総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:インフルエンザシーズン到来

2016/03/03

秋が深まり、日本では赤や黄の色合いの風景が一気にモノトーンに置き換わる季節です。一方でクリスマスに向けて夜の灯が華やかになり、街も賑やかさを増す時期にもあたりますが、インフルエンザの流行が一気に拡大する時期にも重なります。気温が下がり空気が乾燥する上に、まだ寒さに慣れていない肌が寒気に晒され免疫力が落ちる時期にもあたるのでしょう。さらに閉めきられ暖房が効いた室内は極度に乾燥し、ウイルスが拡散するのに格好の条件が備わることになります。メディポート

インフルエンザのことを、少しきつい風邪だと思っている人が今でも少なくはないようですが、実際はまったく違う感染症です。風邪はウイルスを中心に100種類以上もの病原菌がその原因になります。その感染によって上気道(鼻腔や咽頭など)に炎症をもたらし、喉の痛み、鼻水、鼻づまり、咳、頭痛、軽度の発熱など複合的な症状を呈します。「風邪症候群」です。インフルエンザに比べてずっと症状が軽いものの、原因病原菌が多いために「風邪の治療薬」なるものは存在しません。一方、インフルエンザは悪寒に続いて急激に高熱を発し、関節痛、全身倦怠感などを主症状として発症します。時には脳症や心疾患なども発症するなど高齢者や乳幼児、あるいは糖尿病など基礎疾患を抱える人にとっては命にも関わる重い病気がインフルエンザです。比較的重い感染症ではありますが、タミフルをはじめとする幾つもの抗インフルエンザ薬が開発されており、世界中で使用されて大きな効果をあらわしています。

インフルエンザの患者数は今から急激に増え、年明けころに流行のピークを迎えます。冬休みが終わって子どもたちが集まると校内で一気に患者が増えます。受験生には特に注意が必要な時期ですね。やがて寒さが緩む3月になると徐々に患者数が減り終息に向かうというパターンを毎年繰り返しています。香港などでは日本の流行から半月から1ヶ月ほど遅れるものの、やはり3月までは高い患者発生率が維持されます。感染は急速に拡大するため、学校や職場で一旦流行が始まると終息させるのが非常に困難です。学校であれば休校がもっとも有効な対応手段になります。

インフルエンザは風邪に比べて重篤ですが、早期であれば抗インフルエンザ薬が効果的に作用します。とにかく罹ったかなと思ったら病院直行です。無理して出社していると周囲に簡単に感染を拡大させてしまい、大きな迷惑をかけてしまいます。学校でも同じです。また予防接種に関しても賛否両論あるものの、予防効果があるものとの判断のほうが優勢です。費用対効果、安全性などを総合的に判断すると、予防接種を受けておいたほうが良いと思います。

また季節性インフルエンザとは別に新型インフルエンザについても考えておく必要があります。1900年代初めのスペイン風邪以降、10~40年の周期で新しいインフルエンザウイルスが生まれています。すでに記憶から消えかけているかもしれませんが、2009年の豚由来の新型インフルエンザがその中でも最も新しいものです。今後も周期的に新しいインフルエンザが現れてくることは間違いありません。新型のウイルスは未知であるだけに我々に免疫力はなく、ひとたび流行になれば甚大な被害をもたらす可能性があります。

新型インフルエンザを含めてその予防法は、感染症一般のものと重なる部分が大きいといわれています。第一は手洗い。外からウイルスを家や職場にもちこまないこと。睡眠と適切な栄養摂取が大切だと言われるのは、免疫力の低下を予防するためです。同様に身体を冷やさないようにすること。日本人が好むマスクやうがいは、海外では感染予防効果としての評価はあまり高くはありません。人混みもできる限り避けたいものです。

クリスマスパーティーや忘年会の季節ですね。2次会、3次会と場を重ねてしまうことは、インフルエンザ感染に対して極めて無防備な状態となってしまいます。どうしても必要でなければ一次会で帰宅するほうが無難です。

この冬、インフルエンザウイルスからぜひ逃げ切ってください。もしインフルエンザウイルスに感染してしまったと思ったら、素早く治療を受けること。無理は絶対に禁物です!!!

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