近いけれどこんなに違う 「広州」vs 「深セン」言語、文化、料理など

2016/01/18

広州vs深セン広州と深圳、2つの都市は地理的には近い。車なら1時間ちょっと、高速鉄道なら約30分で着いてしまう。共に広東経済の牽引役であり、人の群がる大都市だ。しかし、この2つの都市には大きな違いがあるという。各カテゴリーごとの違いを分析したローカル情報を見てみよう。多少盛っている部分や偏った内容もあるが、この2つの都市のイメージの違いははっきり見えてくる。

 言語

深圳:深圳には四方から人々が集まっており、北方人の割合も少なくない。56民族、少なくとも56種類の言語(方言)が存在していることになる。そのため自分の母語で話していてはコミュニケーションが取れない。必然的に普通話が広く使われる。

広州: 広州で生まれ育った人も少なくない。また広東省各地から移り住んできた人々の割り合いも多い。そのため、地元広東語(粵語)の言語文化が根付いている。普通話が普及しているとはいえ、多くの場所で主に広東語が話されている。

文化広州vs深セン 2

深圳:人々が移り住んでできた深圳の文化は“海納百川”(すべてを受け止め取り込んでしまう)のが特徴。深圳人に特別な帰属意識がないといわれる。急速に発展した新しい都市の特徴であるベンチャー精神が異彩を放つ。

広州:広州は、紀元前214年頃から現在まで千年以上の歴史があり、独自の嶺南文化を育んできた。嶺南画派(嶺南絵画)、嶺南園林(嶺南庭園)、広東音楽、粵劇、これら広東を代表する文化が集結しているのが広州である。

朝食

深圳:人によっては朝から昼まで茶楼でゆっくりする広州人とは真逆なのが深圳人。深圳人の朝食は慌ただしく、形式もまちまち。腸粉、米粉、包子、面条、烙餅など、通勤途中に手当たり次第見つけたものを頬張る。もしくは朝食抜きということも。生活リズムが早い深圳を象徴する風景。

広州:朝、家族みんなでお茶をゆっくり味わう“嘆早茶”という習慣がある。新聞片手に茶楼(茶居)に集いお茶をたのみ、幾つかの点心をつまみながら、居合わせた茶友とおしゃべりする。単に空腹を満たすためだけではなく、情報交換や仕事の話をする社交の場となっている。

料理

深圳:深圳では、四川料理、湖南料理、浙江料理、山東料理、全国津々浦々ありとあらゆる料理の店が揃う。どこの出身であろうと、必ずや口に合う料理が見つかるのが深圳の特徴。

広州:広州には、各地の料理があるとはいえ、やはり好まれるのは地元の粤菜(広東料理、狭義では広州料理)。広州人なら毎日粤菜でも問題ない。広東料理の老舗もたくさんある。

飲み物広東省のお茶

深圳:深圳人はカフェに入ってコーヒやミルクティーを注文し本を読んだり、友だちと一緒にビールで午後のひとときを過ごすのが好き。(もちろん煲湯が好きな人もいるが、コーヒーやミルクティーを選ぶ人が多い)

広州:広州人には伝統の「煲湯」というスープ作りが欠かせない。広州人の多くの家庭では煲湯が日課となっている。そして中国の他の地域ではあまり見られない「糖水」(デザートとして出される甘くて温かいスープ)も好まれている。

大学

深圳:深圳は第一線の都市でありながら、本科大学は深圳大学と南方科技大学があるのみ。

広州:広州には本科大学が山ほどある。中山大学、華南理工大学、曁南大学、広州大学、広東工業大学、広州医科大学など。

週末の過ごし方広東省のスープ
深圳:街をぶらぶらしたり、人のあふれるビーチに遊びに行くことは少ない。まるで週末などないかのように過ごしている。

広州:広州人は暇な時、街をぶらぶらしたり、トランプや麻雀や象棋などのテーブルゲームをして過ごす。

建造物

深圳:深圳は新しい都市なので、コンクリートジャングルと化している。特に福田区と南山区はビルが建ち並び、夜でも光が溢れている。

広州:歴史的建造物や風景が残っている。お年寄りたちが番勝負をしていたり、籠の中の鳥をあやしていたり、犬を散歩させていたり、生活の息吹を感じられる。

住宅事情

深圳:2,000元では郊外の家具・家電なしの1Rぐらいしか借りられない。

広州:市区内で30平米1LDKが2,000元で借りられることもまだまれにある。

環境

深圳:平均空気質指数が25前後。中国全土の中でも空気がきれいで、青い空、遠くまで澄んだ風景を望める。広東省のお皿

広州:平均空気質指数(AQI)は50前後。中国の北方と比べればまだ良い方だが、きれいとはいえない。

 ここに書かれているのは傾向やイメージであって、その都市のすべてを表しているわけではない。とはいえ、距離が近くても広州と深圳それぞれに個性があることは確かだ。同じ広東省という地理条件だけでひとくくりにしてしまうことができないようだ。

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