポーツに 対しての関心が高くなったのではないかと思います。日ごろの運動不足を反省しつつ、オリンピックを横目で見ながら、涼しくなったら今年こそは何かスポーツを始めようと計画していた人もあることでしょう。しかし、これまでにまるで運動をしていなかった人が、秋だからといって急にスポーツをしようと力む必要はありません。とにかく歩くだけでも立派な運動です。これを毎日の習慣にできさえすれば、健康上かなりの成果が期待できるはずです。

ところで、運動を自らの意思で行う動物は、当然のことながらヒトだけです。ヒトに最も近いとされるチンパンジーでさえ自分の身体を鍛えるために腹筋運動や腕立て伏せをしたり、ジョギングしたりするなどはありえないことです。そんなことは当たり前だと誰もが反応すると思いますが、ヒトも同じ哺乳動物です。単に同じ哺乳動物というだけでお互いに近い動物というのは少々乱暴な言い方かもしれませんが、生物学的な身体構造から見ても、基本的には同じ仲間であることは明らかです。それではヒトはなぜ健康を維持しようとするとき、運動をしなければいけないのか、その理由をだれもが少し考えてみても良いのかもしれません。

ヒトは進化にともなって、道具を使って狩りをして、より効率的に食料を得ることができるようになりました。そればかりか現代では栽培や養殖までして食料を大量生産する術を得ています。食料を生産するだけではなく、さらに加工してより美味しいものを作るようになったことで、食べることは単なる「欲望」としての食欲を満たすだけのことから、日常生活の中での大きな楽しみにその意味合いが昇華しています。ある程度の経済力が必要であるにしても、好きなものをいくらでも食べることができるようになりました。残念ながらこれが過食を生む原因になっているのです。もちろん例外はありますが、現代において少なくとも運動しなければいけないという人々は、カロリーも栄養も満たされている場合がほとんどです。

さらにヒトは移動するための様々な手段を利用してきました。古くは馬などの動物を移動手段に使っていましたが、現代ではどんな距離であろうと自身の体力を一切使うことなく、超高速で移動できるようになりました。日常生活でも機械化が進み、日常のエネルギー消費量は低下する一方です。つまり食べ過ぎて摂取カロリーが多くなっているにもかかわらず、身体を動かさなければいけない機会が極端に少なくなって肥満傾向を生み、やがて生活習慣病を発症するにいたってしまう。これが典型的な現代人です。

ヒトは進化の過程で、生きていくうえで必要とされる身体運動機能を逆に退化させてしまった動物であり、その部分を少しでも取り戻して機能強化するために強いて運動することが必要になりました。その運動にゲーム性、娯楽性を付加して「スポーツ」を生み出し、生活のためではなく「娯楽としての運動」を楽しむようになったことも、高度に進化したヒトならではのことです。マラソンのように、走る速さや距離を伸ばすことに喜びや楽しさを感じるということも同じです。

話を戻しましょう。気候も良くなったからといって急に運動を始めても、おそらく長続きすることは期待できません。たとえば普段運動していない人が、急にジムに通いだしたところで会費の無駄遣いになることは目に見えています。スポーツウェアや高価なスポーツシューズを買ったところで、おそらく無駄な投資になる可能性が大きいことでしょう。何も形から入ることはなく、はじめからお金をかけることはありません。これまでにスポーツの経験がある人であれば別ですが、中年太りを気にして急に運動しようとしても継続することは至難の業ですから。

とにかく気軽にできることから始めましょう。繰り返しますが基本は歩くことだけです。通勤時間を利用して一駅分歩くだけでも良いのです。革靴でもかまいません。営業の人であれば、普段から革靴で散々歩き回っているのではないでしょうか。短時間でもかまわないので、どのような時であっても少しでも長く歩くことを心がけてください。小さな運動の積み重ねがとても大切です。週末はできればハイキングしましょう。そういうと躊躇してしまう方もあるのかもしれませんが、もちろん街歩きでかまいません。散歩するつもりでショッピングを楽しめば良いのです。早歩きができれば尚良しです。

今の季節は運動を始めるのに最も適している季節であることは間違いありませんが、とにかく無理をしないこと、張り切りすぎないことが大切です。少しでも身体を動かすことを意識することがポイントです。さあ今日からあなたも歩いてみませんか?

メディポート

Pocket
LINEで送る