夏の季節は中国各地で「焼烤(シャオカオ)」が出現
夏を迎えるこの季節、中国各地の街角には”焼烤“(シャオカオ)のお店が出現する。”焼烤“とは「あぶり焼き」「バーベキュー」のことだ。肉や野菜の串焼き、カキや魚などの魚介バーベキューなどじつに様々な食材が焼かれている。毎年6月中頃から9月頃までは”焼烤“の最盛期と言われる。いわば季節商売で単価も決して高くない、これでよく商売やっていけるな〜と不思議に思われたことはないだろうか?実は、地元中国人の間でもそんな疑問があったようで、最近ネット上にある調査報告が掲載された。
それによれば、なんとこの短い三ヶ月の商売期間で約100万元(約2000万円)の粗利を出すというから驚きだ!これで高級車を乗り回せる経営者も少なくないのだとか……。これは少々誇大報告のニオイがするが、”焼烤“が商売として成り立つことは確かなようだ。じつは短期間でかなりの稼ぎになるので始めたらやめられないのだとか……。
では、たくさんある具材の中でより多くの利益をあげられる具材は?逆に消費者の立場からお得感を味わえる具材は何か?
肉類:羊肉の串焼きは”焼烤“界では高級食材の部類に入る。ホクホクの焼肉は串焼きでは永遠の主役と言われる。羊肉の串焼き、肉筋、手羽先、鶏脖(鶏の首)、腰花(腎臓)などはどれも人気のメニューだ。売り手からすると500グラム20〜30元(約400〜600円)の肉とほかの串物を比べると明らかに儲けは少なくなる。例えば、羊肉と羊脂を串刺しにする一般的な羊肉串の場合で見てみよう。羊肉の卸売価格は500グラム22〜24元(約440〜480円)ほど、羊脂は10〜12元(約200〜240円)。これでだいたい35串は焼ける。つまり材料原価は1串1〜1.1元(約20〜22円)だ。販売価格は1串約2〜3元(約40〜60円)なので、粗利率50%ほどなのだ。
野菜類:決して”焼烤“の主役にはならないが野菜類、消費者としては単価が安いのでお得に感じるが、実は売り手にとってはドル箱具材といえる。もし毎日1皿8元のニラ炒めを20皿売り上げたとしよう。一夏3ヶ月営業したとして、このお店は約1800皿のニラ炒めを売り上げたことになる。これだけで1万2千元(約24万円)あまりの粗利をたたき出すことになる。ニラ炒めの場合、1皿250グラムのニラを使用するニラ炒めを8元(約160円)で販売する場合、材料原価は約0.9元(約18円)なので、粗利率は80%以上にもなる。
海鮮:単価は決して安くないが消費者にとって”割に合う“食材が海鮮だ!”焼烤“店では、エビの串焼き5串10元(約200円)、黄蜆子(黄シジミ)500グラム28元(約560円)や白蜆子(白シジミ)500グラム18元(約360円)ほどで提供されている。例えば、芝エビ(青蝦)の原価は5尾5.5〜6元、販売価格は5串10元で、これまであげた中では粗利率が最も低い。単価ではなく原価から見ると、消費者にとって最も”割に合う“食材はエビということになる。
単純に費用のことだけを考えれば、当然、自分で食材を買ってバーベキューするのが最もお得。とはいえ、同じものを食べても場所や雰囲気が違うだけで、味や満足度も違ってくるから不思議だ。多くの中国人にとって夏を感じさせる風景があるからこそ、この商売が成り立つのだろう。