【香港】労務管理・人材仲介
進出や運営の心強いサポート
経験豊富な日本人スタッフが担当します
香港BSは、会社設立・ビザ取得・税務会計を主軸業務としながらも幅広いサービス支援がおこなえる総合的なビジネスサポート会社です。豊富な情報力と各分野の専門家スタッフが所属していることから企業だけでなく個人の方の課題解決にも積極的に取り組んでいます。同記事では企業活動の最も大事な人事労務管理について解説します。
香港で従業員を雇用する場合には日本の労働基準法に相当する香港の「雇用条例」を理解し、関連する差別条例や最低賃金条例などの知識を備えている必要があります。各種法令への違反が発覚すると罰金または禁固刑となり、ビジネスに支障をきたす恐れがあるため専門家の意見を取り入れながら人事労務の管理体制を社内で整えておくことが大切です。
賃金支払いは締め日から7日以内
「賃金」とは従業員へ支払われるべき全ての報酬、収入、チップ、サービス料のことを指し、各種手当(出張手当、皆勤手当、コミッション、残業手当)も賃金に含まれます。
従業員の賃金は、祝日や週末に関係なく雇用契約書で定められた賃金計算期間の締め日から7日以内に支払う必要があります。
日本とは違うダブルペイの慣習
また、香港には「ダブルペイ」という旧正月前に1カ月分の給与額を支払う古くからの慣習があり、雇用契約書にダブルペイを記載している場合はそれを支払う必要があります。また、ダブルペイの支払いを採用せずに、会社の業績や従業員の成績に応じたコミッション等、企業独自のボーナス支給を採用することも可能です。
最低賃金について
香港の最低賃金は自給HKD40(2023年5月1日改定)と定められています。フルタイム従業員(正社員)を雇用している場合は、時給ベースで換算した賃金が最低賃金をしたまわってはいけないというルールがあります。そのため、月給がHKD16,300未満の正社員に対しては、労働時間の記録が雇用主に対して義務付けられているため、労務管理を適切におこなうことが必要です。
法定休日や有給・産休について
<法定休日> すべての従業員は下記の法定休日を取得する権利があります。
1. 1月1日
2. 旧暦正月の元日
3. 旧暦正月の2日目
4. 旧曆正月の3日目
5. 清明節
6. 労働節
7. 釈迦の誕生日
8. 端午節
9. 香港成立記念日
10. 中秋節の翌日
11. 国慶節
12. 重陽節
13. 冬至またはクリスマス(雇用主の選択による)
14. クリスマス後の最初の平日
※上記は2024年現在。2026年、2028年、2030年に1日ずつ法定休日が増え、6年後には年17日に増加予定。
<年次有給休暇(有給)> 従業員は継続的契約によって12カ月間雇用された後に年次有給休暇を取得できる権利が付与されます。雇用条例では勤続年数毎に年次有給休暇の最低限の権利日数が定められており、勤続1年で7日間、その後1年毎に1日ずつ増えていき最大14日間まで増加します。年次有給休暇は雇用主が必ず付与と消化を促す必要があるため、有給休暇の管理には注意が必要です。
<産前産後休暇(産休)> 継続的契約に基づいて雇用されている女性従業員が、雇用主に妊娠したことを通知した場合、その女性従業員は連続14週間の産前産後休暇を取得することができます。雇用主は妊娠した従業員を医師の診断書により妊娠していることが確認された日から、産休暇終了後に職場復帰する予定日まで解雇することを禁じられています。
<育児休暇(育休)> 継続的契約に基づいて雇用されている男性従業員が、雇用主に出産予定があることを通知した場合、その男性従業員は最大5日間の育児休暇を取得することができます。雇用主はその男性従業員の配偶者名、出産日、出産予定日等の情報を要求することができます。一方でその男性従業員が、出産予定の子供の実際の父親であることや、配偶者との婚姻状況を雇用主に報告をする義務はないため、申請があった場合は気をつける必要があります。
解雇補償金および長期服務金の受給資格
解雇補償金
継続的契約にもとづき24カ月以上雇用されている場合
長期服務金
継続的契約にもとづき5年以上雇用されている場合
<計算方法>
月給制の場合
(最終の月額賃金x 2/3) x 算定可能な勤続年数
日給制または出来高払いの場合
(解雇直前通常の勤務日30日間の中から、従業員が選択した任意の18日間の合計賃金) x 算定可能な勤続年数
台風や大雨の警報発令時の対応
香港では日本の気象庁にあたる香港天文台から台風や大雨時に警報が発令されます。台風は「シグナル1、3、8、9、10」で風の強さが表され「シグナル8以上」が発令されると、雇用主は従業員に自宅待機や帰宅を指示するのが一般的です。
大雨は「イエロー、レッド、ブラックレイン」で強さが表され「ブラックレイン」が発令されると雇用主は従業員に安全な場所での待機を指示します。シグナル警報発令時の対応は雇用条例には記載がないため、雇用主は従業員に在宅勤務とするのか自宅待機とするのかを事前に示しておくことが人事労務管理をおこなう上で大切です。
雇用や給与に関連する申告書について
人事労務管理の大切な手続きの一つに税務署への報告があります。雇用主は税務署から申告書IR56を取得して毎年4月に前年度(4月1日~3月31日)に支払った給与額や報酬額を申告しなくてはなりません。従業員の雇用や退職時にも税務署への通知が必要です。詳しい手続きは弊社にお問合せください。
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人材紹介会社が解説
優秀な人材を確保するために
2017年の創業以来、日系企業や日本人求職者に向け人材紹介サービスを行っております「e-Job」の高橋です。教育水準が高く国際都市である香港では、優秀な人材に出会えることも多い一方で、その離脱の早さも問題になっています。今回は、採用担当者が気をつけたいポイントについて具体的にみていきましょう。
書面で残すべき「雇用契約書」の締結
香港の労働局が公開している雇用条例ガイドブックの第二章によると、「雇用契約とは、雇用主と被雇用者の間で交わされる雇用条件に関する合意であり、雇用契約は口頭でも書面でも成立する」と説明されています。飲食業界では試用期間中に退職する人材が多いことから、人材を採用しても入社日に雇用契約書を締結しない企業もあるようです。企業としては毎回、雇用契約書を締
結することは手間と感じられるかもしれませんが、口頭での約束の場合、万が一採用者から「入社の際に聞いていたことと違う」などと訴えられるリスクが考えられます。
また、求職者としては明確な雇用条件がないまま勤務することは不安であるため、せっかく適任者が決まっても、雇用契約がないことで入社を辞退されてしまう可能性もあります。企業および採用者が勤務条件を確認し合い、納得した上で勤務してもらうためにも雇用契約書の締結は必要です。
離職率を下げるには魅力的な福利厚生を
香港の景気はまだ完全に回復していませんが、労働市場は引き続き売り手市場と言えます。最近の求職者が希望する転職の条件として特に気にしているのが初年度の有給休暇です。
香港の雇用条例では、「従業員は継続的契約によって12カ月間雇用された後に7日間の年次有給休暇を取得できる権利が付与される」と説明されていますが、求職者にとって初年度から年次有給休暇を取得できないのは問題外であり、初年度から7日間は最低限として、最近は10日間以上の有給休暇を希望する求職者も増えているように見受けられます。日系企業は非日系企業に比べると給与水準は高くないため、企業側は優秀な人材を獲得するために初年度の有給休暇を増やして福利厚生を魅力的にし、職場環境を改善するなどして、離職率を下げる工夫が必要と思われます。
<福利厚生例>
上記の他にもさまざまな休暇を設け、従業員のモチベーションをアップさせている企業も多くあります。ご参考にしてください。
バースデー休暇
ランチ手当
社外研修手当
家族の医療保険
学費の補助
弊社では「人と人のベストマッチング」をモットーとしています。人材をお探しの際はぜひご用命ください。
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