教えて!総経理!第10回【東洋警備(香港)有限公司 岩見 龍馬氏】

2023/08/16

安心を守り続けて38年
香港を熟知した日系警備会社ができることIMG_4515

東洋警備(香港)有限公司
取締役 岩見 龍馬氏

香港が長い方なら「香港柔道館」の名を耳にしたことがあるだろう。1966年に岩見武夫氏によって開設され、50年以上に渡り香港に住む日本人や香港人、欧米人などに柔道の技と心を伝えてきた。厳しくも優しい人格者の武夫氏は2022年に多くの弟子や友人に看取られ永眠。父が築き上げた柔道館(22年閉館)および日系警備会社である東洋警備を継いだのはご子息の龍馬氏である。今回は香港で安全を守り続けて38年の同社についてお話を伺った。

Q:ご経歴をお聞かせください。
A:岩見武夫を父に、香港人の母のもと一人息子として生まれました。幼少期から柔道を始め、柔道館では子どもたちに指導を行っていましたよ。日本語と広東語が飛び交う家庭の中で育ち、日本人中学校を卒業後は、香港のインター校へ、その後は米国と日本の大学へ就学しました。
香港に柔道を広めた第一人者の父の背中を見ながら成長しましたので、柔道はもちろんですが、父が創業した警備会社でも、二人三脚で事業を拡大してまいりました。

Q:主な業務内容を教えてください。
A:日系企業を主な顧客として、住宅、オフィス、学校、店舗、倉庫など、日中や夜間および無人の時間帯の防犯アラームによる安全確保や、ガードマンの派遣を行っております。その他には、ローカル企業をメインに自社の清掃チームが赴きクリーニングや害虫駆除業務も行なっています。弊社は、非常時にガードマンの緊急出動を初めて香港で開始ました。弊社制御室内では24時間対応でモニタリングを行っています。IMG_4524

Q:警備業界のトレンドの変化はありましたか?
A:昔は今ほどアラームの精度がよくなく、虫やペットなどが接近するだけでも誤発動してしまうケースが多かったのですが、現在では機器の感知精度も上がりましたので誤作動は減りました。また香港返還の頃に比べ治安もかなり良くなってきているので、強盗案件数は減りましたが、やはり時代の変遷にかかわらず警備の必要性はありますね。
近年ではコロナの影響でビル清掃業務も増えてきています。時代の変化に伴ってフレキシブルに展開することが大事です。

Q:在香港日本国総領事館や大手銀行など大きな組織を顧客に持つ貴社ですが、強みはどのようなところですか?
A:弊社は日系の警備会社として、香港で38年の実績があります。80~90年代に多くの日系企業が出店を始めた当初から、現在にいたるまで変わらぬことは、堅実な警備にあたることです。香港育ちの私含め、弊社のスタッフは香港の事情を熟知している者ばかりです。主たる警備業務はもちろん、ビル管理業務にいたる様々な情報にも顔が広く、香港に進出される企業のご担当者が安心して業務に専念できるように、役立つ情報をお届けしていますよ。
また、緊急時でも日本語でコミュニケーションを取れるというところも挙げられます。アラームが発動した場合、上述したように弊社のガードマンが駆け付けるだけでなく、必ず日本人スタッフも同行し、警察と共に現場確認をします。言語面でのストレスを感じる必要はございません。

Q:警備はマンパワーが重要だと思いますが、工夫していることはありますか?
A:例えばガードマンの人選では、ライセンス保持者を最低基準とし、勤勉な方を採用するようにしています。近年の情勢で移民が増え、働き手の確保は多くの企業にとって頭を悩ませていることだと思いますが、弊社でも引き続き慎重な採用を心掛け、実習を徹底してまいります。また、ガードマン派遣会社や清掃チームとは、数十年の付き合いがあり、培ってきた信頼関係もございます。広東語で話しかけると気さくに心を開いてくれる香港人とビジネスをするのは面白いですよ。

Q:今後注力されるAI検知システムとはどのようなものですか?
A:はい、弊社は現在までお客様のセキュリティを守る保守的かつ堅実な警備業務を行ってまいりましたが、最新技術であるAI分析検知システムの導入なども検討しています。AIカメラが怪しい動きをしている人物にフォーカスし、モニター室に信号を送り、売り場にいるガードマンへ指令を出すことで、少ない人員で業務効率を上げるメリットがあります。
また、最近試験導入を開始しました「万引き防止用セキュリティゲート」や在庫管理もできる「電子タグ」も取り扱い規模を増やしていく所存です。IT技術を駆使し、ワークフローをスムーズにすることは、人材の減っている香港で今一番求められていることだからです。

Q:日系企業の用心棒として持ち続ける信念とは?
A:上記のように最新技術を追い求める風潮はどの業界でも見られますが、警備の面では人間が持つ勘の部分に頼るところもまだまだ大きいです。それはAIやロボットが防止できない案件が依然としてあることや、事件を防ぐ最終的な手段にはマンパワーが必要となることがあります。弊社ではソフトとハードの両面から体制を整えるよう今後とも精進していく所存です。

銅鑼湾のオフィスにはかつて交流のあった中曾根元首相から送られた直筆の書も飾られている。

銅鑼湾のオフィスにはかつて交流のあった中曾根元首相から送られた直筆の書も飾られている。

1984年、三越オープン当時の同社警備の様子

1984年、三越オープン当時の同社警備の様子

 

東洋警備(香港)有限公司
スクリーンショット (2444)1984年、銅鑼湾SOGOの警備会社として東洋警備は創業した。父の武夫氏が導いた道を、息子の龍馬氏が引き継ぎ、より強固な道へと展開中だ。柔道家であり実業家だった武夫氏のことを龍馬氏は「子どもには甘い父親でした」と語る。
Rooms 1206, East Point Cntre, 555 Hennessy Rd., CWB
(852)2891-0851
http://toyosecurity.com.hk/


教えて!総経理!第11回目  
Unison Manufacturing HK Ltd. 赤星 誠氏
のインタビュー記事は
こちら

 

教えて!総経理!第9回目  
JTB(Hong Kong)Ltd.  増本 斉氏
のインタビュー記事は
こちら
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