VR特集 ~VRって、何?!~ Part 1
「VR」…耳にしたことはあるけれど、実際のところよくわからない。
そんな方も多いのではないでしょうか。
「VR」とは、「Virtual Reality(バーチャル・リアリティ)」の略、
つまり、「仮想現実」のことです。コンピュータのシミュレーション技術を用いて作り上げられた三次元空間を、
視覚・聴覚などを通して疑似体験できるようにしたもの。
近い将来、必ずや身近な存在になるであろう、この「VR」の魅力について迫ってみました!!!
VRの世界で活躍する人々
そんぷ~さん
香港在住。VR上では、「そんぷ~」「おでん君」などの名前で活動。
ものづくりのエキスパートで、その内容は多岐に渡る。
開発協力した製品に、「高知の財布」「アクリルKUMINO」「ミックストランプ」などがある。
1.VRに興味をもったきっかけは何でしたか?また、それはいつ頃ですか?
VRを始めたのは、去年(2018年)の6月で、VR上でプレゼンなどができる「cluster(クラスター)」というサービスに興味をもったことがきっかけです。香港に住んでいると、どうしても日本の人たちとネットを介してやり取りをする機会が多いので、これなら簡単に新しい企画の打ち合わせや、イベントを行なうことができる、そう思いました。
当初、cluster(クラスター)内で、アバター作り講座が開催され、有志が先生役になり、3DCG制作ソフト「Blender(ブレンダー)」を使って、素人が2ヵ月でアバターを作れるようになろうという企画があり、わたしは企画側サポート兼生徒でもあったのですが、そのときに作ったアバターが、後で登場する「おでん君」です。
2.そんぷ~さんの、VRにおける現在の活動はどのようなものなのでしょうか?
現在までのVRでの活動は、主に3つ。「アルテマ音楽祭」「そんぷ~」「おでん君」です。1つ1つ説明していきますね。
「アルテマ音楽祭」は、「VRChat」というアプリを使って、VR上で開催した音楽祭です。VTuberと呼ばれる3Dのアバターが現実のライブさながらのステージをVR上で繰り広げるというもの。観客の皆さんは、VRChatのライブ会場に参加する、YouTube生配信などを視聴するなど、楽しむ方法は様々ありますが、同音楽祭はリアルとも連動させており、現実にある会場でのパブリックビューイングも可能です。リアル会場での拍手がVRに反映するなど、リアルとVR、双方向型のエンターテインメントでした。実際の歌手の方々にも、VR上で登場いただきました。すでに、日本の企業VTuberにも出演いただいています。ちなみに、「アルテマ音楽祭」は、アバター作り講座を一緒に受講した仲間が主催しています。残り2つは個人としての活動です。
1つは、カエルのお面を被った自分自身を3Dスキャンして、VR上に「そんぷ~」というアバターを作りました。このデータをゲーム開発者に渡して、ゲームの主人公やサブキャラとして使ってもらおうと考えています。これは、リアルからVRへのアプローチ。もう1つは、その逆、VRからリアルへのアプローチで、アバター作り講座で作成した「おでん君」というキャラクターをイラスト化、萌えキャラ化して、最終的には現実にもってこようと思っています。それをコスプレイヤーさんたちに着てもらい、リアルに拡張させようという計画です。
VRとリアルを融合させることで、新しい表現ができるのは楽しいですね!「アルテマ音楽祭」では、VR上で代々木公園を会場にしたり、渋谷の上空を飛びながら歌ったりしていましたが、これを現実でやろうと思っても難しいですから。VRと組み合わせることで、物理的な制約を払拭できるところにおもしろさを感じます。
3.読者の皆様がVRを楽しむためのポイントを教えてください。
VRに全く触れたことのない方々におすすめなのは、VR上で他者とのコミュニケーションがとれる「VRChat」「cluster(クラスター)」などのアプリです。それぞれがVR上にアバターをもち、ワールドや部屋を作ったり、会いたい人のところへ行ってお話をしたり、イベントを開催・参加することができます。現在段階的に参加者を追加している*、日本発の「ambr(アンバー)」というサービスもおすすめです。他ユーザーと一緒に、仮想空間でゲームなどをして遊ぶことができます。このあたりを一通り体験してみると、VRとは何かということが、まずは理解できると思います。
更に、オリジナルキャラクターやゲームを作りたいなどという気持ちが湧いてきたら、「Blender(ブレンダー)」や「Unity(ユニティ)」などを試してみるのはいかがでしょうか。こちらでは、自分独自のアバターやゲームを作ることができますよ。
*取材日は、2019年7月17日(水)。
4.VRは、今後どのような展開をしていくと思いますか?
最も伸びるのは、「ゲーム」と「医療」の分野だと思います。ゲームがこれから伸びていくのは、これまでの話の中で明らかだと思うのですが、医療に関しても、間違いなく伸びていくはずです。
例えば、高齢者や寝たきりの人にVRを見せることによって、外で動く体験ができます。寝たきりのままでも、行きたかった場所へ行けたり、やりたかったことができるんです。これを突き詰めていくと、自分が健康なうちにできなかったことを、他人に代わりに体験してもらおうという動きが出てくるはずです。それらを世界一周する学生や、バックパッカーたちが請け負い、VR用のカメラで撮影した旅の工程を販売するということがビジネスになっていくかもしれませんね。VRによる追体験、その臨場感に、より価値が生まれてくると思います。
5.今後VRを使ってどのようなことをされるご予定なのでしょうか?
やりたいことがいっぱいあるので、ほんの一部ではありますが…
今、構想しているのは、駄菓子屋を復活させることです。クラウドファンディング*やサブスクリプション方式*でお金を集め、実際に地方都市などで場所を借りて駄菓子屋出す。これが何に繋がるかというと、子どもたちの集う場になり、高齢者の雇用を生み出す機会になります。そして、お金を出してくれた、駄菓子屋文化に思い入れのある現役世代には、VR上に集う場所を作る!そこで、「駄菓子屋文化を守る会(仮)」を作って、報告会や相談会などを行ないます。
きっかけは、2017年に行った台湾の工場と、2018年上海で行った老人ホームでした。台湾の工場には、社長の趣味が高じてできたオブジェがあって、そこを中心に街から集まってきた人たちで一種のコミュニティができていたんです。無名の街工場発でですよ?!老人ホームでは、一角がAirbnb(エアビーアンドビー)*になっていて、様々な国から若者たちが泊まりに来ていたんです。そこで生まれたのが、高齢者と若者たちの交流。これらをどうにか日本の地方創生に活かせないかと思って生まれたのが、駄菓子屋の構想ですね。これまでは、地方創生といっても、その地方単独の盛り上がりで終わってしまっていましたが、VRを利用することによって、全国に飛び火させることができますし、海外からでも関わることができます。場の制約を受けないのがいいところですね。どこでもドアのようなものだと感じています。
*「クラウドファンディング」=群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語。不特定多数の人が、インターネット等を経由して、他の人々や組織に財源の提供や協力などを行なうこと。
*「サブスクリプション方式」=製品やサービスなどの一定期間の利用に対して、代金を支払う方式。通常、「定額制」と同じ意味で用いられる。
*「Airbnb」=宿泊施設・民宿を貸し出す人向けのウェブサイト。
もっと夢のある話をすると…わたしの最終的な目標は、自分を3Dスキャンして作ったVR上のアバターに、自分自身のあらゆるライフログを集めて作ったAI(人工知能)を入れて、もう一人の自分を作ることです。リアルの自分の成長は止めることができないし、死んだら全ての情報はなくなってしまいますが、VR×AIであれば、ある時点で止めてしまうことも、自動学習によりずっと成長を続けることもできます。将来的には、自分が死ぬときに過去の自分と対話したい、「あなたの人生も悪くなかったね」と誉めてもらいたいですね(笑)それに、死んだ後にも、孫やひ孫の相談にのってあげられたらいいなと思い描いています。これからはVR上にみんなの故郷ができていくのではないでしょうか。
ブリオリウスさん
VR YouTuber。チャンネル名は「深夜のPSVRホラーゲーマーブリオリウス」、登録者数はもうすぐ400名を超える。PSVRでホラーゲームが発売される度に、プレイした様子を動画にして、実況付きでアップしている。PSVRのホラーゲームは全制覇。
「VR(バーチャル・リアリティー)」
耳にしたことはあるけれど、まだ試したことはないという人も多いのではないでしょうか。
そんなまだまだ一般的とは言い難いの仮想現実の世界で活躍する人々がいます。
VR上で開催される様々なプロジェクトのサポートを行なっているそんぷ~さんと、
VR YouTuberとして活動しているブリオリウスさん。
VR上での活動って一体どんなもの?
わたしたちがVRを楽しむためのポイントは?
VRって今後どうなっていくの?そんなありとあらゆる疑問質問にお答えいただきました。
きっと今日からVRを始めてみたくてたまらなくなること間違いなしです!
1.VRに興味をもったきっかけは何でしたか?また、それはいつ頃ですか?
VRを始めたのは、PlayStation VR(以下、PSVR)が出たときなので、2016年10月頃でしょうか。元々はホラーファンで、VRが登場する前から、ずっとホラー映画鑑賞や、バイオハザードシリーズ*などのホラーゲームをしてきました。お化け屋敷が大好きなんですよ!きっかけは、子どもの頃に行った、米国ディズニーランドのホーンテッドマンションですね。あのアニマトロニクス*に魅せられて、これまで100回以上は乗ってます(笑)人を怖がらせる技術といいますか、人の心を揺さぶる手法に興味をもちまして、そこから、ホラー映画、ホラーゲームとハマッていきました。
わたしがPSVRを手に入れてから間もなく発売された、「バイオハザード7」がVR向けだったので、もうそこからは一気にVRのホラーにハマッていきました。一番怖いホラーというのは、やはりVRにあると思います。まるで自分がその場にいるような臨場感があるので、一歩踏み出すのも怖いという緊張感が味わえます。そういったスリルと没入感は、気分を高揚させてくれるものです。100%安全な中で、極限のスリルを楽しめるというのが、VRのホラーゲームの魅力ですね。
*バイオハザードシリーズ=カプコンから発売されているテレビゲームの一シリーズ。主なジャンルは、サバイバルホラー。
*アニマトロニクス=生物を模したロボットを使って撮影する技術。「アニメーション(動作)」と「エレクトロニクス(電子工学)」を組み合わせた造語とされる。
2.ブリオリウスさんの、VRにおける現在の活動はどのようなものなのでしょうか?
VR YouTuberをしています。「バイオハザード7」がきっかけになったので、スタートしたのは2017年2月でした。最初は、みんなに自慢してやろうというのがモチベーションでしたね(笑)ちょうどソニー・インタラクティブエンタテインメントで働く方と知り合ったことも影響して、大好きなVRのすごさを広めたいという気持ちが高まりました。
チャンネル名は「深夜のPSVRホラーゲーマーブリオリウス」で、内容は名前のままです。YouTubeでは、わたしが実際に見ているVRの画面をそのまま共有しています(PSVRに録画の機能があります)。それと同時に、スマホで映しておいた、そのゲームをしている自分の姿も流すことで、どんな動きをしているかもご覧いただけるようにしています。ビジネスにしようと思って始めたわけではありませんが、お小遣い程度でも収入が入ってくるといいなという、密かな思いはあります(笑)
3.読者の皆様がVRを楽しむためのポイントを教えてください。
まずは、ぜひ体験してみてください!VRは、人類が初めて体験する技術なので、これはまさに百聞は一見にしかずです。ショッピングモール内など、様々な場所で体験コーナーができているので、気軽に足を運んでみることをおすすめします。
ゲームも、本当にいろんな種類があるんですね。ホラーはとてもニッチなジャンルかと思いますが、キッチンで料理をするゲームや、冒険をするゲームなど一般的なジャンルもありますので、自分が興味があるものから始めてみるのがよいと思います。VRで体験するホラーの怖さは強烈です。トラウマになってしまっては元も子もないので、無理だけはしないでくださいね。わたしもたまに、夢に大好きなホラーが出てくることもありますから。あと、画面に酔ってしまう方も多いので、その場合は、視点が動かないゲーム(料理のゲームなど)を選ぶとよいと思います。展示・体験スペースのスタッフさんに、初心者向けのおすすめを尋ねてみるのも1つの方法ですね!
というわたしは、体験せずに購入してしまったのですが…これは絶対にいける!という確信がありまして(笑)その確信は正しかったようで、今では、予定のある時間以外は、ほとんどVRをして過ごしています。おかげで、お酒を全く飲まなくなりました(笑)従来のゲームと違って、VRは想像していたよりも健康によさそうです。運動(ボクササイズ)もVRでしています。かなり本格的で、実際ものすごい汗をかきますし、終わった後には、プロテインも飲んでます。これはつまり、ゲームの不健康なイメージがVRによって覆されるということです。なので、VRでは運動ができる方が有利なこともあります。VRゲームは、座ったままだけではなく、実際に体を動かすものが多いですね。
4.VRは、今後どのような展開をしていくと思いますか?
VRの中で、ものを作る、街を作るなど、アメーバピグ*のVR版が出来上がっていくと思います。自分の姿かたちを3Dで読み込んだり、小道具や家、街を作ったり…そうなると、VR内の街を実際に歩き回ったり、他のプレイヤーとその中で会ったりできるようになります。通貨なんかも生まれています。
10年ほど前に流行った「Second Life」というビデオゲームをご存知ですか?ユーザーはそれぞれアバターを作って、インターネット上に存在する仮想の街で生活を営めるゲームで、実際に、その中で通貨も生まれ、USDなどの現実通貨に換金もできる仕組みになっていたんですよ。まさにそれがVR上でも出来上がってきているのです。
あとは、会議室を作って、VRで社内会議などを行なうことも当たり前になってくると思います。VRで大事なのは、テレプレゼンスとテレイグジスタンスの2つです。テレプレゼンスは遠隔臨場感、テレイグジスタンスは遠隔存在感。物理的な距離は離れていても、自分も相手もVR上に臨場し、存在することができるので、会議が成り立ちます。本当に限りなく、同じ場所で会議をしているのと変わらない状況が生まれます。ゲームにおいても、これと同様、より人間同士の交流に重きをおいたエンターテインメントが次々と生まれるでしょう。
*アメーバピグ=サイバーエージェントが運営するウェブサイト上のサービス。自分にそっくりなアバター(ピグ)を作り、代々木公園・渋谷・浅草などを模した広場(オープンチャットルーム)などでチャットを行なうのがメインの機能。
5.今後VRを使ってどのようなことをされるご予定なのでしょうか?
わたし以上にホラーが大好きで、わたし以上にビビらない実況者はいないと思っています。なので、これからも、VRホラーというニッチなジャンルを極めていくつもりです。見ている方が怖くならないような実況を心がけているので、ご興味のある方はぜひぜひご覧ください!
ツイッターもしているのですが、そこでVR好きの知り合いも増え、コミュニティも大きくなってきました。その仲間たちと、Rec Roomという仮想現実構築ソフトのVR上で、ものやゲームなどを作ろうという動きも出てきています。すでに次々とゲーマー有志による素晴らしい建造物やもの、ゲームが作られており、わたしもこれからどんどん貢献していければいいなと思っています。