ハンドメイド特集 Part 3
香港でも珍しい!ミニバス看板手書製作店
巧佳廣告製作有限公司
香港の至る所で走っているのを見かける、あのレトロ感が何とも言えない情緒たっぷりのミニバス。利用するのは観光客にとっては少々ハードルが高いかもしれないが、香港で生活していく上でお世話になっている人も少なくはないだろう。
そんなミニバスのフロントガラスに掲げられている行先や料金が表示されている看板だが、近年はプリントアウトされたものが多い中、なんとアナログな手書き看板も健在。その手書き看板を香港で(世界でも!?)唯一製作しているお店が佐敦にある!
今回PPWはオーナーの麥錦生(Mak)さんにお話を伺った。
「香港内で現在運用されているミニバスはおよそ計1,000台ですが、その内10%程度が今でも当店で作成した看板を掲げて走っています。また、お店の外には昔ミニバスで使われていたハンドルと料金箱を展示しています。ちょっとしたミニバスの歴史博物館です。そしてこの看板を小さくしてキーホルダーにしたものは、香港土産として好評いただいております。日本からのお客さんも週に2~3組お見えになりますよ。日本の方は字が読めますが、意味が違ったり日本では使用されていない文字などを面白がって購入されていきます。また、好きな文字でのオーダーも承っており、香港人含めて多くの方にプレゼントとして喜んでいただいております。最近は傘や枕、スマホケースなど新しい商品も販売し、今後はマグカップや水筒、Tシャツなど日常で使えるグッズも販売する予定です。」
看板は大・中・縦小とあり、既存の物以外にオーダーしオリジナル看板も購入可能(製作期間等は店舗へ直接お問い合わせ下さい)。販売している看板やキーホルダーは実際の行先だけでなく、ちょっとしたメッセージの物なども数多く陳列されている。佐敦駅A出口から徒歩5分、ちょっと凝った香港土産を探している方は是非足を運んでいただきたい!
HAWK ADVERTISING COMPANY LTD.
巧佳廣告製作有限公司
住所:M/F., 39 Battery St., Jordan
電話:(852)9017-9587
時間:月~金 10:00~18:30
フェイスブック:Hawk LTD 巧佳小巴用品
香港の魅力を世界にアピール‼︎
竹の足場を組み立てる、驚きの技術「搭棚」
香港の街を歩いていると、大量の竹に囲まれた建物をよく見かける。この竹は工事現場における足場で、「搭棚(ダッパン)」と呼ばれる技術により、機械的なサポートなしで、全て手作業で作り上げられている。鉄筋の足場に見慣れてしまっていると、一見頼りなく見えるが、軽くてよくしなる竹の性質は、高温多湿で台風の多い香港の気候に合っていて、実はとても安心なのだ。この伝統的な「搭棚」という技術は、香港において非常に重要な地位を占めており、政府によって無形文化遺産に指定されている。今回、搭棚職人の呉さん(38)にお話を伺った。
呉さんは、16歳で入門して搭棚技術を学び、20年以上この足場産業業界で働いている。見習い時代から現在に至るまでには、多くの血と汗を流したそう。「昔は、師の教えを受け継ぐことによって、業界に参入することができました。現在、業界に参入するには、専門的なトレーニングが必要です。しかし、この仕事は、本当に骨が折れる…諦めて、途中で投げ出してしまう人が多く、忍耐なくして継続することは困難です」とのこと。
「搭棚」は主に建物のメンテナンスプロジェクトに使用されるため、1960年代から1970年代にかけては、建設業の発展と共に、足場産業は最も繁栄した時代に突入した。呉さんは、「足場は、主に竹とナイロンロープで構成されています。竹は、アルミニウム合金やスチールパイプよりも軽量で手頃なため、設置が非常に簡単です。また、事前に組み立てる必要がなく、その場で必要な長さと形状にカットするだけでよいので、とても便利です」と熱く語る。
中国の最も伝統的な建築職人技の一つとして、有名な中国絵画「清明上河圖」にも、この「搭棚」が見られる。「『搭棚』は、建物のメンテナンスだけでなく、香港の多くの伝統文化の重要な部分にも使用されています。例えば、『神功戲棚』、『泳棚』、『包山』は、全て竹の足場で作られています。本当にやるべきなのは、建設文化の原点である『搭棚』を守ることではないでしょうか」と、呉さんは期待を寄せている。
呉さんのお話の中に登場する三つの伝統工芸とは…
『神功戲棚』
「神功戲」は中国オペラで、人々が祝福と神に感謝する祝いの一つ。この舞台である「神功戲棚」の設計に使われる「搭棚」の技術は、建物の足場よりもはるかに難しい。機械で計算し作り上げる鉄製のフレームやネジとは異なり、竹は自然のもののため、業界で最も古い経験のある師だけが、この舞台を建てることができるという。劇場を仕上げるためにかかる技術と作業量を考えると、香港に残っている演劇師が数十人しかいないのは非常に残念だ。
『泳棚』
「泳棚」は、水泳小屋のこと。通常、竹の足場でできており、男性用と女性用の更衣室・バスルーム・ロッカーを備えている。「西環泳棚」の先に残っている橋と灯台は、夕陽と海の景色とが相まって、香港の有名な観光スポットの一つになっている。
『搶包山』
「搶包山」は、長洲(チョンチャウ)で開催される「太平清醮」というお祭りの一部で、通称「饅頭祭」。饅頭で埋め尽くされた、高さ14メートルの塔によじ登り、饅頭を取り合う。「包山」とはこの饅頭の塔のことで、伝統的な「包山」は、竹の足場で作られており、搭棚工芸の代表的な作品の一つ。ただし、現代では、安全性を考慮して、土台は強度のある鉄骨に変更され、伝統を維持するために外観のみに竹が使用されている。参加者は、香港登山協会の登山と、転倒防止の安全訓練を事前に受け、当日は安全ロープを着用する。