香港巷の庶民食「広東粥」

2017/04/12

考えてみれば当然のことだが、数千年前、稲作が始まったと同時に存在する「粥」。香港ではどこの街を歩いてもすぐに「麵・粥」の看板が見つけられるほど、「粥(チョッ)」はとてもポピュラーな「庶民の味」だ。日本の粥に似て比較的サラリとした潮州式の粥もあるが、何と言っても米粒の形がなくなるほどトロトロの糊状に煮込まれた広東スタイルが一般的に香港人に愛されている。細長い揚げパンのような「油条(ヤウティウ)」を一緒に食べるのが定番スタイルだ。

広東粥 2
様々な具材のコラボレーションが楽しめる広東粥の中でも、最も有名なのは「艇仔粥(デンヂャイチョッ)」だろう。イカ、豚皮、牛ミンチ、内臓、レタスの千切りにピーナッツ等が入っている。広州荔湾の人々が船上で粥を作って売ったのが始まりだといわれている。新鮮な材料をたっぷり使った粥は大評判となり広まったという。また、その昔、中国で猛勉強の末みごと科挙の試験に合格した男(一説には明時代の倫文敘、また一説には清時代の林召棠ともいわれる)が好んで食べたということに因んで名づけられた「及第粥(カップダイチョッ)」には、レバー(肝臓)、マメ(腎臓)、ガツ(胃袋)など入っており、栄養たっぷり。縁起を担ぎたい受験生にも人気の粥だ。

広東粥 1
「内臓系はちょっと…」とうい方は「魚片粥(ユーピンチョッ)」(魚の切り身が入っている)や「皮蛋痩肉粥( ペイダーンサウヨッチョッ)」(豚のミンチとピータン入り)などシンプルな具材のものを。総じて比較的安価な粥の中でも低い価格帯で「お粥の入門編」と言っていいかも知れない。また、ちょっとだけ贅沢なものとしては、ワタリガニやエビを具材としたものもある。贅沢とは言っても高級路線に寄り過ぎることなく、甲殻類の旨味が粥全体に染み渡った味わいは日本人の好みにも合うこと間違いない。
広東粥 3
日本の雑誌の「香港特集」などでも紹介され、地味ながらも雲呑麺の名店として知られる「麥明記」。西營盤(サイインプン)のクイーンロード・ウエスト沿いに店を構える同店は、雲呑麺もさることながら粥も美味しい店だ。中でも「蝦球粥(ハーカウチョッ)」は絶品。「蝦球」とはエビのすり身団子のことではない。大振りのエビのむき身がクルっと丸まってゴロゴロ入っているのだ。もちろん食感はプリップリ!しかもただの茹でエビではなく、しっかりと下味がつけてあり、シンプルな広東粥とのバランスが絶妙だ。麥明記に初めて行くなら雲呑麺を、二度目なら蝦球粥をお試しあれ、とオススメしたい。

麥明記(Mak Ming Noodles)
住所:G/F., No.309, Queen’s Rd. West, Sai Ying Pun
電話:(852)2633-2368
時間:10:30~23:00

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