総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:新型コロナとインフルエンザ

2022/11/23

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毎冬の恒例だったインフルエンザの流行が、前期、前々期ともに2年連続でまったくありませんでした。ある年の流行レベルが低いことはあっても、2年も連続して流行を経験しなかったというのは奇跡的だったといっても決して言い過ぎではありません。この期間は新型コロナの流行に重なり、世界中で厳しく行動制限が課されてきました。ヒトとヒトが近接する機会がとても少なく、外出時にはマスクを必ず着用していました。流行をきっかけに頻繁な手洗いや手指消毒が一般的な習慣になりました。ウイルスの側にしてみると、自分達が感染拡大するにはとても劣悪な環境だったはずです。新型コロナ流行前までは、今頃の時期になるとインフルエンザ感染者数が急に増えてきたものですが、そんなニュースは今年もなく、インフルエンザのことをすっかり忘れてしまっている人もいるようです。しかし今年は状況が少々異なります。もちろん今期も流行が来ないのかもしれませんが、そろそろかつての大流行を思い出して警戒しておいた方が良さそうです。

インフルエンザの再流行懸念
これまで人々は新型コロナウイルスのことだけを考えてその予防に一丸となって戦ってきました。その結果、大きな犠牲を払いながらもその流行は世界的に抑制に向かい、多くの国で行動制限が大幅に緩和されてきています。人々は徐々に元の生活を取り戻しつつあり、社会に明るさが戻ってきました。皮肉なことにこれはインフルエンザウイルスにとって極めて好都合であり、活動しやすい環境になりつつあることを意味します。人々はマスクを外し、これまでよりも近い距離で接触するようになってきました。インフルエンザウイルスは動物の細胞を利用しないと自身を複製増殖できません。その体内で増えたウイルスは咳やくしゃみにより飛び出して近くの人に侵入し、新しい感染者(宿主)を利用してさらに増殖します。マスクがなければインフルエンザの感染急拡大が容易に起こる可能性が大きいのです。ただし、これはマスクを着用しなかったり、ヒトとヒトとの距離が縮まったりすることだけが原因ではなく、私たちのインフルエンザに対する防護力が低下していることも大きな理由となります。長期にわたってインフルエンザの感染を受けていない体内には、その抗体が残っていないか、たとえ残っていたとしても抗体価はとても低くなっている可能性が考えられます。特に生まれて2~3年の小さな子供は、これまでに一度もインフルエンザウイルスに感染したことがなく、抗体がゼロである可能性があるので特段の注意が必要です。

流行が重なる危険性
世界的に新型コロナウイルスの流行が落ち着いてきているとはいえ終息の目途がついたわけではなく、時として大きな流行の山ができるなど気を許せない状況が続いています。今後も変異株などの登場でいつ世界的な感染拡大が再燃するか正確な予想は難しい状況です。そこで懸念されるのがインフルエンザとの同時流行です。昨年も秋口になると、新型コロナとインフルエンザの流行が重なるのではないかとの憶測が示されました。どちらも基本的に発熱を伴う感染症であり医療機関における初期診断が難しいことから、その現場に大きな混乱をもたらす危険性が指摘されています。基本的に一般の病院等では発熱患者の受付はしていませんが、どちらも発症が必ずしも発熱から始まるわけではなく、より慎重な現場対応が求められます。またインフルエンザの流行が起きれば、当然のことながら新型コロナと重複感染した患者(フルロナ)が現れる可能性があり、どちらも呼吸器疾患であることから病気がより深刻なものになる懸念が生じます。

甘く見ないこと
日本への入国制限が大幅に緩和されたこと、香港に戻った際のホテル隔離がなくなったことで一時帰国する日本人や、香港人の日本への旅行者数が激増しています。新型コロナに対しての警戒感が世界的に緩んできているのは間違いありません。新型コロナはインフルエンザと同程度の感染症だと認識する人も増えていますし、日本では感染症分類において2類相当の扱いからインフルエンザと同じ5類に引き下げるという議論も起きており、新型コロナに関する見方や受け止め方が変わってきているのは確かです。しかし、甘く見てはいけません。複数回ワクチン接種を受けても感染を確実に予防できる保障はなく、個人差が大きいとはいえその後遺症も決して軽視できないからです。
早くマスクから解放されたい、いかなる行動制限もない普通の日常に戻りたいという気持ちが日ごとに高まっています。しかし、あせりは禁物です。自身の行動に関しては、流行の様子やウイルスの性質、あるいは治療技術などの情報を収集し、個人としての行動制限を緩めるべきかどうかを慎重に判断して欲しいものです。甘く見ていて感染し、思わぬ後遺症に悩まされている人が少なくありません。今後新型コロナウイルスが消滅する可能性はほぼありません。今は、このウイルスといかに共存していくかを考える時期でもあります。
このPPWが発行される頃、日本は第8波の中にあるのかもしれません。帰国に際しては十分な注意が必要です。


堀様1藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


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