総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:健康診断結果の見方と利用

2016/03/03

秋もたけなわ、日本では全国津々浦々にいたるまで、今頃は多くの人々が健康診断を受けていることでしょうね。春もそのシーズンですが、例年秋の健診では胃部バリウム検査の受診率が急増します。飲みにくいドロドロの液体を無理やり飲まされる辛さが、中にはトラウマになっているという方もあるようです。こぼしてガウンを汚すと怒られます。バリウムがガウンについてしまうと、それが検査写真に写り込んでしまい、診断に支障が出るので仕方がありませんが、必死に飲んでいるのに、少しこぼしただけも怒られることに不満を感じた人もきっといるはずです。ゲップを抑えこむのも大変ですよね。メディポート

さて、こんな健康診断のシステムが社会的に構築されている国は、おそらく日本だけの特有のものではないでしょうか。健康診断は会社など事業所に対してその実施を法律で義務付けているほか、結果を保管したり、労働基準監督署へ報告したりすることも法的に求めており、罰則規定まで設けられているのです。究極の個人情報でもある健康診断結果がこのように扱われることは、人権意識が高い欧米人から見ると異常なのかもしれません。しかし、日本ではこの制度がしっかりと根付き、さして問題がおきることもなく運用され、活用されています。

ところでせっかく受診できる健康診断を嫌々受けていたり、あるいはその結果を異常あり・なしといった単純な視点で見ていたりするということはないでしょうか? 自身の健康状態を客観的に捉えることができる唯一の機会でもある健康診断を、多くの場合会社の費用で受けさせてもらえるということは、とっても素晴らしいことです。もっともっと自分のために活用して欲しいものです。

その見方をこの紙面で細かく解説することはできませんが、少しだけポイントをチェックしておきたいと思います。第一にあげたいのは基準値についてです。必ずしも基準値イコール正常・適切なレベルとはいえないということを憶えておいてください。これはとっても重要な事です。コレステロール値はもっともわかりやすいものですが、長い間、高コレステロールは心疾患などの原因になるから良くないと「脅されてきた」経緯があって、多くの人がとても気にしているようです。しかし、このコレステロール、日本のある大きな医学会の大規模調査では、基準値の中頃から、その上限よりもやや高めに至る範囲のほうが健康に良いという結果が出ているのです。もちろん喫煙者などほかにリスクが重なる場合は必ずしも当てはまらないのですが、一般に思われているよりも高くても構わないという結果が出ていることは間違いありません。反対に低くても良くないというデータもあり、コレステロールに対する見方をかなり変えなければいけないことになります。

健康診断の結果を見るにあたって考慮しなければいけないことは、基準値だけではなく、平常時の自分自身の「位置」、つまり健康時の自分の数値が基準値に対してどの程度の位置にあるかを把握しておくことが大切です。一度検査を受けるだけではわかりません。何度か受診しているうちにその傾向が把握できますが、できれば検査して得られた数値のことを評価してくれる医師などの専門家から説明を受けられると良いでしょうね。特に循環器系疾患のリスク評価は健康診断の結果を見るにあたっての重要なポイントになります。自分自身でそのリスクを極力低くすることができるので、そのベースとなる健康診断結果はきわめて重要な資料であるといえます。

健康診断は血液検査のみではなく、レントゲンや超音波検査など画像診断が適宜加えられます。これらに関しては自分自身で写真などを見て比較判断できないので、まずは結果に対する医師の指示に必ず従うことが大切。画像診断では確定診断が下せないことが多いので、再検査や精密検査が必要とされた場合には躊躇することなく受診するべきなのです。また写真類は次の年の健康診断の結果が出るまでは、前年度の結果と比較できるよう必ず保管しておいてください。

そろそろ健康診断を受けようと考えている方も多いことと思いますが、せっかく時間とコストをかけて受診するわけですから、その利用価値を最大限に高めて、ぜひ自身の健康維持増進のために活用して欲しいものです。

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