僕の香妻交際日記 第7回 他人の靴を履いてみる

2017/07/18

日本人が外国人と態度や行動が異なる一つの理由として、
日本人には「ウチとソト」の考え方が根付いていることが大きいと言われています。
身近な例としては、日本では家に帰ってくると靴を脱ぎますが、
欧米諸国では習慣として靴を脱ぎません。
このように日本人にはウチとソトの空間を分別する意識が身についています。
さらに、この靴に関して、
崖の上や高いところに靴が置いてあるのを見かけると、
外国人はなんとも思わないのに

香港人はウチもソトも気にしない?

香港人はウチもソトも気にしない?

日本人は「自殺」を思い浮かべてしまうというのです。
「ウチ(=あの世)に帰る」という意味で靴を脱ぐようになったらしいのですが、
このことからも場所だけではなく精神的なウチとソトの分別もつけていることが分かります。

そんな日本人の中でも私は
「一度会った~ら友達で、毎日会っ~たら兄弟だ」で
おなじみの教育テレビ3チャンネルに影響を受けて育ってきた世代なので、
自分の中では国籍、性別、世代の隔てなくいろんな人と交流をしてきたつもりでしたが、
それでも香港人妻からするとまだ私にもウチ向きな一面が見られるようです。
妻が私に対してよく言うのは
「他人の靴に自分の足を入れながら考えてみなさい」と、これまた靴を例にした教訓です。
つまり相手の立場に立ちなさいということなのですが、
日本人は自己中心的な面が多いと妻は指摘します。
さて、ここで一つの疑問が出てきます。
「相手の立場に立つ」ということに関して、
日本は世界でも高い水準の思いやりを持っていると思いますし、
そう言われているのをよく耳にします。

つまり相手の靴に足を入れながら便利な商品を開発したり、
サービスを提供したりという能力にたけているのです。
でも妻からするとそれでも日本人は自己中だと…??

事実、妻も日本の商品やサービスが好きで、
香港人も見習うべき部分がたくさんあると言っています。
しかし、それらの高い水準での商品やサービスを生み出し、
そして提供するために「日本人は自分自身を犠牲にしすぎている」と
いうのが彼女の主張でした。
時に家族や自分の健康を顧みず、
会社の指令や顧客のために身体を張る姿がどうも理解できない、
というより受け入れがたいとのことなのです。
つまり妻の言う「他人の靴」と言うのは決してお客さんのことだけではなく、
家族や身近な人のことも考えなさいということだったというわけです。
妻はたまにいいこと言います。
何事もバランスが大事ですね。
では、私も自己中になりすぎないように
今日も早く家に帰ることとします。

ルーシー龍

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。

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