資産運用・投資特集 Part 4
分散投資で賢い資産運用
株式会社ボーダレスワークスの代表取締役 玉利 将彦さんに香港における分散型投資事情とメリットやデメリットについて詳しく伺いました。
BORDERLESS WORKS CO., LTD.
玉利正彦(タマリ マサヒコ)さん
香港の証券取扱免許(SFC)と保険取扱免許(PIBA)を保有する資産運用アドバイザーとして、顧客のライフプランに即した投資計画の立案及び長期積立・海外生命保険、国内外の不動産物件の販売、海外金融機関の口座開設・運営サポートを行っている。
2018年の香港株式市場はどのような投資ファンドが盛況でしたか?
昨年は世界中で株価が上昇し、香港も盛況でしたので、株式ファンドは順調だったと思いますが、今年前半辺りまで株式を取り扱う投資ファンドが好調でしたが、今年半ばに発動された米中貿易戦争のあおりを受けて、香港の株価は大きく下落しました。そのためリスクをとらない保守的な運用方法にシフトしている投資家が増えたのではないかと思います。株価が下落している中、リスク回避のために株をキャッシュへ換金して、リスクの少ない債券などのファンドへ投資する傾向があります。
今年2月初めに米国株が急落して、その後持ち直しましたが、米中貿易戦争で中国株も含めて下落傾向にあります。中国と香港の株の連動性は高く、ハンセン指数で見ても香港の株価は大きく下落していると考えられます。
分散投資について改めて教えてください。
分散投資とは投資金額を分散して投資する手法で、「資産三分法」と呼ばれる投資手法があります。ご自身の資産を3つの資産へ上手く使い分けてリスクを軽減しながら投資するという手法です。
1つ目は現金・預金・債権の分散投資です。元本保証されていて利回りもあります。預金した現金は価値が落ちません。ローリスクローリターンの商品になります。
2つ目が株式の分散投資です。株価は変動するため、リスクは高いですが、株価が上がった場合は大きな利益を生み出します。
3つ目は現物資産と言われる不動産や金などの分散投資です。要はおカネではなくモノが価値を持つというものです。不動産は価格変動もありますので、ハイリスクハイリターンの分散投資ではないでしょうか。ここ十数年、香港の不動産価格は上昇し続けていましたが、ようやく落ち着いてきました。
分散投資のタイプやメリット、デメリットについて教えてください。
分散投資のメリットはタイプによって異なります。現金・預金の分散投資は為替変動はありますが、基本的にはローリスクです。もちろん、リターンもあまり期待できません。利回りでリターンを狙いたい方は債権だと思いますが、それでも3~4%程度の利回りになります。利回りの高いジャンクボンド(破産しそうな企業が発行している債権)は利回りが高いですが、破綻するリスクも十分にあります。従ってジャックポンドはハイリスクハイリターンの分散投資と言えるでしょう。しかしながら、ほとんどの債権はローリスクで、日本と比べても利回りはそこまで高くありません。
株式はリターンも大きく狙えますが、株価が下落することも念頭に入れておく必要があります。よっぽど放射能で汚染されたりするようなことがない限り、不動産は価値がゼロに下がることはないですから、株価のようなリスクはありません。基本的に不動産はローン購入で金融機関から金融機関から借り入れている方が多いです。過去10数年の歴史を辿ってみても、ハイリターンだったのでは不動産投資ではないでしょうか?10年前は、投資目的で中国本土から香港へ来て不動産を購入する人たち大勢いました。理由の一つとして香港居住権を取得できるビザプログラムがあり、650万香港ドルを投資すれば香港居住権が取得できたため、中国本土の多くの富裕層が香港で不動産を購入していました。そのため、香港の不動産価格は上昇し続けてきました。現在、ビザプログラムは廃止されたため以前のような購買意欲は影をひそめています。
通貨分散投資は香港・華南地区ではどのような位置づけになるのでしょうか?
「通貨分散投資」は資産三分法で申し上げますと「現金・預金・債権」の分散投資手法に入ります。自身が所有している1つの通貨が暴落することもありますよね。比較的、日本円は安定した通貨ですが、不安定な通貨を所有していると、目減りしてしまう可能性も大いにあります。目減りするリスクを回避するため、外貨分散して資産運用するのは賢い方法の一つだと思います。
分散投資に注目が集まっていますが、主な理由について教えてください。
一言で言うとリスク回避ではないでしょうか。現金や不動産などの分散投資をしているとき、株式も同時に下落するという可能性はあまりありません。株価が上昇しているタイミングで、株式へ分散投資しないと投資機会を失ってしまいます。この点において、資産運用をプロの方に任せることで安心して分散投資ができるという点、自分で一から勉強するとなると【時間】コストが結構かかります。「時間を節約する」「本業に専念したい」という方は、「資産運用はプロに任せる」という考え方の人たちもいると思います。まがい物が入っていたり、リターンも狙えそうにない不動産を売りつけたりする方もいますが、知識がないので彼らを信じ切って買ってしまう方々も中にはいらっしゃいます。ご自身の資産をプロの方へ任せて資産運用すると言ってもご自身のおカネですので、自分でしっかり勉強して「自分のおカネは自分で守る」だけの知識は身に付けておいたほうがよいです。
資産三分法について申し上げましたが、投資時機によって分散する投資の割合を変えればよいと思います。そうすることで機会損失を未然に防ぐことができるのではないかと思います。きちんと分散投資を行っていれば、そこまで損はしないと思います。プライベートバンクにおカネを預けて、アドバイザーに任せて資産運用してもらう方法、またはコンサルをしてもらい実際の売買はご自身で行う方法などがあります。他には銀行にも投資ファンドがあるので、銀行へ投資してもらえれば銀行側の収入にもなるため、銀行職員も色々とアドバイスしてくれます。
香港・華南地区の金融機関では主にどのような金融商品を取り扱っているのでしょうか?
大手銀行では割とリスクが低めの保険商品が多いですね。小さな投資ファンド会社になったりするとリスク高い金融商品を取り扱ったりしています。大手銀行はハイリスクな金融商品は取り扱わないので、どうしてもローリスクローリターンになってしまいます。中国大陸で流行っていた理財商品は、利回りも良くリターンも良かったですが、金融機関では一般的にローリスクローリターンの金融商品を取り扱っています。
分散投資は、だれでも簡単にできる資産運用なのでしょうか?
基本的に分散投資は誰でも簡単にできると思います。例えば、HSBCで口座開設して外貨預金する、これは通貨分散、その他に株や投資信託の運用もHSBCアカウントで可能なので、ある程度まとまった金額があればすぐにできます。ただし、不動産投資については、資産規模が大きくないとできなかったりします。
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