建築装飾芸術の集大成「陳家祠(陳氏書院)」広州市荔湾区

2014/11/11

陳家祠

「食は広州にあり」とも言われるが、食べ物以外にも広州には様々な魅力がある。秦の始皇帝が中国を統一し、南海郡番禺県を設置して以来、躍動を続けてきた広州。そのため、歴史的スポットが所々に存在する。今回はその時代を生きた歴史的建造物の一つ、広州市の中山七路にある「陳家祠」を紹介しよう。

「陳家祠」、別名「陳氏書院」は、清の光緒16年〜20年(1890~1894年)にかけて族祠、あるいは書院として建造された。当時の広東省72県の「陳氏」(陳一族)が、彼らの先祖を祀るために創建したと言われている。陳氏はかつて河南省周辺に存在した小国「陳」を発祥とする姓で、紀元前1127年、舜の末裔であった陶器匠・嬀満が周の武王より与えられた土地(現在の河南省淮陽)で建国した。紀元前478年に陳は滅亡したが、「陳」姓を名乗った末裔たちが各地に散り、陳氏となったと言われる。先祖を祀るための「族祠」は、一族の集会や子弟の教育を行なうための「書院」としても使用されていた。

陳氏書院   建築装飾芸術

 入口   建築装飾芸術

陳家祠の魅力はその歴史だけではなく、随所に盛り込まれた建築装飾芸術にある。内部には19の庁堂があり、面積は約8000平方メートル。前院、後院、西院が中庭を挟んで立ち並ぶ、複雑に構成された書院は、伝統的な広東式建築の特徴だ。ここまで保存状態の良い南方様式の建築物は非常に貴重だという。また所々に木彫、石彫、中国独特の建築装飾芸術である磚彫(レンガに彫刻を施したもの)や泥塑(泥を用いて制作した人形)などがあしらわれており、中国でしか見られない建造風景がある。まさしく中国建築芸術の集大成であるといえよう。そのため中国の全国重点文物保護単位、いわゆる重要文化財に指定されており、多くの人々や芸術専門家たちの注目を浴びている。

陳家祠は、現在、東民間工芸博物館として一般に開放されており、内部には陶器、玉器、端渓硯、南方刺繍など、南方を代表する美術工芸品が数多く展示されている。広州の「羊城新八景」の一つに選ばれていることから、週末や祝日になると多くの観光客が訪れるスポットとなっている。中国の歴史的建造物を体感したいと思う方、ぜひ陳家祠へ出かけてみよう!

住所:広州市荔湾区中山七路恩龍里34号
アクセス:地下鉄1号線「陳家祠」駅D出口付近
時間:8:30~17:30
入場料:RMB10(学生、高齢者証明書持参でRMB5割引)

 

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