中環(セントラル)ガチョウのロースト「鏞記(ヨンキー)」
鏞記酒家
鏞記酒家(ヨンキーレストラン)といえば、「ガチョウのロースト」とすぐ言葉が返ってくるほど、香港にあるレストランの中でも広東料理店を牽引するリーダー的存在として位置づけられている。歴史は古く、1942年にオープンし1964年に現在の場所、MTR中環(セントラル)駅から徒歩3分ほどのところに移転、そしてこの度70周年という節目を迎え、グランドフロアのダイニングホールを1,000万ドル以上をかけ改装したのである。眩しいほどの新しい店内となったが、店の持つ高級感と重厚感は昔と変わらない。また伝統を感じられる入口が70年という歴史を持つ店に相応しく、昔を今に伝えている。
建築を担当したのは、香港でトップクラスの建築家William Lim氏だ。同氏の「シンプルなものこそ美しい」という建築スタイルと同店の持つ質、信頼、サービス、真心の思想を完璧に融合しダイニングホールを一新した。古い魅力的な香港を残しつつ新しく生まれ変わった店内でもゆったりとした往年のレストランに戻ってきた感覚になるだろう。中でも最大の目玉が、全面ガラス張りのキッチンだ。客の前で調理をする様子はステージさながら。そんなキッチンで調理するオススメ料理を紹介しよう。
1940年代から提供しているガチョウの中に食材を詰めてローストした「Charcoal Roasted Goose Web Stuffed with Barbecued Pork, Goose Liver and Cured Sausage」は見逃せない一品だ。丁寧にガチョウの骨を取り、その中にさまざまなローカル食材を入れ、カラメル色になるまでオーブンで焼く作業は老舗ならではの熟練の技が必要だという。また、アスパラと松の実をカエルの肉と一緒に炒めた「Stir-fried Frog Stomach with Asparagus and Pine Nuts 」は1950年代、前菜の定番メニューとして人気を博した。さらに「the Hong Kong International Culinary Classic1999」で金賞を獲得した豚バラの煮込みに松の実を添えた「Smoked Pork Belly with Pine Nut」は、口の中でとろける豚バラ肉が病みつきに。そのほか、定番のガチョウのローストと雲呑麺もお忘れなく。
同店の伝統に注ぐ熱き思いと新鮮な材料を用いたこだわりの広東料理は香港にいるからには一度は味わってみたいもの。ぜひ装いを新たにした同店に足を運んでみて。
70年の歴史を感じる外観
鏞記酒家(Yung Kee Restaurant)
住所:32-40 Wellington St., Central
電話:(852)2522-1624
時間:11:00~23:30