風水の奥義を行く!第93回 壁をとり払う、の巻

2019/11/06

中国で生まれ五千年以上の歴史ある風水。ここでは香港の伝統的な風水をご紹介しながら風水の奥義に迫ります。

◆これまでになかったものを発明する◆

旭化成名誉フェローである吉野彰氏のノーベル化学賞受賞が先月発表されました。彼の開発したリチウムイオン電池は、それまでにはなかった小型で軽量、しかも充電可能な画期的な電池です。この電池は携帯電話やコンピューターには欠かせないものになりました。この電池がデビューするまでにはきっと様々な壁があったことでしょう。これまでの世の中にはなかった何かを発明することはすごいことだと思います。
香港では、遡ること1997年9月にこれまでの世の中にはなかったことが起きました。
Sonyの非接触型ICカードであるFeliCaを「八達通(オクトパスカード)」として活用し、世界のどこよりも早く実用化したのです。八達通がすごいのはその後です。単なる交通系カードとしてだけではなく、企業と企業の壁を乗り越え、これまでの世の中にはなかったことがこのカードによって次々に起こっています。そのおかげで今では八達通さえあればファストフード店での食事も、バスもフェリーも地下鉄も、病院の診察も映画を観るのもスーパーやコンビニでの買い物もこのカードがあれば便利に過ごせます。さらには昨年からSamsung Payで、そしてApple Payでも使用できるようになり、デジタル化された八達通の時代も始まりました。八達通はこれからもっと進化し、これまでになかったことが実現できると思います。

◆壁を造るのは簡単◆

孟意堂はその昔、この八達通に心地良いショックを受けました。企業と企業の壁を取り払うと新しいビジネスが生まれ、これまでになかったことが可能になるのだ、と。
この八達通は、企業と企業の壁を乗り越え、新しいビジネスに取り組み、2018年には年間約10億香港ドルの売り上げと約3.5億香港ドルの営業利益を生むまでに成長しました。その反面、自分の会社の利益だけを考えていたら八達通のような新しい市場は創れません。それによって楽しくビジネスに取り組むこともないでしょう。
「こんなのは前例がない」と周囲から反対され、意味のない壁を壊すどころか新たな壁を造ってしまう。こうした行動を選択するのは楽なことです。それに一人の力だけでは何かを生むことなどできません。これまでの世の中にはなかったことを実現するときに、人は必ずと言っていいほど乗り越えるのが難しく大きな壁にぶつかります。

◆孟意堂風水的三教の奥義◆

難しいことに敢えてチャレンジし壁を壊す取り組みは、今から800年以上前の中国で行われています。宗の時代に活躍した王重陽が開祖の「全真教」という教えでfengshuiす。この「全真教」は、当時すでに長い歴史があり風水にも気功にも関わる道教も、孔子が開いた儒教も、当時人気のあった仏教も全て同じ輪の中にあり活用できるという考え方です。道教で内丹田を鍛えて不老長寿を目指し、儒教によって仁義礼知信を学び、仏教の禅で精神と体を鍛え、磨き、周りの人にも手を差し伸べようよ、いずれもめちゃめちゃありがたい教えなんだからさ、というものです。
この「三教一致」の考え方は香港にも残っています。香港の荃灣にある圓玄学院はその一つです。この圓玄学院は当コラムの第22回で紹介させていただいた風水天地で(参照:http://www.pocketpageweekly.com/life/5894/ )、山の上に立地しているにも関わらず心地良い風が吹き、気持ちの上がるところです。ここには「三教大殿」があり、老子様、孔子様、そしてお釈迦様が祀られ、三つの教えを鍛えることができます。
これまでのフレームワークにとらわれず、それぞれのいいとこ取りをしても矛盾せず、この世の中で活用できる。この考え方が奥底にあるから、世界のどこよりも早く八達通が香港で生まれ、進化していったのではないでしょうか?不要な壁は自分の心の中にも外にも造る必要がないのでは、と思います。


彦坂 久美子
<プロフィール>
名古屋市出身。中国古代からの知恵である風水に魅かれ、著名ブランドが認めた風水師デビッド•ソー先生の弟子として無常派風水に師事。易経を含めた玄学に長年携わり、漢五派第七十三代嫡系・孟意堂として住宅、事務所、店舗等の風水、開業や引越し、結婚等の日取りの選定、四柱推命で人生の様々な問題やニーズに対応している。著書に「金運を引き寄せる孟意堂風水(廣済堂出版)」がある。

孟意堂
<問い合わせ先>
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電話:(852)9841-6366
ファックス:(852)2961-4800
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ホームページ:http://mannidou.com
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公式ブログ https://ameblo.jp/manidou-fengshui

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