エッセーの瀬!Vol.127
~在中邦人の感賞的後日談~
音楽、文藝、料理、絵画…世の中のありとあらゆる藝術を、市井の目線から解いてゆく…
気鋭のライター4人が送る痛快リレーエッセイ
〈森のようちえん〉と子どもたち④
光たちは小学校卒業後、通常の中学校に行くのが殆どだ。何故なら引き継いでくれるようなオルタネイティブスクールは日本にはまだ少ない。
学力やコミュニケーション能力は先に記した通り問題ないと思う。
むしろ社会性、忍耐力、適応能力はおそらく、普通の同世代の子ども以上に身についているし、学んでいない範囲があったとしても、その集中力であっという間にカバーするだろう。(興味が出るかは別だと思うが、興味を持たせられるかは大人のスキルが大きいよね。)唯一心配しているのは日本社会の同調圧力に対応するかどうかという点だ。
しなやかに逞しく育っている彼らだから、大丈夫だとは思う。むしろ、新しい風を吹き込んでくれるだろう。でももし、みんなで同じ事をする授業に抵抗を感じたら? 何だかつまらないと思ったら?っていうか、そんな人として一番大事な根っこが育った子を古い価値観で潰しちゃうの?人より飛び抜ける部分を持った人は、日本ではなかなか許容されない。逆に敵視されたり、仲間はずれのターゲットにされることも多い。平凡な横並び就オーケー。
でもそれって単純に変でしょう。
日本の義務教育に適合しない子の中には、森の子に限らず、才能があるがゆえ、ただ人と違うというというだけで「はみ出てる」と見なされる子も多いのではないか。もったいない。きっと才能があるんじゃないかしら。そんな時をサポートできたらと思い、彼らが通える課外スクールのようなものをやりたいなーと思うようになった。私も何か出来ないかとこの2、3年ずっとモヤモヤしていたが、ようやく最近すっと腑におちた。
〈森のようちえん〉の保護者、関係者はなぜが多彩な人、自営業やアーティスト、教職技術関係が多い。いろんな人に協力してもらい、特技のある大人と一緒に、学校では勉強できないことを学んだり、異文化に触れたらどうだろうか?興味があることとぐっと向き合うこともできるだろうし、例えば、わたしが出張で中国やタイに行く時に一緒に行って、しばらく生活したら、新しいきっかけになるんじゃないかしら。現地の学生や、海外で成功している人と関わる事で、また違った考えが生まれるのではないだろうか。もしかしたら海外に出ようと思うかもしれない。また逆に日本の良さに気づくかもしれない。きっと、外国語も若い脳みそはすぐ吸収してしまうだろう。どこにでも行ける、どこにでも住めるという可能性は、実質的な事以外に気持ちの広がりも与えるだろう。
私は勉強という点では全然だけど、ありがいことに個人で生活できるくらいには活計を立てられているので、生きていく何がしか、少しは役に立てるんじゃないかしら。
なぜ、私がそう思ったのか。それは……次回に続く
Mami&さとけん
ほんの一時帰国のつもりがコロナの影響で戻れなくなり“元”在中邦人に。夫婦間の会話での口癖は「中国だったら……」と、なんでも中国ベースで思考。
老珠江(珠江ビール)を片手に小炒肉や麻辣烫や东北饺子や花甲粉や炒面や抄手や重庆小面や猪杂汤や烧烤が食べられる日をただただ待ち焦がれる。