資産運用・投資特集 Part 5

2018/11/21

日進月歩のネット社会で個人評価が模擬株式に?

3日で9000個が完売した「高知の財布」
「VALU」を活用した誕生秘話を中島氏に訊いた

「VALU(バリュー)」という言葉を聞いたことはあるだろうか。個人が株式会社のようにVAと呼ばれる擬似株式を発行し、ビットコインを用いて売買がなされる。「価値」を表す「VALUE」+「YOU」がネーミングの由来となっており、「叶う夢を増やそう。なりたいものや、やりたいことを実現するために、継続的に支援を募ることができるSNS」(公式ページより抜粋)というスローガンの下、支援者を募り、自身のVA購入者には優待を付けることも可能だ。

今回は、そんな「VALU」を通して自身のアイディアを体現した注目の若手クリエイターに話を伺った。

 

 

 

中島匠一さん、25歳。大阪芸術大学芸術計画学科卒業。芸術家・高知県を盛り上げるクリエイター。中学校時代の不登校をきっかけにフリースクールに通い始め、創作活動を始める。自身の人格形成に大きな影響を及ぼした高知県に恩返しをするべく、地元密着型のアート活動に尽力。夢は高知にアートギャラリーを創ること。

 

PPW : まず、中島さんの経歴と活動内容を教えてください。

中島さん : 高知県に拠点を置きながら、芸術家として創作活動に取り組んでいます。生まれは宮城県ですが、当時通っていた高知県内の中学で不登校になったことがきっかけでフリースクールに転籍し、当時の恩師の勧めもあり、創作活動を始めました。その後、同スクールの延長で定時制高校に通い始めたのですが、学校のごみ箱から拾ってきた扇風機を用いて、そこからシャボン玉が出るような作品も当時から作ってましたね。

クラスメートも自分と同じような境遇を持っている人が多かったので、今まで「他の人と違う」と自身に悲観的になっていた部分もあったのですが、「それでも世に出れるんだ」と開き直れた時期でもありました。そういったことも相まって、高知に対して恩返しがしたいという気持ちが強くなり、同地で活動しています。最近では、地元を盛り上げようと高知色を前面に出した「高知の財布」を手掛けたのですが、偶然、お笑い芸人コンビ・NON STYLEの石田さんがTwitterでつぶやいてくれたこともあり、3日間で9000個を売り上げました。

「VALU」を通して出会った仲間とともに工場生産が可能になった「高知の財布」

「VALU」を通して出会った仲間とともに工場生産が可能になった「高知の財布」

 

PPW : どういった経緯で「高知の財布」が生み出されたのか、詳しく教えてもらえますか。 

中島さん : 僕は立体芸術と呼ばれる分野をメインとしているのですが、その中でも「うねり」をテーマにアラビア書道に平仮名をミックスした独自の手法をひたすら練習して身に付けました。現在の「高知の財布」の素案にもなっています。財布を作ってみようと思ったのは、ひらめき!…ですかね。

具体的には2017年8月から制作に着手したのですが、当時は安価で市販されている財布をいっぱい購入し、そこにひたすら手書きで高知模様を書き込んでいたんですよ。その後もパソコンでデザインしたものをプリントして、切り貼りした後にスプレーでコーティングしてみたりと、制作当初から掲げていた「工場生産を実現する!」という目標には程遠かったです。小ロットからの生産を請け負ってくれる工場も探し歩いてました。

イスラム教の聖典コーランの文言を美しく書写するために発展した書法

 

PPW : 「VALU」を知るきっかけになったのはいつ頃ですか。

中島さん : 制作面で試行錯誤を繰り返している時期にちょうど大阪で「VALU」に関する集まりがあることを知り、参加しました。そこで「自分のアイディアをバズらせる自信がある!」と熱弁していると、それを支援してくれるという仲間が現れ、その後の「高知の財布」に関するデザイン改良や工場生産に繋がっていきました。

同時期に「クラウドファンディング」によって出資者を募るお手伝いをしてくれる方も現れたのですが、僕の意図と反して企画だけが先走りしてしまって…、結果的に出資者の方々にきちんとしたお返しができなかった。という苦い経験もあり「次こそはしっかりと仕組みを作って良いものを世に出したい」と意気込んでいたタイミングでもありました。

「VALU」によって工場生産が可能になった「高知の財布」を中国・広州の工場にて検品

「VALU」によって工場生産が可能になった「高知の財布」を中国・広州の工場にて検品

 

PPW : 具体的にどういった繋がりが生まれたのでしょうか。

中島さん : 最初の「VALU」での集まりで得た支援者づたいで、同じく「VALU」内で活動するパターンデザイン作家さんやモノづくりの為にアジアを飛び回るバイヤーさんをご紹介いただき、その方々の優待を得る為にVAを購入させていただきました。代名詞の高知模様を改良してもらったり、中国内で生産を請け負ってくれる工場へアテンドしてもらったりと、制作当初から僕が思い描いていた「この財布を工場生産して世に出したい」という願望を体現する強力なバックアップをしていただきました。

先述した「VALU」での出会いを経て、2018年5月22日に初めて工場生産した200個の財布を中国広州まで受け取りに行ったのですが、手に取った瞬間、「これが僕の作りたかったものなんだよ!」と感動したことを鮮明に覚えてます。今まで思考を駆け巡っていたものがようやくかたちになった日です。日本だと最低数量に達しないと請け負ってもらえず、型板コストが高かったりでデザインの融通も利きにくいのですが、中国だとそれぞれの製造工程が分業化しており、型板も安いのでいくつかの問題が解消できました。

 

PPW : そして、ネットニュースでも話題をさらった大ヒットに至ったのでしょうか。

中島さん : 1年で一番の賑わいをみせる「高知よさこい祭り」が8月8日~12日まで開催されたのですが、そこにNON STYLEさんがテレビ取材の為に来ていたんですよね。私も高知大丸デパートの1階入り口のイベントブースにて財布を手売りしていたので、取材現場に売り込みに行ったんですよ。コマーシャルが入る1分程の合間に石田さんの手が空いたのを見計らって「高知県で高知の財布を作ってるんです!良かったら貰ってください」って 笑。そしたら翌日に石田さんのツイートを機に瞬く間に存在が知れ渡って、今までオンラインショッピングや手売りで3日に1個しか売れなかった財布が1日で200個完売しました。僕もあまりの出来事に対処できず…本来は即日発送していたのですが、2~3日に切り替え、それでも対応できず「あ~今週中は無理!」と、てんやわんやで。生産を一手に引き受けてくれた「VALU」仲間のアジアを飛び回るバイヤーさんにも急遽電話をして3200個を発注しました。予約販売に切り替えて対応後もあっという間に完売してしまい…。さらに3200個を追加発注しましたね 汗。

そういった皆様方のご支援もあり、2018年9月2日付けで「株式会社ブランド高知」を法人登記することもできました。

 

PPW : 「VALU」を通したビジネスを経験されてみて、どういった感想をお持ちですか。

中島さん : 「VALU」を始めた当初は、VA(個人発行株式)を用いてお金儲けをする方法もあるんじゃないか?なぜ他の人はやらないんだろう?という率直な疑問もあったのですが、実際に今回の経験を通して、ただVAを売買して儲けるのではなく、VAを購入した優待を最大限に活用して「色々な人と繋がる」ことが目的なんだなぁ、と再認識しました。

ビジネス交流会などで自分が会いたい方をピンポイントで探すのは至難の業ですが、「VALU」であれば「信用の担保(個人の活動と連動して株式が変動する)」があるので、非常に優れたツールだと思います。自分の株式を販売し、人の株式を購入する。その優待によって自分の価値を提供でき、同様に目的の為に人の優待を活用させていただく。

実際に「VALU」仲間で宮古島に引っ越した方がいるのですが、その方は「いつでも来てくれていいよ」と言ってくれるので、そういった繋がりがあると全く知らない土地にも気軽に足を延ばせますし、「VALU」を通した一つの信用経済圏もできるのではないかと感じています。

また、これまで実現しにくかった個人間での繋がりが緊密になることで、良いアイディアを持った人同士の繋がり、今回のように何かを目指す過程でこちらが求めている方々と出会えることで、良いシナジー効果が生まれていくのではないでしょうか。

パターンやカラーの異なるアイテムの生産にも着手している

パターンやカラーの異なるアイテムの生産にも着手している

 


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中島さんが手掛ける「高知グッズ」に関する情報はこちら
WEB : kochi.fashionstore.jp/
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