【香港】労務管理・人材仲介

2025/05/01

人材採用後の「雇用契約」、「雇用契約解除」及び雇用解除時に発生する解雇補償金/長期服務金」について

香港の雇用契約は、正社員だけではなく、パートタイムスタッフでも、同一雇用主の下で継続的に4週間以上雇用され、各週で18時間以上勤務する場合は、継続的契約と見なされ、香港の雇用条例が定める「休息日」、「有給休暇」、「傷病手当」、「産前産後休暇」、「父親育児休暇」、「解雇補償金」及び「長期服務金」などを受給できる権利を有します。

 

雇用契約締結


雇用契約は、労使双方の合意があれば、書面、或いは口頭でも成立しますが、口頭の場合は、合意内容が後日曖昧になりトラブルの原因となるため、書面による契約締結が望ましいです。
雇用契約締結時期は、雇用開始前、或いは雇用開始日が多く、書面による締結の場合、労使双方保有し参照できるように2部作成して、双方1部ずつ保管します。また、口頭による場合、雇用開始前に従業員が雇用主に対して要求すれば、雇用主は、従業員に書面による労働条件を記載した書面通知を渡す必要があります。

労働条件の明示
雇用主は、採用予定者に対して、雇用開始前に下記の条件を提示しなければなりません。

①賃金(基本給、時間外手当やその他手当など)
②賃金の計算期間(締め日、支払い日など)
③雇用契約の解除に必要な予告期間
④年末手当支給ありの場合、金額、按分額及び算定期間
*その他、雇用開始日、職位、試用期間、休日、有給休暇、秘密保持、協業避止義務についても明記しておくことが望ましいでしょう。

雇用契約の期間
契約解除の申し出がない限り、継続的契約である全ての雇用契約は、月々の更新からなる1ヶ月契約となります。

 

雇用契約解除

予告期間と予告手当
雇用契約は、労使双方共に雇用条例で規定されている予告期間、または予告手当を支払うことで、雇用契約を解除することができます。継続的契約(同一雇用主の下、継続的4週間以上雇用され、週18時間以上勤務)の場合、試用期間を3ヶ月とし、試用期間後の予告期間を1ヶ月とするのが一般的ですが、管理職、専門職、他特別な職位の場合は、労使双方の合意により試用期間を4ヶ月以上、予告期間を2ヶ月以上に設定するケースもあります。

継続的契約の一般的な例として、試用期間を3ヶ月で合意した場合の予告期間と予告手当は、以下となります。

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即日雇用契約解除できる条件
(雇用主側から)
・従業員の不正行為、または詐欺行為
・従業員の常習的な職務怠慢
・従業員が合理的な命令に従わない場合
・従業員の素行不良(職場での暴力行為、ハラスメント、違法行為など)

また、従業員も次のいずれかに該当する場合は、予告、予告手当無しに即日退職することができます。
・雇用主による虐待
・雇用主による暴力行為、または、病気により身体が危険な状態となる可能性がある場合
・同一雇用主の下、5年以上継続的に雇用されており、登録医から永久的に現職に適さないと証明された場合

雇用契約解除時の支払金
雇用契約の解除により、支払うべき金額は、下記の項目が含まれます。

・未払いの賃金
・予告手当
・未消化有給休暇分の買取
・年末手当(ダブルペイ)制度を適用している場合、その按分額
・該当する場合、解雇補償金或いは長期服務金の支給
・慰労金、退職金制度を規定している場合、その金額

 

解雇補償金(Severance Payment) と長期服務金(Long Service Payment)について

整理解雇、または長期勤続者の退職に対し、以下の条件に合致する場合、雇用主は、解雇補償金、及び長期服務金の支給義務が発生します。但し、解雇補償金・長期服務金双方同時に適用することができず、どちらか一方のみの適用となります。

解雇補償金

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長期服務金

 

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解雇補償金、長期服務金の計算式

月給制従業員:最終の月間総賃金 X 3分の2 X 勤続年数

*最終の月間総賃金の上限額は、HK$22,500とする。
*受給可能な解雇補償金、長期服務金の最高限度額は、HK$390,000とする。

罰金及び罰則
正当な理由なく、従業員に解雇補償金、長期服務金を支給しなかった場合、以下の罰金、罰則が科せられる。

解雇補償金:最高で罰金HK$50,000
長期服務金:最高で罰金HK$350,000及び3年の 拘禁刑

なお、2025年5月1日付で雇用・退職制度法が改正され、雇用主は、強制拠出により発生した雇用主側のMPF積立額を、この日以降、従業員に対する長期服務金/解雇補償金、の「相殺」に使用することができなくなります。詳細は、労働局のURLをご参照ください。https://www.op.labour.gov.hk/tc/what-is-abolition.html

また、雇用条例の詳細な規定は、労働局の公式ガイドをご参照ください。
https://www.labour.gov.hk/eng/public/ConciseGuide.htm

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スムーズでより良い人材採用を目指して~福利厚生と採用活動の秘訣

人材の流出や人材マーケットの停滞から人材採用が更に難しくなっている昨今、既存スタッフの定着と人材採用時の対応がとても大切になります。そこで人材の定着を目指せるような福利厚生と人材募集時のお手伝いになるような秘訣を少しご紹介いたします。

 

既存スタッフの定着と応募者が集まるようなより良い福利厚生を目指して

1. 有給休暇
正社員やパートタイムスタッフといった雇用形態に関係なく、同一雇用主の下で継続的に4週間以上雇用され、週18時間以上勤務する場合は継続的雇用契約と見なされ、有給休暇を付与する義務があります。雇用条例が定める年次有給休暇の付与日数は下表の通りです。雇用開始日から1年目と2年目は7日、3年目以降は1日ずつ加算され、9年目以降は最高の14日が付与されます。

年次有給休暇の考え方には、「権利日数」と「取得可能日数」があります。雇用条例の規定通りですと、雇用開始日から1年間は従業員が有給休暇を取得することができず、2年目になって初めて1年目の7日を取得することができます。

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雇用条例通りの有給日数では、応募者を集めるのが難しい傾向にあります。人材紹介会社の立場からは、出来る限り多めの日数は非常に有効と常々感じています。有給休暇日数は給与の次に人材にリーチしやすい項目です。既存スタッフの有給休暇日数の底上げが出来れば、人材の定着も図れる事でしょう。

 

2. 傷病手当(SicknessAllowance)と傷病休暇(Sick Leave)

香港では雇用条例に規定されている「傷病手当(SicknessAllowance)」と従業員の福利厚生の一環として導入している「傷病休暇(Sick Leave)」があります。

■傷病手当(Sickness Allowance)
傷病手当(Sickness Allowance)は継続的に雇用されている従業員の権利として、雇用条例で定められています。登録医の適正な診断書により「連続4日以上」の取得が必要であることの証明が必要となり、傷病手当の休職期間中の賃金は直前12ヶ月の平均日給額の5分の4に相当する額となります。

■傷病休暇(Sick Leave)
傷病休暇は、香港の雇用条例で定められている傷病手当(Sickness Allowance)とは異なるため、各企業で任意で設定でき、制度の有無、および休暇日数を裁量で決めることが可能です。

有給休暇同様、雇用条例通り傷病休暇を設けていない企業は、新たに人材を募集する際に応募者が集まらず苦労をされるケースをよく目にします。スタッフに安心して働いてもらう環境作りが人材の定着と新規募集時の採用のし易さに繋がりますので、傷病休暇を設定されていない企業はこの機会に導入をご検討されることをお勧めいたします。

 

よりスムーズな人材採用を目指して

1. 募集要項の作成
まず人材を募集する際に必要なのが正確な募集要項の作成です。具体的な担当職務、必要なスキル、そして給与と福利厚生など採用条件をクリアにし、人材エージェントにお伝えください。ここで大切なのは、必要なスキルと職務を具体的に我々にお伝え頂くことです。もし経験職務やスキルを満たす人材が少ない場合などは、我々コンサルタントから人材募集をスムーズに進める為のアドバイスをお伝えもできますし、スピードよりも精度を重視される事もあると思いますので、その辺の塩梅を伺いながら貴社にとってベストな人材採用をご提案させて頂いております。

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2. 面接での注意点
面接とは企業が人材を見極める場であると同時に、人材が会社を見る場でもあります。長く安定して気持ちよく働けそうな職場か、仕事内容が自分にあっているか、良い人間関係を築く事ができそうか等、面接時には人材側からも評価されていることを心にとめられてください。最近は人材不足がより深刻化し、売り手市場が更に加速していますから、面接での対応で人材の興味を惹く事がより良い人材採用の第一歩と言えるかもしれません。

■差別条例にご注意を!
香港では1996年に平等機会委員会という法定機関が設立され、性別、婚姻状況、妊娠、身体障害、家族状況、人種などの理由による差別の排除に努めています。そしてそれら各項目に差別条例があり、宗教、性別、年齢や家庭環境、健康状態などで採用選考を行う事は禁止されていますので、差別条例に抵触する恐れのある内容については、面接時にお気をつけください。

■会社と担当職務の具体的な説明を!
我々エージェントからも人材に伝えていますが、より詳しい職務説明やチーム構成などを面接でお伝え頂く方が、入社してからの齟齬が少なくなり、人材の定着率が高くなる傾向にあります。香港では日本よりも各人の担当職務の線引きが明確で、そこを越えての仕事を嫌う事が多々あります。面接では、入社後に担当する職務についてお互いの同意を得る場と考えて頂き、詳しくご説明をくだされば幸いです。

■面接時、テストやスキルチェックの手間を惜しまない!
例えばExcel使用のレベルや日本語でのメール作成のレベルなどはCVや口頭面接では判断しかねるものです。CVに書いている事を信用して良いのか、どこまでの知識があるかなど面接時に口頭で確認をしても不安は残るでしょう。そこで必要なスキルの有無を判断する為に、面接時にテストを実施されるのも一つの手だと思います。面接時の「できる」が実際は違っていて、それが理由で離職や解雇となるケースも耳にします。それならテストや確認を事前に行うことで、その不安を少しでも払拭できますし、入社後の教育の指標にもなるのではないでしょうか。

■スピーディーな面接と選考を!
日本のように採用にじっくりと時間をかけてしまうと、香港では内定通知を出した時点で手遅れ、という事が多々あります。人材不足の中、多くの企業が人材確保に躍起になっています。そこで迅速な書類選考と面接の実施は必須とお考えください。そして採用を決定されるなら、こちらもお早めに決断される方が良いでしょう。転職活動を活発にされている人材がほとんどなので、数社の選考が同時進行しています。そこで出遅れてしまうと採用するチャンスを逃してしまう事になりますので、そうならないよう迅速なご選考をお勧め致します。

 

NACS KINGSWAY HUMAN RESOURSES

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