総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:活用したい健康診断 将来のために

2017/07/14

メディポート代表:堀 真

メディポート代表:堀 眞

春は健康診断の季節。ちょうど今頃から、新規採用者向けに 実施される雇い入れ時の健康診断に合わせて、多くの事業所 は定期健康診断を全職員を対象に実施します。日本は労働安 全衛生法という法律のもとに健康診断の実施を規定している 極めて珍しい国です。個人の健康に関する詳細なデータであ る健診結果は究極のプライバシーであるはずです。このような ものを勤めている事業所が管理することは通常では考えられ ないことですが、これを「悪用されることはない」という性善説 的な感覚で特に問題視することなくほとんどの受診者にも受 け入れられているようです。世界的にも例を見ないこのような 特殊な日本のシステムではありますが、むしろ好ましい形で受 け入れられ運用されているといえるでしょう。この法律には事 業者が健康診断を実施しない場合には罰則規定( 50万円以下 の罰金)までもうけられていることもあって、4月から梅雨明け して本格的な夏を迎えるころまで、どの事業所も健康診断をバ タバタと実施することになります。ちなみに「労働者は、事業主の行う健康診断を受けなければならない」(労働安全衛生法 第6 6 条第5 項)とありますが、これに対する罰則規定はありま せん。

ところで皆さんは健康診断の結果をうまく活用できています か?その結果を受け取っても、とりあえずの健康上の問題があ るかないかを確認するだけで、そのまましまいこんでしまうこ とはありませんか?義務とはいえせっかく受診する健康診断で すから、そこから得られた身体データを自分自身で積極的に活 用したいものです。健康診断には「病気を早期発見する」ことを 第一の目的にするよりも、「将来的な健康度を予測してそれに 対処する( 健康の維持増進を図る) ための基礎資料を得る」とい う目的の方が大きいのです。これを「病気の一次予防」と言いま す。これこそ健康診断を受診する最大の目的であるといえま しょう。もちろん何らかの病気を早期発見して、症状がないうち に治療してしまうという「病気の二次予防」ということも大きな 目的であることに違いありません。普段、何ら症状が無いにも かかわらず病気を疑って医療機関を訪ねることはまずありませ んが、健診の結果によってはこれが大きな動機付けとなって慌 てて医師に相談することにもなります。健康診断を受けたこと によって早期がんが発見できることも決して珍しいことではな く、場合によっては命拾いすることだってあるのです。

さて、急速な高齢化が問題となっている日本では、如何にし て健康寿命と寿命との差を縮めるかが大きな課題となってい ます。日本は長寿社会ではありますが、平均的な寝たきり期間 が先進国の中で飛びぬけて長いのです。いくつになっても日 常の生活は自分自身で何とかやっていける健康長寿を目指す には、循環器系疾患のリスクを極力下げることが大切です。こ れこそ健康診断の主なる目的としてあげられる一次予防なの です。

病気の一次予防を目的とするためにはコレステロール、中性 脂肪、血糖値、そして血圧といったものの検査結果に注目しな ければいけません。発症すると後遺障害が生じる危険性が高 い脳梗塞に罹患するリスクに関 連するこれらの数値を確認しつ つ、その状態を改善したり良好に 保つために、減量あるいは運動し たりするのです。これらの数値は 体重との相関性が高いので、普 段の健康状態( 循環器系疾患のリ スク)の良し悪しのバロメーター として、その変化を追う意味は思 いのほか大きなものと言えます。

たとえ健康診断が強制的なものであったとしても、せっかく 受診して得られた資料はぜひ有効に活用したいものです。当 然のことながら健診を委託する施設も、そのような意味をしっ かりと理解しているところを選びたいものです。

Mediport

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