中国の世界遺産「開平望楼」広東省

2014/08/20

開平望楼

「開平望楼」(中国語では「開平望楼」)は、広州から南西約120キロに位置するこの地域独特の建物群だ。2007年の世界遺産登録後、様々なメディアでも取り上げられ、現在では広東省の1大観光地となっている。これから数回に分けて、開平望楼の魅力や特徴、成り立ちなどを紹介していこうと思う。

開平に入ると、道路の両側の村々に、奇妙な建物がポツポツと見えてくる。平地から突きだしたように高く聳え立つ望楼だ。十棟以上も建ち並ぶ村落もあれば、わずか数棟しかない村落もある。縦横数十キロに渡って現れるこの独特な景観、専門家の統計によれば、最盛期には3000棟以上の望楼があったと言われるが、現存するのは1833棟のみ。

望楼は一般の住宅よりも高さがあり、壁は丈夫で厚く、窓は高い位置にあって小さく外側には鉄格子、外敵を防ぐ鉄板の窓と扉が付けられている。別名「華僑洋館」とも言われるように、世界各地に渡った華僑が、それぞれの地の建築芸術設計を持ち帰り造った建物群だ。石、レンガ、版築(土を突き固めてつくる土壁の建築法)、コンクリート、鋼材などを使い、丈夫で耐久性にすぐれたものを建てた。様式も様々で、中国式、中洋折衷式、ローマ式アーチ、アメリカ城塞式、欧米の別荘式、イスラム風ドーム、庭園式など。これら多種多様なスタイルと周囲の農村風景との対比で、得意な光景が生み出されている。

中国世界遺産 開平望楼 中国世界遺産 開平望楼2

望楼を機能ごとに分類すると主に3つに分けられる―「衆楼」、「居楼」、「更楼」だ。「衆楼」は、村全体あるいは数軒の家が共同で建てたもので、緊急時のみ使用する臨時避難場所のような役割。「居楼」は、裕福な人たちが専用に建てたもので、生活及び防御機能を持つ。高層で部屋が広く、生活に必要な施設が完備されている。「更楼」は山賊を見つけるための警備の役割を持ち、主に村の外の丘の上や川岸に建てられた。さて次回は、なぜ華僑たちがこうした望楼を建てることになったのかに焦点を当ててみよう。

Pocket
LINEで送る