広東省の世界遺産「開平望楼」注目の4ヵ所
華僑たちの夢が託された開平望楼は、最盛期で3000棟以上が建設されたが、現存するのは1,833棟と3,060の村落だ。このうち三門里村落、錦江里村落、自力村落と方氏灯楼、馬降龍村落の4ヵ所が世界文化遺産に登録されている。観光として訪れるなら、自力村と馬降龍、それに赤坎と立園を合わせた4カ所が比較的回りやすいポイントとして紹介されることが多い。
自力村:村内には9棟の望楼と6棟の西洋式別荘がある。保存が比較的良く、また桃源郷と呼びたくなるほど美しい周辺の景色と見事に融和している。一番最初に建てられたものは「龍勝楼」で1919年、最後のものは「湛盧」で1948年、一番美しいとされるのは「銘石楼」である。自然豊かな蓮池の間に浮かぶ望楼はこれぞ「開平望楼」を思わせる佇いだ。「方氏灯楼」は開平の代表的な更楼で、方氏と華僑集団が共同出資して1920年に建てたものだ。自力村の近くの丘にポツンと建っているすがたが特徴的だ。
馬降龍:ここには7棟の望楼と8棟の古邸宅があり、そして村落の民家が生い茂る竹林と果樹園の中に覆い隠されている。広東省一美しい村と称されているほど景観に優れている。この村にある7階建ての衆楼「天禄楼」は、開平の望楼の中でもきわめて特殊だ。匪賊は跡取りとなる男たちを狙い、拉致し、高額の身代金を脅し取っていた。そこで、村民たちは共同でこの望楼を建て、1階から5階までの29の部屋を、資金を提供した各家に一部屋ずつ分け与えられた。毎日夕食の後、男たちは「天禄楼」に上がって寝泊まりした。そのため、ここに女性が出入りすることは禁止された。他に例を見ない女人禁制の望楼として知られている。馬降龍の望楼の外観が個性的なのは、各建築主がデザインのオリジナル性を重んじたためで、建築中はデザインをまねされないよう覆いをして工事を行ったといわれている。華僑の望楼に対するこだわりが見えてくる。
このように、開平の望楼1つ1つに、それぞれの物語がある。次回、最終回では三門里村落、錦江里村落を紹介しよう。