【香港】労務管理・人材仲介
人材採用後の「雇用契約」、「雇用契約解除」及び雇用解除時に発生する解雇補償金/長期服務金」について
香港の雇用契約は、正社員だけではなく、パートタイムスタッフでも、同一雇用主の下で継続的に4週間以上雇用され、各週で18時間以上勤務する場合は、継続的契約と見なされ、香港の雇用条例が定める「休息日」、「有給休暇」、「傷病手当」、「産前産後休暇」、「父親育児休暇」、「解雇補償金」及び「長期服務金」などを受給できる権利を有します。
雇用契約締結
雇用契約は、労使双方の合意があれば、書面、或いは口頭でも成立しますが、口頭の場合は、合意内容が後日曖昧になりトラブルの原因となるため、書面による契約締結が望ましいです。
雇用契約締結時期は、雇用開始前、或いは雇用開始日が多く、書面による締結の場合、労使双方保有し参照できるように2部作成して、双方1部ずつ保管します。また、口頭による場合、雇用開始前に従業員が雇用主に対して要求すれば、雇用主は、従業員に書面による労働条件を記載した書面通知を渡す必要があります。
労働条件の明示
雇用主は、採用予定者に対して、雇用開始前に下記の条件を提示しなければなりません。
①賃金(基本給、時間外手当やその他手当など)
②賃金の計算期間(締め日、支払い日など)
③雇用契約の解除に必要な予告期間
④年末手当支給ありの場合、金額、按分額及び算定期間
*その他、雇用開始日、職位、試用期間、休日、有給休暇、秘密保持、協業避止義務についても明記しておくことが望ましいでしょう。
雇用契約の期間
契約解除の申し出がない限り、継続的契約である全ての雇用契約は、月々の更新からなる1ヶ月契約となります。
雇用契約解除
予告期間と予告手当
雇用契約は、労使双方共に雇用条例で規定されている予告期間、または予告手当を支払うことで、雇用契約を解除することができます。継続的契約(同一雇用主の下、継続的4週間以上雇用され、週18時間以上勤務)の場合、試用期間を3ヶ月とし、試用期間後の予告期間を1ヶ月とするのが一般的ですが、管理職、専門職、他特別な職位の場合は、労使双方の合意により試用期間を4ヶ月以上、予告期間を2ヶ月以上に設定するケースもあります。
継続的契約の一般的な例として、試用期間を3ヶ月で合意した場合の予告期間と予告手当は、以下となります。

即日雇用契約解除できる条件
(雇用主側から)
・従業員の不正行為、または詐欺行為
・従業員の常習的な職務怠慢
・従業員が合理的な命令に従わない場合
・従業員の素行不良(職場での暴力行為、ハラスメント、違法行為など)
また、従業員も次のいずれかに該当する場合は、予告、予告手当無しに即日退職することができます。
・雇用主による虐待
・雇用主による暴力行為、または、病気により身体が危険な状態となる可能性がある場合
・同一雇用主の下、5年以上継続的に雇用されており、登録医から永久的に現職に適さないと証明された場合
雇用契約解除時の支払金
雇用契約の解除により、支払うべき金額は、下記の項目が含まれます。
・未払いの賃金
・予告手当
・未消化有給休暇分の買取
・年末手当(ダブルペイ)制度を適用している場合、その按分額
・該当する場合、解雇補償金或いは長期服務金の支給
・慰労金、退職金制度を規定している場合、その金額
解雇補償金(Severance Payment) と長期服務金(Long Service Payment)について
整理解雇、または長期勤続者の退職に対し、以下の条件に合致する場合、雇用主は、解雇補償金、及び長期服務金の支給義務が発生します。但し、解雇補償金・長期服務金双方同時に適用することができず、どちらか一方のみの適用となります。
解雇補償金

長期服務金

解雇補償金、長期服務金の計算式
月給制従業員:最終の月間総賃金 X 3分の2 X 勤続年数
*最終の月間総賃金の上限額は、HK$22,500とする。
*受給可能な解雇補償金、長期服務金の最高限度額は、HK$390,000とする。
罰金及び罰則
正当な理由なく、従業員に解雇補償金、長期服務金を支給しなかった場合、以下の罰金、罰則が科せられる。
解雇補償金:最高で罰金HK$50,000
長期服務金:最高で罰金HK$350,000及び3年の 拘禁刑
なお、2025年5月1日付で雇用・退職制度法が改正され、雇用主は、強制拠出により発生した雇用主側のMPF積立額を、この日以降、従業員に対する長期服務金/解雇補償金、の「相殺」に使用することができなくなります。詳細は、労働局のURLをご参照ください。https://www.op.labour.gov.hk/tc/what-is-abolition.html
また、雇用条例の詳細な規定は、労働局の公式ガイドをご参照ください。
https://www.labour.gov.hk/eng/public/ConciseGuide.htm

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スムーズでより良い人材採用を目指して~福利厚生と採用活動の秘訣
人材の流出や人材マーケットの停滞から人材採用が更に難しくなっている昨今、既存スタッフの定着と人材採用時の対応がとても大切になります。この頁では、香港で創業30年の実績を誇る人材紹介会社「Kingsway Personnel Ltd.」が、人材の定着を目指せる福利厚生と人材募集時の秘訣をご紹介いたします。
人材定着と応募増に繋がるより良い福利厚生へ
1. 有給休暇
雇用形態に関係なく、同一雇用主の下で継続的に勤務する場合は、継続的雇用契約(*2026年1月18日より468ルールが新たに施行)と見なされ、有給休暇を付与する義務があります。年次有給休暇には「権利日数」と「取得可能日数」があり、雇用条例の規定通りですと、雇用開始日から1年間は従業員が有給休暇を取得することができず、2年目になって初めて1年目の7日を取得することができます。ただし有給休暇日数は給与の次に人材にリーチしやすい項目ですので、できる限り多めの日数を付与することが非常に有効です。

2.傷病手当と傷病休暇
■傷病手当(Sickness Allowance)
継続的に雇用されている従業員の権利として、雇用条例で定められています。登録医の適正な診断書により「連続4日以上」の取得が必要であることの証明が必要となり、傷病手当の休職期間中の賃金は直前12カ月の平均日給額の5分の4に相当する額となります。
■傷病休暇(Sick Leave)
各企業が任意で設定でき、制度の有無および休暇日数を裁量で決めることが可能です。スタッフに安心して働いてもらう環境作りが人材の定着と新規募集時の採用のしやすさに繋がりますので、傷病休暇を設定されていない企業はこの機会に導入をご検討されることをお勧めいたします。
よりスムーズな人材採用を目指して
1. 募集要項の作成
人材を募集する際にまず必要なのが正確な募集要項の作成です。具体的な担当職務、必要なスキル、そして給与と福利厚生などの採用条件を明確にし、人材エージェントにお伝えください。

2. 面接での注意点
面接とは企業が人材を見極める場であると同時に、人材が会社を見る場でもあります。長く安定して気持ちよく働けそうな職場か、仕事内容が自分にあっているか、良い人間関係を築く事ができそうか等、面接時には人材側からも評価されていることを心にとめられてください。最近は人材不足がより深刻化し、売り手市場が更に加速していますから、面接での対応で人材の興味を惹く事がより良い人材採用の第一歩と言えるかもしれません。
採用面接時に企業が配慮すべきポイント
■差別条例にご注意を!
宗教、性別、年齢、家庭環境、健康状態などで採用選考を行う事は禁止されています。
■会社と担当職務の具体的な説明を!
香港では担当職務の線引きが明確で、越境業務を嫌う傾向があります。面接時に職務内容やチーム構成を伝えることで、入社後の齟齬が減り、定着率が向上する傾向があります。
■面接時、テストやスキルチェックの手間を惜しまない!
必要なスキルの有無を判断する為に、面接時にテストを実施されるのもひとつです。また事前に確認しておくことで、入社後の教育の指標にもなります。
■スピーディーな面接と選考を!
香港では多くの求職者が複数社の選考を同時進行するため、迅速な書類選考・面接・採用決定が不可欠です。

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