中国伝統の玩具「空竹」(コンジュー)
中国伝統の玩具「空竹」(コンジュー)
”空竹“とは中国に昔からある玩具で、これで遊ぶことを”抖空竹“(ドウコンジュー)という。「空竹」という名称は竹で作られたコマが空中で回転することに由来するが、ほかにも”響葫蘆“(音のするひょうたん)とか”扯鈴“など様々な名称がある。日本語では「中国ゴマ」とか「空中ゴマ」、「ディアボロ」、「チャイニーズヨーヨー」など様々な呼び方がある。大道芸や中国雑技で見た人もいるかもしれないが、日本では大衆的といえるほどなじみのある玩具ではない。中国では雑技のパフォーマーだけではなく、比較的身近なところで空竹を見ることができる。天気の良い日に公園へ行けば独特の”嗡嗡“(”weng-weng“中国語で「ブンブン」の擬声語)という音が鳴り響いている。音のする方へ行けば空竹を回している人を見つけられるはずだ。
空竹には長い歴史がある。一説によれば、三国時代の文学家 曹植が著した「空竹賦」が空竹に言及した最も古い記録とされる。もしこれが正しければ、1700年余り受け継がれてきたことになる。少しの練習だけでも回せる手軽さ、腕を磨いて技を駆使できるようになるまでの奥の深さが人々を引きつけてきた。かつては、大人から子どもたちへのプレゼントの定番だったそうだが、今は子どもの玩具というより大衆の健康活動の道具として親しまれている。
公園では大きさも形は異なる様々な空竹を見かける。主なタイプは次の二種類。軸の一方だけに円盤がついている”単輪“と、軸の双方にそれぞれ円盤が付いている”双輪“というタイプだ。円盤の側面には穴が開いており、回転すると風を通して音が出る仕掛けになっている。大きさは、洋服のボタンくらいの小さなものから直径1メートル以上の巨大なものまであるらしい。材料にはもともと竹が使
われていたが、現在ではプラスティック製のものが普及している。
回すには、二本の竹棒の先端を細い紐でつないだものが使われる。軸のくびれた部分に紐をくぐらせ、片方の棒を上に上げて回転させる。反対の竹棒を素早く上げて紐を戻し、再び回転を与え、これを繰り返すことで回転速度を上げる。回転が早くなると紐の上で安定して回り続け、音が鳴るくらい上手になればいろいろな複雑な技に挑戦できるようになる。最初は基本的な技、「紐昇り」と「投げ上げ」から挑戦しよう。「紐昇り」は、コマを紐の上で上下に移動させる技。コマの軸を紐で一巻きして、紐を上下に引っ張る。「投げ上げ」は、コマをまっすぐ上に放り投げる技。回転しているコマをゆるめた紐の中央に置いて、ぶら下がった状態にしておき、急に紐を引っ張るとまっすぐ上に放り投げられる。
公園で回している人を探して繰り広げられる技を見るだけでもおもしろいが、一歩進んで、自分で回してみるとその奥深い世界にハマってしまうかもしれない。