日本と香港の未来をつなぐ【領事館・団体インタビュー】

2024/01/17

香港在住の日本人の生活とビジネスを支える強い味方、在香港日本国総領事館、香港日本料理店協会、香港日本人商工会議所にインタビュー。それぞれの活動内容や歴史、今後の展望を伺った。

 

「敷居のない総領事館」を心掛けて
在香港日本国総領事館15

Mr. Okada 岡田健一 総領事より
皆様こんにちは。2021年9月より在香港日本国総領事館の総領事(大使)を務めております岡田健一と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私は1988年に外務省入省後、翌年、香港中文大学の夏季語学コースで研修し、紅磡で2ヶ月暮らしました。その時にはマカオも訪れ、香港とはまた違った風景や文化に強い印象を受けました。そうした思い出もあり、この度再度香港勤務は大変嬉しく存じております。これまでに香港に加えて、北京とボストンで研修した後、北京、上海、台北、ソウル、ワシントンDC、前任地シカゴでの在勤経験がありますが、香港において任務にあたるのは初めてであり、また、香港・中国情勢は大きく変化しているため、微力を尽くして多くのことを学んでいきたいと考えております。皆様から宜しく御指導賜れれば幸いです。

これまでの歴史を教えてください。
当館は1873年(明治6年)4月20日に領事館として開館し、約150年の歴史があります。開設当初は広州、汕頭、瓊州を管轄。1893年には一時閉鎖されていたマニラも担当していましたが、1909年10月に在香港総領事館に改編され(香港、マカオを管轄)、在外自国民の保護や領事・査証事務など香港においての日本の拠点として、戦時中に一時閉鎖された時期を経て現在に至っています。

どのようなサポートを行なっているのでしょうか。
総領事館の任務の一丁目一番地は領事業務と考えております。在香港日本国総領事館は、香港及びマカオを管轄しており、パスポートの発給、在留証明などの各種証明書の発行、出生届などの各種届出の受付等の領事事務を行っているほか、在外公館投票も実施しています。マカオの皆様のためには年4回、領事出張サービスを行っています。
また、香港及びマカオの地域に住んでいる邦人の皆様に安全かつ安心な海外生活をお過ごしいただくために、現地の事件や事故の情報、注意が必要な日時、イベントに関する安全情報などを中心に、タイムリーな情報提供に努めております。香港における対日感情は一般的には極めて良好であるものの、歴史教育の強化を含む愛国主義教育が進められているところ、日本と香港の過去の歴史に関わる記念日については、念のため慎重な言動が望まれるところ、領事メール及び当館ホームページにて注意喚起を行っています。加えて、2023年は、関係企業の参加を得て、在留邦人の皆様と当館との連絡協力体制を強化し、安全情報に関する意見交換を行うために、安全対策連絡協議会を開催しました。
さらに在留邦人の皆様の子女教育のため、日本人学校や日本人補習校への支援にも力を入れており、私自身や当館館員が日本人学校に話をしに行ったり、学校の警備に当館の警備対策官が支援したりしています。

地元の方へ向けた取り組みはありますか?
当館では、香港やマカオの皆様に日本を正しく理解していただき、今以上に日本に対し、親しみをもっていただくための広報文化活動等も行っております。そのひとつとして、当館は、香港の日系コミュニティと協力し、日本の文化やモノ・サービスを積極的に受け入れてくれる香港の人々への感謝を示すとともに、香港の人々に対し日本の魅力をもっと知り、楽しむ機会を提供することを目的として、2016年から「日本秋祭in香港 -魅力再発見-」を開催しております。8回目となった2023年も多くの企業、団体、日本の地方自治体、在留邦人及び香港の方々に御協力いただき、ビクトリア公園で参加者の皆さんと一緒に盆踊りを踊った「踊ろう! 秋祭」や写真と着物展示のコラボレーションイベント等様々なイベントを実施しました。おかげさまで昨年を超す、過去2番目に多い160件近い日本関連イベントが開催され、香港の皆様に楽しんでいただけました。今回ご参加がかなわなかった方、そのようなイベントが開催されたことを、本誌で初めて知った方など、来年は是非ご参加してみてください。総領事2 この場をお借りして御協力いただいた方々、また各イベントにご参加いただいた方々に心から御礼申し上げます。日港関係のためにさまざまな取り組みをされている皆様にあらためて敬意と謝意を表したいと思います。
また、香港の皆様に日本文化をより深く知ってもらうため、学校や様々な文化・スポーツ団体等と協力して、いけばな、茶道、浴衣、着物、風呂敷、折り紙といった様々な体験イベントを実施し参加者からもとても良い反応を得ることができております。最近実施した大型のイベントでは、香港では日本秋祭in香港の認定イベントとして11月~12月に日本映画祭として田中絹代監督の映画をK11の映画館にて6本放映しましたが、多くの香港の方々に楽しんでいただきました。
また、マカオでは大型美術イベント「アートマカオ2023」にて京都館を出展し京都にゆかりのある方の絵画及びデジタルアートを展示したほか、いけばなのワークショップを実施し多くの方に参加いただきました。
このように様々な形の日本文化を伝えることで、より多くの香港やマカオの人々に日本に対する関心を高めてもらいたいと思い、活動を続けてまいります。

今後の課題や取り組みについて教えてください。
2023年8月24日のALPS(アルプス)処理水の海洋放出に伴い、香港政府は同日付で10都県の水産物を輸入停止とする輸入規制強化に踏み切りました。日本政府として当該規制措置の即時撤廃を求めました。香港向け水産物(真珠や加工品などを除く鮮魚などの魚介類)の輸出額は、前年同月比で9月は46.9%減の10億円、10月は38.8%減の12億円と下げ幅は縮小したものの、低迷が続いている状況です。当館では、香港の日本食関係者と定期的に意見交換を行っており、香港における日本食レストランの売上が落ちているという話も聞いています。日本と香港で真面目に働いている日本食関係者の直面しておられる苦境に非常に胸を痛めています。
マカオについても同様に生鮮食品等の輸入規制強化に踏み切ったため、日本政府として当該規制措置の即時撤廃を求めました。
当館として、日本食関係者の話を引き続き真剣に伺い、これを踏まえて、香港及びマカオ政府に対し、引き続き日本産食品の安全性について説明し、輸入規制の即時撤廃を強く求めてまいります。また、香港及びマカオの皆様に安心・安全な品質の高い日本産食品を楽しんでいただきたいと考えており、分かりやすいタイムリーな情報を透明性高く提供していきます。総領事3 香港及びマカオは我が国にとって、緊密な経済関係及び人的交流を有する極めて重要なパートナーであり、自由で開かれた体制が維持され、民主的、安定的に展開していくことが重要です。一方で、日本にとってはかけがえのない宝物である日本と香港、マカオの人々の間の長きにわたる心と心の繋がりが簡単には揺るがないことを願っています。私は総領事として、友情と信頼に基づく日港関係、日マカオ関係を更に深化させ発展させたいと考えております。
当館としては、引き続き「敷居のない総領事館」を心掛けておりますので、日々の生活の中でお困りの点などございましたら、いつでもお気軽に総領事館にご連絡ください。

 

 

日本食に関わる企業をサポート
香港日本料理店協会DSC05244

Himuro san-photo 会長 氷室利夫氏
香港のみならず世界各国で日本料理店・卸売事業を展開する創業21年の「Zen Foods Co., Ltd.」代表取締役会長。2021年には農林水産省「日本食普及の親善大使」に任命され「農林水産大臣賞」も受賞。2020年より同協会現職。

活動内容を教えてください。
主軸は香港における日本料理店の活動をサポートすることです。例えば本年4月から使い捨てプラスチック容器の提供が禁止になりますが、具体的にどのような器が使えなくなるのかなど飲食店の方は戸惑っておられます。このような場合、政府に対応策を掛け合い、毎月開催している定例会で会員の皆さんに説明しています。またこの集まりでは、香港社会でどのような情報が共有されているのかなどもお伝えしています。
加えて、地域社会と日本料理店の橋渡しも主たる活動目的のひとつです。当協会主催で「踊ろう! 秋まつり」というイベントを開催しているのですが、昨年はビクトリアパークに屋台や踊りやぐらを設置し盛大に行いました。そこでは岡田総領事にもご参加いただき、一緒に汗だくになりながら盆踊りを踊っていただきました。DSC05764

協会設立までの背景を教えてください。
本協会は今から45年前、1979年に設立されました。当時、香港の日本食店の間では、レベルの高いシェフやスタッフの奪い合いなどいざこざが絶えなかったそうです。そこで中立的な立場の仲介者が必要だろうということから発足しました。また現在と違って自分で情報を取ることが難しかった時代ですから、情報共有の場としても活動していました。

どのような方が入会されているのですか。
現在約130名の会員を抱えていますが、日本料理店はもちろん、それに関わる人材会社、メディア、保険会社など、会員の方の職種は多岐にわたります。

今後の展望をお聞かせください。
香港の方の日本食への興味や理解は、世界一だと感じています。それはひとえに先人の努力の賜物なのですが、だからこそ我々はさらにそれを発展させなければいけないと思っております。2023年はALPS処理水海洋放出における問題で、香港政府に対する働きかけや地元メディアに向けた正しい知識の発信などを行ってきました。今後もさまざまな問題が起こるとは思いますが、とにかくひとつひとつ丁寧に対応していくしかないと考えています。また先ほどお話した秋まつりですが、今年は1万6千人の方にお越しいただきました。創立50周年となる2029年までには、10万人を超える規模のイベントになることを目指したいと考えています。911/F Sandoz Centre, 178 Texaco Rd., Tsuen Wan
(852)3743-0645
https://hkjra.org

 

 

日系企業が抱える課題解決に尽力
香港日本人商工会議所商工会2

香港日本人商工会議所(HKJCCI)は1969年に設立。現在、正会員482社、準会員66社の合計548社からなる日系社会支援機関だ。

活動目的を教えてください。
1. 提供
刻一刻と変わる香港のビジネス情報を原則日本語で提供しています。具体的にはメールマガジン、部会講演、セミナーなどさまざまな手段により情報発信を行っております。

2. 交流
会員相互交流のみならず、在香港の外国商工会議所、香港総商会(HKGCC)などの地場経済団体、香港の政府系団体等との交流を行い、会員のビジネスネットワーク拡大を図ることも大きな目的のひとつです。

3. 提言
在香港日系企業が抱える課題を解決するために会員のニーズを集約、それを商工会議所名で現地政府等に提言しています。在香港日本国総領事館や外国商工会議所とも連携を図りながら取り組んでいます。商工会1

具体的な活動内容を教えてください。
1. 部会
業界別9つの部会を隔月のペースで実施しています。
①繊維部会
②化学品部会
③環境インフラ部会
④テクノロジー&イノベーション部会
⑤金融部会
⑥運輸保険部会
⑦観光サービス部会
⑧食品・消費財・小売流通部会
⑨企業支援部会

2. セミナー
以下のようなセミナーを定期的に開催しています。
①新春セミナー(アジア経済の回顧と展望)
②香港・中国賃金説明会
③新来港者向けセミナー
④華南・大湾区セミナー
⑤為替動向セミナー

16(852)25776129
jpcham@hkjcci.com.hk
入会に関してはWebサイトからご覧ください。
https://hkjcci.com.hk

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