佐藤製薬日本100周年、香港40周年の歩み

2016/05/30

昨年8月1日、日本で創業100周年を迎え、今年4月1日に香港で創業40周年を迎えたばかりの「佐藤製薬」。日本人にとっては、イメージキャラクターの「サトちゃん」、そして看板商品の「ユンケル」でお馴染みであろう。現在佐藤製薬は、アジアでは香港を始め、シンガポール、上海、台湾に拠点があり、またタイ、マレーシア、インドネシアでも販売を行っている。今後も東南アジア諸国へ展開予定であり、ますますの成長が期待される。
そんな中、現在アジア全体のマーケティングの統括を任されている、丸塚優介ゼネラルマネージャーに日本100年、香港40年の歩みを振り返りながら、これからの佐藤製薬の展開について、お話を伺うことが出来た。

香港での、佐藤製薬の現在の主なラインナップを紹介!
皆さんが良く知っているものから、新たに知るものまで、ここで一度おさらいしてみよう!

ユンケル●ユンケル
言わずと知れた、佐藤製薬の看板商品である滋養強壮剤。疲れた体にこの一本!
1956年に、初めは錠剤タイプとして販売された。名前の由来は、ドイツ語の「JUNKER(貴公子)」に由来。ホルモン、ビタミン、ミネラルなどの成分を配合した働き盛りの男性を応援する総合保健剤として発売。

〈日本でのユンケルの歩み〉
1956年 6月 「ユンケル」錠剤発売
1967年 10月 「ユンケル黄帝液」発売
1979年 初のユンケルCM放映(ガッツ石松)
1985年 タモリ出演のCM放映
1999年 コンビニエンスストア向け「ユンケルローヤルシリーズ」を発売
2001年 2月 ユンケルホームページ開設
2002年 1月 イチロー選手出演のユンケルCM放映
2009年 4月 ユンケルから初となるアルミ缶ボトルの「ユンケルローヤルS」発売
2011年 8月 ユンケル公式Facebookページ開設
2015年 11月 「ユンケル黄帝液プレミアム」発売

ポリベビー
ポリベビー
●ポリベビー

赤ちゃんのオムツかぶれ、あせも、湿疹などに効果的。またステロイド剤が入っていないので、肌の弱い大人も安心して使える。

ナザールナザールナザールナザールナザールナザール
●ナザール

点鼻薬。現在、香港で一番売れている商品がコレ。ラベンダーの香りがする「ナザールラベンダー」も。

つるこうつるこう
●つるこう

ベビースキンケアクリーム。赤ちゃんのほっぺや、口のまわりのカサカサに。また女性のデリケートなお肌にも。

ノアールNノアールNノアール ワンNノアール ワンNノアール ワンNノアール ワンN
●ノアールN

疲れ目や充血に効く目薬。1回使い切りのタイプ(ノアールワンN)や、コンタクトレンズを付けたまま点眼出来るタイプ(ノアールワンティア-α)もある。

●ハクビ(HAKUBI)
ビタミンCの補給に。またシミ、そばかす、日やけなどの色素沈着に優れた効果をあらわす。

●アセス
歯磨き粉。歯槽膿漏、歯肉炎の原因となる「嫌気性菌」にすぐれた抗菌力を発揮して、歯ぐきの出血、腫れ、口臭などを鎮める。

現在、香港ではどれぐらいの商品が販売されていますか?また、その中で売れ筋の商品を教えて下さい。
現在、香港で販売されている商品は約40品目あります。売れ筋としてはナザール(点鼻薬)がダントツで売れています。最近ではポリベビー(軟膏)、つるこう(ベビー用品)など、オムツかぶれ用、もしくは顔に塗るスキンケアクリームが人気が出てきています。また、皮膚用薬のほかにノアールN(目薬)が昔から根強い人気があります。

1976年香港市場進出時と2016年現在を比較して、ターゲットとする顧客など環境に変化はありましたか。
香港進出当時は、個人で経営されている薬局などに伺って、オーダーを頂く形が主流でしたので、購入層としましては高齢者の割合が高かったと思います。ここ数十年で、ドラッグストアのチェーン店が出店し、若者が医薬品を購入する割合が高くなってきました。ここ3~4年ですと、中国大陸側から香港へ、医薬品を購入するために訪れる人々の割合が増えてきました。

日本と香港、また展開しているアジア諸国の法律や文化、習慣による違いについて何かエピソードはありますか?
海外での医薬品販売については、国によって薬事規制が異なるため、必ずしも日本の製品と同じものを販売できるわけではありません。そのため、例えば看板商品である「ユンケル」は日本を始め、現在販売している香港、タイ、台湾で実は成分に若干の違いがあります。しかし、香港で販売しているユンケルも、タイで販売しているユンケルも、その他の国のものも成分の配合を含め、基本は全て日本で製造しており、日本から各国に配送しています。
また、日本ではティッシュペーパーや指人形などの販促物を活用するなど、販売方法の面でも違いが見られますね。

日本での需要と香港での需要を比べて、違いはありますか?
香港及び東南アジア諸国では、体調を整えるためにドリンク剤を飲むという習慣があまりなく、漢方薬などがその役割を果たしていた背景があるため、香港ではなかなか需要が生まれにくいのではと考えています。またドリンク剤ではなく錠剤でないと安心できないという消費者の指向性もあるため、香港で栄養ドリンクを売ることは至難の業なのです。
全般的に言えることですが、日本のやり方がどこでも通用するわけではありません。広告の方法、店頭の展開を含め、現地とバランスを取りながら進めなくてはなりません。今後、香港でも栄養ドリンク剤のカテゴリーが出て来て、その存在が身近になれば、市場が大きくなるかもしれません。
また「つるこう」は、最近、香港で日本製の商品として注目されるようになりました。その結果、香港での人気が起爆剤となって、中国大陸から日本へ購入しに行く人が増えるようになり、最近日本での売り上げも増えてきています。

創業時の1915年から現在にかけて、日本市場においての売れ筋商品の変遷について教えて下さい。
もともと佐藤製薬は、1915年に佐藤幸吉が「佐藤製薬所」として創設しました。1929年に「佐藤製薬合名会社」、1939年に「佐藤製薬株式会社」に社名変更して、現在に至ります。当初は、軟膏が売れ筋商品でした。今や看板商品であるユンケルが最初に発売されたのは1956年ですが、発売当初はなかなか軌道には乗りませんでした。1985年に、中高年男性の強精強壮剤から、疲労回復のドリンク剤へとイメージが定着し、ユンケルは世間に認知されるようになりました。また2002年から当時、米メジャーリーグのマリナーズのイチロー選手(現マーリンズ)が起用され、頑張る前に飲むドリンク剤という新たな訴求でユーザーを拡げています。また現在は、ユンケルを筆頭に、「アセス」という歯槽膿漏薬、かぜ薬「ストナ」に力を入れて販売しています。

香港市場の現状と、今後注目される市場について教えて下さい。
香港でも、最近になって点鼻薬の売り上げも増えてきました。これから期待される新たな市場としては、まだ需要が少ないのですが、健康食品や歯周病などの分野に注目しています。

今後の香港市場、及び東南アジアの展開、目標について聞かせて下さい。
日本と同様に、ユンケルを一つの大きなブランドにしたいというのは、香港及び東南アジア全てにおける目標です。シンガポールにおいても、点鼻薬と目薬と共に、やはりユンケルの認知度とユーザーを更に獲得していきたいです。

佐藤製薬(香港)有限公司丸塚優介さん
ゼネラルマネージャー
丸塚優介
1985年生まれ。千葉県佐倉市出身。2歳から6歳の間は台湾。小学校、中学校を日本で過ごし、高校時代はシンガポールへ。大学は日本へ戻り、専攻は理工学部数学科。大学卒業後、佐藤製薬へ。最初に国内で営業を約3年間経験後、香港には2011年10月より赴任。2013年2月にシンガポールに異動になり、そこから香港、東南アジア地区、また中国の統括も兼任するようになった。日本における役職は海外事業部アジア営業課の課長になる。シンガポール、香港での役職はMD。必然的に出張が多くなる丸塚さんにとって、ユンケルは欠かすことの出来ない一品だという。休日の息抜きはカラオケ。また野球が好きで、オフには自らプレイする事も。

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