広東省の言葉事情は多種多様

2014/10/28

広東語

広い中国では実に多様な言語が使われている。モンゴル語やチベット語、ウイグル語など、明らかに異なる言語もあれば、同じ漢字を使う「中国語」というカテゴリーの中でもかなりの多様性がある。たとえば広東省では、広東語のほかにもたくさんの言葉が話されている。

広東語についてもう少し説明させてもらおう。広東語は中国語の主要言語グループの1つで、粵語(yue-yu)とも呼ばれ、広東省の人は白話(bai-hua)という。広東省、香港と澳門などで広く使われており、海外に住む華僑も広東語を母語としている人が多い。特徴として、中国の古代言語を最も残していること、タイ語やチワン語と関連が深いことなどが挙げられる。また、9つの声調があり音節も多いため、普通話に比べ習得が難しいともいわれる。

中国語  様々な中国語

複雑すぎてすべての詳細を紹介することはできないので、手短に。まず、広東圏の3大言語は、広東語、客家語、閩語。この3大言語のほかに、少数民族によって話される、瑶語、壮語、粵北土語などがある。3大言語は、さらに細かく各地方の方言に分かれる。広東語系では、台山話や陽江話など、閩語系には潮汕話や雷州話などがある。客家語系にも方言がある。つまり、町や村ごとに言語系や方言が異なると考えていただければよい。広州などの都市部に住む人たちは、たいてい地元の言葉のほかに広東語や普通話が話せるので、地元以外の人とのコミュニケーションには、それら“共通語”が使われる。ただし、お年寄りや地元からあまり離れたことがない人の場合、地元の言葉しか話せないことも少なくない。

それぞれの方言が話せれば、もっと深いコミュニケーションができるはずだが、残念ながら限界がある。現在では普通話がかなり通じるので、まずはこれを学ぶのが必須。さらに、もう1つ挑戦する余裕があるのであれば、それぞれの状況や好みに合わせて言語を選ぼう。広東省・香港にお住まいであれば、やはり使用の頻度が多く教材も充実している広東語がよい。そのほかの言葉は、教材なども少なく、用途も限られるためハードルが高い。

いずれにせよ、こうした言語背景を知っておくと、さまざまな中国人とのコミュニケーションに役に立つ。友だちに出身や母語について尋ねてみると、思わぬところで話が弾むかもしれない。

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