コミュニケーション・コンサルタント マクドナルド直子さんにインタビュー
大切なのは、まず自分と相手のコミュニケーション・スタイルを知る事
ビジネスだけでなく普段の生活においても不可欠なコミュニケーションスキル。
コミュニケーション・コンサルタントの直子さんは、娘を育てながら毎月1週間は仕事で日本へ行くというハードなスケジュールの中、3年前には自身の会社を設立するなど、香港を中心にパワフルに活躍している。人一倍の努力とアイディアでどんな壁も乗り越えてきた彼女の人生に迫る―。
コミュニケーション・コンサルタント
マクドナルド直子さんインタビュー
コミュニケーションのコンサルタントとはどの様なお仕事なのでしょうか?
ビジネスに必要なコミュニケーションのスキルをアップさせるためのコンサルタントです。具体的に言うとプレゼンテーションスキル、影響力、説得力、交渉力、文化や価値感の違う人とのコミュニケーション力などです。How toも大切ですがそれよりどうやって信頼関係を築くかに重点を置いています。
コミュニケーションを取る時に相手に影響を与えるのは実は話の内容よりもボディーランゲージの方がずっとウエイトが大きいのです。話の内容7%、声38%、ボディーランゲージ55%といった具合に。以前日本の首相がニューヨークの国連総会で英語でスピーチをしたのですが、話の内容は素晴らしかったのに誰も彼のスピーチに感動しなかった。片やオバマ大統領のスピーチは皆共感を持って聞いていた。何が違ったか、と言えば首相は官僚の書いた原稿をただ読んだだけ。オバマさんのスピーチも同じく原稿を読んだだけですがボディーランゲージや声を意識して話していた。アメリカの大統領になる方は皆コミュニケーションのトレーニングを受けていますのでその違いが明らかに出た、というシチュエーションでした。トレーニングを受けると短い時間で信頼関係を築け、パワーを使わずに影響力や説得力を与える方法を身に付ける事が出来ます。
実は自分が言いたい事を言うのがコミュニケーションでは無く相手が聞きたい事を相手が一番受け入れやすい形で伝える事が大切なのです。まずは自分のコミュニケーション・スタイルを知る事により効果的にそれが行えるようになります。
コミュニケーション・スタイル…ですか?
皆さん話し易い人、話し難い人がいると思うのですが人は大きく分けて4つのスタイルに分ける事が出来ます。この内相手が何処にいるのかが分かるとスムーズにコミュニケーションが取れるようになります。例えばレストランに行った時の注文の仕方まで分かるので面白いですよ。
1.ディレクタータイプの人→直ぐに注文が決まり注文する。
2.パースエイダ―タイプの人→この前食べたあれが美味しかったと勧める。
3.カウンセラータイプの人→人の意見を聞いてからどれにするかよく考える。もしくは他の事を話していてまだ決まっていない。
4.アナリストタイプの人→メニューを隅々まで確認(情報を全部収集)してから決める。
といった具合なのですが、例えばディレクタータイプの人に長いメールを送ってはダメです。逆にアナリストタイプの人は情報を詳しく説明してからの方が同意が得やすい。とこんな風に相手のスタイルまで把握出来る様になると事前に対策を考える事ができ、適切に使い分ける事によってトラブルなく気持ちを分かち合えるようになるのです。
なるほど。ところで香港に来られたのはこのお仕事がきっかけなのですか?
いいえ、日本ではインターナショナルスクールで教師をしていました。香港に来たのはこちらのインター校で日本語を教えるのが目的で、93~97年まで滞在していました。それから2001年までは日本に帰国していたのですが主人の仕事の関係でまた香港に戻って来る事になりました。でも香港に来てから教師をしていたのは最初の2年間だけで、その後はずっとこのコンサルタントの仕事をしています。
教師から転職されたきっかけは?
教師として働いていた学校の校長が、退職してビジネストレーニングをすると言い出し、その時産休だった私に一緒にやらないかと声を掛けて頂いたのがきっかけです。元校長と一緒にトレーニングを受けて私はそれを日本語に直し、日本語を話す人向けにトレーニングをする事になりました。今もその会社には勤務しているのですがそちらは大企業向けなので、もっとアジアで頑張っている人、特に女性を支援したいという思いから3年前に自分の会社を作りました。こちらは個人・中小企業向けの方を対象とさせて頂いています。
産休中に転職されたとなるとお子さんが小さい頃は相当大変だったのでは?
実は妊娠36週、飛行機に乗るのにお医者さんの同伴が必要になる1日前に日本へ行き出産して産後4週目の検診を終えて直ぐ香港に戻ってきました。香港ではヘルパーさんをフルタイムで雇えたのでどうにかなりましたが、娘が1歳半の頃、日本に帰国した時は大変でした。仕事柄1カ月の内1週間は家を空けるのでその間あまりお金を使わずにどう子供を預けるかを考えました。そこで思いついたのが対価交換です。3週は在宅勤務で家に居るのだから、近所のお母さん達とのプレイグループを作る事にしたんです。今週私が子供たちの面倒を7時間見るから7ポイント、次の週この7ポイントを使って他の人に預けるといったふうにしました。このポイント制プレイグループに賛同してくれる人が4~5人集まり1週間家を空けている時の娘の面倒を見て貰える事になりました。
娘が幼稚園に入ってからも送り迎えや放課後交代で子供たちを預かる日が続き結局このプレイグループは香港に戻るまでの4年間続きました。
子育てをする時に目標はありましたか?
成績優秀じゃなくても良いので、コミュニケーション能力、問題解決能力、自己開発能力の3つは身に着けて親元を離れて欲しいと思っていました。現在娘は大学生なのですが、もしも自分たちに何かあっても一人で生きていける様にと18歳になった時にスキーのインストラクターとカナダでライフガードの資格を取得させ就労体験をさせてから出しました。娘には常に、どんな仕事に就いても良いから技術を身に付け自分で生活していける力をつけなさいと言っています。でも大学に入れたら終わりだと思っていた子育てですが結局自分がしてあげたのは道具箱を渡しただけでそれぞれの道具を上手く使いこなすかは本人次第なんですよね。後は自分で頑張って貰うしかないのですが子育てはまだ終わっていないなぁと感じます。
自分の時間は何をして過ごされる事が多いですか?
自分の中にキーワードがあって、それが“バランス”なのですが、仕事、家庭、自分の時間をバランスよく取れる様にと常に考えています。自分の時間には、球技以外の運動なら何でもしますね。これもバランスなのですが一時ヨガに毎日通っていた時期がありました。でも1つだけの事をするのは良くないと気づき、今ではランニング、ジムの自転車、筋トレ、ヨガをバランスよく行うように心がけています。特に40歳を過ぎてからは1日1時間、1週間でトータル7~9時間の運動をするように決めています。週末はカントリーパークを2~3時間、主人と一緒に走ったりしています。
今後の夢や目標をお聞かせ下さい。
仕事に関しては次の世代に繋げて行けたらと考えています。このビジネスは約20年前から続けているんですがまだまだ日本では認識が低いなと感じます。研修では同じお金をかけるならコミュニケーションよりもテクニカルな事に、と考える方が多く日本でのお客様は99%が外資系企業です。でも昨年行われた東京オリンピック招致のプレゼンテーションを見てロジカルに戦略的にやればうまくいくと気づかれた方も多いのではないかと思うので、これから日本でももっとコミュニケーションのトレーニングを受ける方が増えるといいなと思います。仕事面では、今後少しずつ講演も増やしていき一般の方にもコミュニケーションスキルを身に付ける良さを知って貰えたらと思います。個人的な事に関しては元々陶芸が好きなので今年は焼き物も再開したいと思っています。それから私、プチ冒険家なので(笑)まだ行ったことのない場所へ行ったり人がした事がないようなアドベンチャーにチャレンジしていきたいとも思っています。
マクドナルド 直子(マクドナルド なおこ)さんプロフィール
日本語教師からコミュニケーション・コンサルタントに転職。大企業向けのコンサルタント会社に勤めながら3年前に女性支援などを目的に個人・中小企業を対象とした自身の会社も設立。趣味は運動と冒険。香港在住トータル17年で、家族はカナダ人のご主人と19歳の娘さんが1人。
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