これぞ香港通!「戦鬥碗」でビールを飲もう!

2022/08/24

Capture香港人に「こないだ戦鬥碗でビールを飲んだよ」と言うと、おそらくは「こやつ香港を知っとるな」と思われるに違いない。なぜならば、「戦鬥碗」は香港の大排檔のいわば代名詞、ビールを飲むときに使われる碗のことを指す。香港人にとって、大排檔で飲むビールは「藍妹 Blue Girl」であり、そして「戦鬥碗」を使って飲むのが粋な楽しみ方なのだ。

「戦鬥碗」と言えば北角渣華道街市(Java Rd.Market)内2階にある「東寶小館」が発祥と言われる。同店は遅い時間になると大抵席が埋まっているほど、香港人の間でも人気のお店だ。Capture8

また、冷たいものは良くないとする中医の考え方があるにせよ、香港人にとって「冷房がなくてもいいが、藍妹が冷えていないと大問題」なんて言われるほど、ビールの温度は大事らしい(これは日本人も同じ)。気温の高い香港では(特に街市などでは)氷水の入ったカラフルなプラスチックのバケツにビールをたくさん入れ、キンキンに冷やすのが暗黙のルールとなっている。

さて、この「戦鬥碗」はもともと「公鶏碗」から派生したと言われ、その起源は明朝の王族の間で使われていた時代まで遡る。それが清朝になるとその頑丈さゆえに一般庶民のお茶の間でも使用されるようになった。また、鶏は中国人にとって縁起のいいシンボルであり、早朝に鶏が鳴くことを合図に一日の労働が始まり、晩まで一生懸命働くことで家計は潤い、富を成すという意味合いもあったそうだ。Captured

「公鶏碗」は70~80年代に放映された香港映画の中で頻繁に登場し、レトロなものを大切にする時代の流れも手伝って、香港の人々はこぞって自宅用に買い揃えたり、贈り物にする人もいたそうだ。「公鶏碗」を使って食事だけでなく飲み物を飲む習慣はやがて「東寶小館」で「戦鬥碗」でビールを楽しむと言うローカル文化を生み出した。お碗を飲み干すと底に見える「勝」の一文字がブルーカラーの人々の一日の疲れを癒したなんていう説も存在する。Captures

さぁ8月も最終週だがまだまだ暑い夜は、街市の大排檔で、おいしいローカルフードとともにビアガールに注いでもらう碗からくいっと一杯流し込むのはいかがだろう。これで香港駐在の経験値がかなりアップするに違いない。

東寶小館
2/F., Java Rd. Municipal Services Bldg.,
99 Java Rd., North Point
17:30~深夜

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