香港広東で!特集「もっと、韓国」
日本では2003年に放映されたドラマ『冬のソナタ』から先行して巻き起こった韓流ブーム。近年のネットドラマやK-POPでその人気は再燃し、若者まで「沼落ち」するほどの人気になって数年が経つ。そしてここ香港でも、NETFLIXでは軒並み韓国ドラマが上位を占め、街中ではBTSやBLACKPINKの広告を多く目にするのは同様だ。今回の特集では、その人気のからくりと香港広東でいただくおいしい韓国料理店をフィーチャー、思い切り韓国気分に浸っていただきたい。
文化発信に特化する政府機関
韓國文化院をのぞいてみよう
中環はPMQ内に「駐香港韓國文化院」はある。世界33都市に展開する韓国政府機関の一つで香港設立は2018年だそうだ。B座の6、7階という広いスペースの同院では、韓国の音楽、食、アートなどを展示体験でき、韓国にまつわる様々なイベントが定期的に行われている。今回は韓国文化や同院の活動について、ディレクター、リ・ヨンホ氏(以下、リ氏)にお話を伺った。
Q.さっそくですが、K-POPの人気の理由は何ですか?
リ氏 コンテンツを制作する前から海外向けに発信することを基盤として構成される点です。例えば、来年1月に香港でコンサートを開催予定のBLACKPINKの誕生秘話がその代表ですね。メインダンサーとして活躍しソロで広告にも引っ張りだこのLISAはタイで、また、メインボーカルのROSEはオーストラリアでそれぞれYGエンターテインメントのオーディションを受け合格し研修生になりました。このようなメンバーの構成は全世界のK-POPファンたちとのコミュニケーションに大きく役立っています。また、メインシンガーとバックダンサーという構図が多いアメリカのミュージックシーンとK-POPの違うところは、それぞれ違った個性を持ったK-POPのメンバーが、チームワークを大事に、支え合いながら活動をしているという点です。BTSもBLACKPINKも、ローテーションでセンター役が回ってくることで、メンバー全員に固定のファンがつきその人気を支えています。さらに、K-POPのユニットは少人数や大人数などのチームで構成されているため、K-POPファンは友達と集まってカバーダンスをしながら韓国文化を楽しんでいるようです。
Q.K-POPはファンの力が絶大だと聞きました。
リ氏 そうですね、BTS(防弾少年団)のファンはArmy(アーミー)と呼ばれるように、アーティストとファンの距離がとても近い。アーティストたちはSNSを通して自身の日常生活を共有しながら、ファンたちとコミュニケーションをとります。そしてファンクラブでは、その情報をお互いに交換できる仕組みになっています。ファンの宣伝力を大活用した戦略が特徴ですね。Q.韓国ネットドラマの人気の理由も教えてください。
リ氏 韓国でのドラマ制作では基本的に「脚本」が起点です。シナリオライターの競争が激化している韓国では何よりも「脚本力」が重視され、ストーリーが先行して決まります。その後、作家やシナリオライターも参画して、キャスティングや音楽、衣装など表現方法が決定されていくのです。最近では、自閉症というハンディキャップのある弁護士を描いたドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』が話題になりました。法律はもちろん、自閉症のことなどとても細部まで鮮明に描写された同作は、脚本の素晴らしさ通り、視聴回数トップを走っています(8月現在)。また、全世界で同時に視聴できるOTTプラットフォームが発展したことで、韓国で製作されたドラマが世界的に人気を得るのに一役買ったと思われます。例えばひと昔、OTTプラットフォームがまだなかった頃、世界的な人気ドラマだった『大長今(テジャングム)』は今よりも複雑な過程を経て世界に広がりました。今はNETFLIXなどを通して全世界が簡単に韓国のドラマを楽しむことができるのです。Q.香港の人々の韓国に対する興味の変化はありましたか?
リ氏 音楽やドラマなどの影響もあり、今夏に行ったK-POPダンスコンペティションでは600名の観客が来場しました。また、韓国語講座には応募開始から4~5日で1830名(前年度は約400名)もの募集もあり、スタッフ一同驚いていたところです。香港の皆様が韓国文化により多くの興味を持ってくれたことが嬉しいですね。実は今年、香港大学の外国語入学試験科目に韓国語が追加されることが決定(実施は25年から)し、今後ますます韓国語のニーズも高まっていくことでしょう。
Q.貴院の今後の活動について教えてください。
リ氏 今年の10~11月に「第12回FestiveKorea」を開催します。国内外から著名なアーティストを招き演奏や作品の展示、クッキングワークショップなどを行い、韓国文化を身近に体験していただけます。文化を知ればその国のことをもっと深く理解できますね。コロナ禍で往来はまだまだ厳しい今だからこそ、ここ香港で韓国文化を体験してもらいたい。ぜひ、PPWの読者の皆様も韓國文化院のイベントに気軽にご参加ください。
駐香港韓國文化院 Korean Cultural Center
6-7/F., Block B, PMQ, 35 Aberdeen St., Central
FB: www.facebook.com/kcchongkong
マシッソヨ!
香港で外せない人気店をご紹介!
予約でいっぱいの人気店
妥協のない本場の韓国の味がその秘密
Seoul Night
「人がやっていないことにトライする」これがオーナー、リ・ヒュンジュンさんのモットーだ。10代初めの頃、父親の仕事の都合で家族で香港に移住して以来、香港をベースに生活をしてきた。実はご両親もここ香港で韓国料理店を営んでいたことがあり、食に興味を持つようになったのもキッチンに立つ母親の背中をいつも見ていたことが影響したようだ。2014年より自身もTSTで韓国BBQ店を運営していたリさん、コロナなどの情勢もあり一度その店をクローズした後、満を持して2022年2月より寶勒巷(PratAve.)に「Seoul Night」をオープンした。
大迫力の「骨つきリブステーキ肉」!
上述のモットー通り、同店のメニューは他店では見ることのできないユニークなものが多い。例えば「Long Cut Whole Beef Ribs(牛肋骨)」を見ると納得がいくだろう。豪快な見た目の骨付きビーフリブは、肉の分厚さが特徴だ。まるでステーキのように分厚い肉を鉄板でさっと焼いた後は、付属のワサビを少しのせてシンプルにいただくのが通の食べ方。肉本来の旨味が口いっぱいに広がり、ついつい箸が止まらなくなる飽きの来ない味わいだ。もちろんこの分厚い肉をサンチュやごまの葉に包んで、サムジャン(韓国味噌)やごま油を少しつけていただくのもいい。とにかく肉の弾力、そして広がる肉汁を思う存分味わってほしい。
独自に構築した輸入ルート
また、「カムジャンケジャン」とも言われる「Soy Sauce Marinated Crab(醤油蟹)」は、韓国の延平島から空輸で仕入れている新鮮な蟹を使った本場の味。来店すると、どのテーブルの客もビニールの手袋をつけ生の蟹みそを堪能している様子を必ずや目撃するだろう。それほどオーダー率が高い看板メニューだ。スタッフが蟹みそとつけダレやご飯、韓国海苔などを手早く和え甲羅の器に美しく盛り付けする様子を見ているだけで、よだれをこらえるのに必死になってしまうほど。他にも、外部サプライヤーに頼ることなく、独自の輸入ルートを使い韓国の調味料や食品を使用する徹底ぶりにも感服する。
凍らせたソジュは同店だけ?!
同店の魅力は食べ物だけではない。韓国焼酎「ソジュ」の種類だけでも16種類以上あり、マスカットやストロベリーなど女性にも飲みやすいフレーバーも人気だ。店名「Seoul Night」とラベルが貼られたオリジナルのソジュも置いており、行く度に日替わりでいろいろなドリンクを楽しめる。また、とっておきはアイスソジュ。アルコールなので凍りはしないのだが、氷点下の温度で冷やすことでスッキリと飲みやすい味わいで、キンキンに冷えたソジュをワンショットでいただく時の喉に伝わるひんやり感がおもしろい体験になるだろう。ランチもよしだが、お酒好きの方はバンチャン(惣菜)と、ソジュやマッコリで一杯やるのもおすすめ。個室は全部で6部屋、2フロアに分かれた広々とした店内では最大150名を収容可能となっている。少人数による普段使いはもちろん、会社の宴会など大人数での利用も安心してできそうだ。同店はいつも本場の韓国好きな香港人でいっぱいのため、ディナー利用の際は事前に予約を取って行った方がいい。
10代から香港で過ごし、はや40年目を迎えるリさん。香港の魅力を「1時間以内に移動可能なコンパクトさと、スピーディーに動くリズム」と表現する。オーナー自らが納得し、自信を持てるメニューしか提供しない、そんなこだわりを感じられる店づくり。リさんは、近年韓国でも大人気の居酒屋スタイル(ポチャ)の新店オープンも別途計画中という。他店にはない新しいサービスを追求する同店と、オーナーの今後の活躍も楽しみで仕方ない。
13-15 Prat Avenue, TST
(852)2386-8838
12:00~24:00
韓国BBQ店のビッグブランド
本場のクオリティを誇る確かな味
Seorae<喜来稀肉>
「当店のキムチを食べたら他店のはもう食べられないくらいおいしいですよ」と言って薦めてくれた白菜キムチ。一口食べてみると白菜の甘さの後に唐辛子のしっかりとした辛さがやってきて、雑味のないニンニクが奥行きを醸し出す。このキムチだけを求めて来店する客もいるんだとか。また、キムチだけでなく、同店ではキッチンでアジュンマ(おばさん)がバンチャン(惣菜)を毎日せっせと愛情込めて用意する。客はアジュンマお手製のバンチャンを好きな分だけいただくことができる良心的なサービスも好評だ。
来店したらオーダーすべきは「壹頭牛BeefSet」。ハラミ、バラ、リブ、味付けステーキ肉など牛肉のいろいろな部位を試せるセットだ。この中でも同店の看板メニューは横隔膜近くにあり一頭からわずかしかとれないというハラミ(護心肉)。見た目や食感は赤身肉のように弾力があり、脂身が少なくさっぱりといただける部位だ。同店ではバラの花びらのように美しく盛り付けされて提供され、テーブルを一気に華やいだ雰囲気にしてくれる。
また、同店のこだわりは肉の下味用の調味料に一手間かけているところだ。人参や玉ねぎ、ニンニクなどを丹念にすりおろし、肉を漬け込むことで、野菜本来の自然な甘みが主役の肉の存在感を引き立てている。
同店は自身もバイトスタッフから経験を積んだというジェネラルマネジャー、キム・ヨンモさん(写真左)と、兵役時代に料理の道に入って以来10年以上の経歴を持つシェフ、ソン・ホジンさん(写真右)がタッグを組み、韓国BBQのビッグブランド「Seorae」そのままの味を香港で提供している。箸休めには、「氷冷麺」や鉄板のまわりにフツフツと焼ける「チーズ卵」を食べてみて。本当においしい韓国体験をするなら同店は外せない。
TST店
G/F., Passkon Court, 79-81 Kimberley Rd., TST
(852)2723-6692
12:30~23:00
ほか旺角と鐘鑼湾、全3店
ミシュラン2つ星シェフが生み出す
進化するアートのようなグルメ
MOSU
今年4月、西九文化區の「M+」内にオープンした韓国料理レストラン「MOSU」。コスモスの韓国語の発音から名付けられた店名には、エグゼクティブシェフ、ソン・アンさんがコスモス畑で遊んだという幼少期の思い出と、コスモスのように香り高い料理をテーブルに届けたいという思いが込められている。韓国生まれ、アメリカ育ちの彼は、まずフレンチの道で修行を積んだ。その後、2015年にサンフランシスコで自身の店を開き、わずか1年でミシュラン1つ星を獲得するという異例の快挙を成し遂げた。2017年にソウルへ戻ると、コンテンポラリーダイニングと伝統的な韓国料理のテイストを融合させた革新的なメニューが話題を呼び、ミシュラン2つ星を手に入れることに。今では香港の新しいアート発信地ともなった「M+」の中で、建物全体の荘厳な雰囲気に負けない存在感を放つのが、シェフが創り出す絵画のように美しい料理たちだ。
メニューのひとつに、韓国から取り寄せたアワビを、湯葉とシソの葉で作った殻で挟んでいただく料理がある。アワビの弾力とパリパリの殻の食感の対比を味わうことができる究極の一品だ。さらに、小籠包の形のように見える一品、わかめ豆腐の中に北海道のウニを包み、だしベースでいただく料理も、シェフオリジナルのアイデアが光るものだ。どの料理も目で楽しみ、舌で味わい、韓国料理の新旧の融合を感じることができる。セットメニューは季節によって内容が変わるので、韓国食材の旬を感じるのも乙。西九龍のスカイラインを眺めながら新しい食体験への旅に出かけてみてはいかがだろうか。
Level 3, M+ Cultural District,
38 Museum Dr., West Kowloon
(852)2398-0291
5286-6218(WhatsApp)
www.restaurantmosu.com
ドラフトオリオンビールが飲める
日本人オーナー常駐の隠れた名店
NamdaemoonKoreanB.B.Q.Restaurant<南大門>
「おかげ様で計6店舗の分店がありますが、全部TST周辺です(笑)」と同店を切り盛りしている日本人オーナー、松下さん談。香港生まれサンフランシスコ育ちの彼がお店にいるときは、100%日本語だけで注文から雑談まで過ごすことができる、新赴任者にはありがたいお店だろう。オーナーは大抵5号店に顔を出しているそうだ。
飲み物には韓国ビールから焼酎、マッコリはもちろんのこと、韓国レストランでは珍しい、オリオンビールをドラフトでいただけるのはうれしい。
また料理一つひとつのポーションがそこまで多すぎず、お一人様飲みにも最適だ。来店人数によってバンチャン(惣菜)の量も変わるので、一人で韓国レストランに行って食べきれない程たくさんのバンチャンに気が引ける人も、ちょうどよい量を楽しめる。
おすすめは日本人にも嬉しい白米付きの「キムチチゲ」。韓国料理の定番中の定番とも言えるメニューだが、同店のものは辛すぎず、かといってしっかりとしたコクのある、適度な辛さが特徴だ。これを〆に食べても、翌日胃もたれせずすっきりと朝を迎えることができると常連の評価も高い(個人差があります)。定番ではあるが酒飲みには目からウロコの逸品だ。
また、辛い物が好きな方は「ピビン冷麺」がおすすめ。牛骨の奥深いスープにコシのある麺がよくからみ、一口ごとに増す辛さにやみつきになってしまう。また、少し前に韓国で爆発的に流行った「(チメク、チキンとビールの意)」を楽しみたい方は「チーズフライドチキン」をオーダーしよう。これを「Cassビール」で流し込むのが韓国通かつ最高の組み合わせだ。さて、心地よく飲んで食べて、今夜も見も心も大満足で家路につこう。
南大門(5号店)
G/F., South East Mansion, 75 Kimberley Rd., TST
(他同店2階も含む徒歩圏内に5店舗)
2723-2993
12:00~24:00(曜日・店舗により変動あり)
韓国人が足繁く通う店
飽きの来ない豊富なメニューが人気の訳
HanAhRum<韓雅林>
いつ訪れてもハキハキとした日本語で快活に客を迎えてくれるオーナー、キム・ヨジュンさん。釡山近くの街で育った彼女だったが、親戚が香港でビジネスをしていたこともあり、彼女自身も香港へ移住。新天地で飲食業に携わり続け18年が経つ。「HanAhRum」自体は6年目、その間には情勢の影響を受けて大変な時もあったが、昔ながらのお店のファンが通い、支えてくれたという。
同店のおすすめを伺うと「ありすぎてしぼれません!(笑)」と明るい笑顔で答えてくれたキムさん。どのメニューも主役級においしく、そのバラエティーの豊富さが常連の心を掴んで離さない理由だろう。
取材当日にいただいたメニューの一つ、韓国の食の都としても有名な全羅道(チョルラド)から急速冷凍を施し輸入している「醤油蟹(カムジャンケジャン)」は、濃厚な漬けダレとクリーミーな蟹みそが相性抜群。また、牛肉ユッケのお肉は新鮮そのもので、卵黄ときゅうり、梨の細切りのみというシンプルさながら、お肉と梨の甘み、ごま油のアクセント、そしてきゅうりの食感が相まってゲストを唸らせる自信メニューとなっている。さらに、キムさんが太鼓判を押すメニューの一つに「チャドルバギ」がある。これは希少部位である牛のあばらの霜降り肉を薄くスライスし、サッと焼いていただくもので、香港でも提供している店は少ないのだそう。脂身の多い肉ながら薄くカットされているので、同店特製の玉ねぎチョレギサラダと一緒にいただくとご飯が何杯でも進んでしまう魔性のメニューと言えるだろう。
バンチャン(惣菜)やスープはすべて自家製だという同店で、常連の心を掴んでいるのはズバリ、白菜キムチ。作り方は企業秘密なわけだが、ある野菜をすりつぶしほんのりとした甘さとコクを感じられる自家製キムチは食べてみたらハマってしまう一品だ。
最後に、3人の韓国人若手シェフが在籍する同店では、伝統的な味を守りつつも、新メニューの開発にも余念がない。最近ではカルビ、タコ、エビを入れた新メニュー鍋(カルラクセ)が大ヒットしているそうだ。焼肉だけではない、韓国料理の真髄に出会える同店の味をぜひ味わってほしい。
6/F., Causeway Bay Plaza 1, 489 Henessy Rd., CWB
2866-6927
12:00~15:00、18:00~23:00
料理だけじゃない!
マシッタな韓国の人気飲み物集
韓国ドラマに「沼落ち」している人も、韓国ドリンクを飲んだことがない人も!本特集を読んで今すぐ韓国食品スーパーへ急げ!知らないともったいないおいしいテイストに出会えるはず。また、これらを飲みながらの韓国料理はより一段とおいしいはず!
ボクブンジャ伝統的な果実酒、ボクブンジャ。ラズベリーの一種(覆盆子)を原料としており、ビタミンCが豊富なことから、女性だけでなく健康志向の高い男性からも人気が高い。韓国では昔から健康飲料というイメージが強かったが、有名な俳優を起用したCMのおかげで、身近なイメージが定着し、人気飲料の仲間入りをした。
ソジュ韓国料理のお供のお酒と言えばこの焼酎。韓国ドラマや映画で登場人物たちが、小さなグラスでクイっと飲み干す様子をよく見かけるだろう。代表的な銘柄はチャミスルや眞露などが有名だ。近年では女性でも飲みやすいようにフルーツフレーバーが多く発売されている。アルコール度数15~20度のものが一般的だが、13度以下のものも増えてきている。
ソメクソジュ(焼酎)とメクチュ(ビール)を混ぜた「爆弾酒」と言われる危険な飲み物(笑)。その由来は、ビールのジョッキに焼酎の小グラスをそのままドボンと入れる様子が爆弾みたいだから、またはすぐ酔っぱらう爆弾のような飲み物だから、など諸説ある。ビール8:ソジュ2の割合がおいしくいただける黄金比率。
ミルキス韓国人の子どもはみんなこれが大好きとも言えるほど、ソウルフードならぬソウルドリンクのミルキス。韓国LOTTEのロングラン商品でもある。ミルクの炭酸飲料で微炭酸なところが飲みやすく、また、カルシウムやビタミンAが豊富というのも魅力的だ。ミルク味のほか、アップル、メロン、ストロベリーなどもある。
柚子茶韓国と言えば柚子茶。レストランのソフトドリンクメニューに必ず書かれている定番中の定番の飲み物だ。柚子と蜂蜜の甘い味わいが人気かつ、ビタミンC豊富な観点からヘルシードリンクでもあり、風邪のひき始めなどにもよく飲まれる。香港で入手する場合は、成分に純粋蜂蜜使用かどうかを確認しよう。
バナナウユ1970年代の高度成長期、韓国国民の健康増進を目的に発売されたバナナウユ(バナナ牛乳)。子どもたちは銭湯の後や、寝る前、朝食にこれを飲んで大きくなった。香港の韓国スーパーやレストランでは必ずといっていいほど同商品を取りそろえている。ユニークなつぼ型ボトルはキムチの壺を表現しているそう。
チルソンサイダー日本ではスプライト、香港では7UP、ならば韓国ではこれチルソンサイダー。こちらもLOTTE社が販売する国民的炭酸飲料のひとつ。甘すぎないテイストが韓国BBQや辛い料理、あるいはマッコリやソジュのサイダー割として重宝される理由だろう。この緑の細長い缶もレトロな感じがして〇。これを飲めば韓流ドラマの主人公の気分に!
シッケ日本人が銭湯の後にコーヒー牛乳を飲むのなら、韓国人はチムジルバン(韓国式スーパー銭湯)でたっぷりと汗をかいた後にシッケを飲むのが韓流。米を原料とした発酵飲料でアルコールは入っていないので子どもでも飲める。日本の甘酒と似ているが、そこまで甘くなく後味もさっぱりしている。
マッコリソジュと並んで韓国の代表的なお酒のひとつ。米を主原料としたアルコール発酵飲料であり、白く濁った見た目が特徴的だ。近年では品質改良や、フルーツやヨーグルトなどのフレーバーの開発が進み、若者からの支持を集めている。アルコール度数も6~8度と高くなく、お酒の強くない人にもおすすめのお酒。
お家ご飯やお酒のおつまみにも
バンチャン買うならココ!
都会派の韓国惣菜デリ
SEOUL RECIPE
香港に6店舗を持つオシャレなデリショップ「SEOUL RECIPE」。設立は2017年、1号店は2020年にSOHOで、そしてこの9月に初フラッグショップがLee Garden Twoにオープンした。韓国人の創立者ジェニファー・キムさんが心がけること、それは忙しい香港の人々に、ユニークかつ本場の韓国食材を届けることだ。同店では、キッチンで毎日作られるキムチなどのバンチャンやマンドゥ(韓国餃子)やプレミアムカルビ肉などの冷凍食品、空輸で仕入れる韓国産フルーツや野菜などが所狭しと並べられている。おいしさの秘密は、店頭のバンチャンやランチボックス、オンラインデリバリーすべてに、100%ピュアごま油、ヒマラヤソルトなど無添加のものを使用しているところ。おいしさはもちろんのこと、身体のことを考えて作られるメニューは、何度でもリピートしたくなる。忙しくて食生活に配慮できない時は、近くを訪れたらぜひ立ち寄ってほしい都会派惣菜デリショップ、ぜひチェックを。
FLAGSHOP
Lee Gardens Two, 28 Yun Ping Rd., CWB
11:00~20:00
SOHO
Lower Ground, 7 Staunton St., Central
11:00~21:30
ADMIRALTY
LG1, Two Pacific Place,
88 Queensway, Admiralty
10:00~21:30
ほか全7店
https://seoulrecipe.com
韓国の田舎惣菜店
Banchan1995年の創業以来、香港における韓国人界隈で知らない人はいないクラシック惣菜店、「Banchan」。もちろん商品は店内で全て手作り、使用する唐辛子やニンニクなど主な材料は韓国産を用いるなど、韓国の片田舎にある惣菜店がそのまま香港に上陸したかのようだ。大衆スーパーなどでは見かけない「エゴマの葉」や「韓国式豚足」など、韓国人にとっての「おふくろの味」が勢揃いしている。注目は「鮑の醤油マリネ」(5個HKD70、季節限定)。韓国人は儒教思想から目上の人に対し絶対的な敬意を払うが、食卓に鮑が出ると親が相手でも食って掛かって取り合いになるという逸話もあるほど、韓国人の大好物だとか。そのまま白米の上にのせていただいても、お酒のアテにも、美味しいだけでなく様々なシチュエーションに使える。値段も非常にお手頃、見かけたら是非試していただきたい。
G/F., Kimley House, 3 Kimberley St., TST
11:00~21:00(日曜定休)
Facebook:banchanhk
広東で!
韓国料理を召し上がれ!
広州で韓国街と言えば遠景路にある「コリアン・ストリート」。韓国料理店、スーパー、カフェ、デザート店など韓国の食文化に触れることができるスポットだ。白雲でビジネスを行う韓国人が多かったことから遠景路に韓国系のいろいろなお店が集まったことが、この界隈の始まりだそう。今回はこの遠景路のほか、広東全域で指折りの絶品韓国料理店を紹介!
オモニの作る韓国家庭の味
美家美食韓国料理
広州の韓国料理と言えば、遠景路を思い浮かべる人が多いかもしれないが、実は韓国企業の多い黄埔も、韓国料理のメッカだということをご存知だろうか?羅崗万達広場にある同店は、朝鮮族のご夫婦が切り盛りする店。一見すると見逃してしまいそうな控えめな外装だが、それでも店内はいつも満席という人気ぶり。家庭の食卓のような温かい雰囲気が連日客で賑わう理由だ。また、店内には小さな舞台とテレビスクリーンがあり、BLACKPINKや(G)I-DLEなどの人気曲を聴きながら食を楽しめるので、味覚と聴覚のどちらもまさに韓国にいるような気分に。同店のメニューは豊富で一皿のボリュームが多いので、大勢でワイワイしながらいろいろ注文するのがよさそう。なかでも看板メニューは「オサムプルコギ(イカと豚バラのキムチ炒め)」。プリプリの食感のイカとジューシーな豚バラが、キムチやコチュジャンのピリ辛とよくからみビールがすすむ一品。その他にもトッポギなどの家庭料理がおいしい同店、ぜひ訪れてみて。
黄埔区科豊路羅崗万達広場香雪商店街2階D 225号
11:30~14:00、17:00~21:00
オーナーはメディアで引っ張りだこの美食家
本家
韓国の美食家として知られ、料理研究家やタレントとしてメディアに引っ張りだこのペク・ジョンウォン氏。自身のYouTubeチャンネルでは500万人以上の登録者を持ち、NETFLIXでも主演のトーク番組『呑んで、食べて、語って』が大好評だった時の人だ。そんな彼がオーナーを務める店は珠江新城内にあり、その店内は木を使った温かみのある内装が特徴的だ。また、各テーブルには排煙システムが整っており、食べ終わった後の焼肉臭さが少しも感じられない点も嬉しい限り。同店のこだわりは、ガスではなく果樹木炭を使った炭火にある。肉を焼き上げる過程で木のいい香りが肉へ移り、一口含んだ時に豊かな香りを感じられるそうだ。また、炭火の特長の高温で肉を瞬時に焼き上げるので、旨味を凝縮させ、余分な油を落としてくれる効果もある。同店では毎朝その日に提供される分の新鮮な肉類が届く。肉のテクスチャーが美しい豚バラ、分厚く均等に切られた牛カルビ肉など、テーブルに運ばれてきたら今すぐ焼いて特製ダレにつけていただこう!今晩は「肉パーティー」で決まり!
天河区興盛路11号興盛匯3階301号
11:30~14:00、16:30~22:00
ハラミ?牛タン?大満足の焼肉店
韓香亭・炭火焼肉同店は深圳に住む人は誰もが知っているという有名焼肉店で、10年の歴史がある。店内に足を踏み入れると、韓国や中国で大人気を博したドラマ『恋のスケッチ~応答せよ1988~』に登場したロケ地の田舎レトロ感に出会う。朝鮮族のオーナーは家族経営の韓国料理店での経験を生かし、深圳に自身の店をオープンさせ、確実な人気を誇っている。同店で常連の韓国人客が必ずオーダーするメニュー、それは「ハラミ」だそう。一頭の牛から少量しかとれないこの部位は、食感がよく、客は肉を飲み込むまで喉越しまでも楽しめる。また、1cmにカットされた厚切り牛タンは、炭火の香りと炙り感を楽しんでもらうために、オーナーが網状に切り提供する。こうすることでカリカリの食感が増し、つけダレとの絡みもよくなるそうだ。焼肉に飽きたら、韓国焼酎を飲みながら海鮮チヂミや冷麺などサイドメニューで韓国の宴を楽しもう。
南山区南光路65-16号
南頭街道学府路220号東方銀座
11:00~22:00
豆乳冷麺を求めて遠方から来る客も!
玄風遠景路で10年以上変わらずに店を構える同店は、白雲区の韓国料理人気店ランキングトップ10に入る常連店。広州に住む韓国人が足繁く通う店としても名が知れている。店内のインテリアは韓国から取り寄せたもので、なかでも靴を脱いで上がる座敷は、いかにも韓国らしい雰囲気だ。同店は広州で初の「韓式豆乳冷麺」を始めた店でもある。韓流ドラマで主人公たちがおいしそうに食べている人気メニューを、ここ広州でも食せるとあり、韓流ファンもよく訪れるそうだ。豆乳のまろやかな口当たりや香ばしい大豆の香りと、のど越しのいい麺が合わさりやみつきになる人続出メニューとなっている。スープの中に入っている氷にも豆乳が使われているほか、テーブルに運ばれてきてからお好みで塩加減や甘さを調味できる点がリピーターから好評とのこと。その他にも、サムゲタンやコンチキムチチム(さんまのキムチ煮)なども常連から人気のメニュー。遠景路の中でも本場韓国の味を体現するお店と言えるだろう。
白雲区棠景路181号韓匯里b棟102号
10:00~22:00
韓国人スター経営の人気店
姜虎東白丁烤肉韓国の人気MCとして活躍するカン・ホドン氏が経営する店で、世界では500店以上の店舗を持ち、中国には2003年に上陸して以来、韓国焼肉好きに支持され続ける店。番禺店には韓国男性アイドルグループEXOの直筆サインが飾られており、ファンの間では聖地のような存在になっている。店内には丸いテーブルがたくさん置かれ、その上に長い排煙筒が下がるザ・韓国焼肉定番の内装だ。実は同店、テーブルの上に所狭しと並べられる前菜(バンチャン)の品数の多さがネットで話題となった。甘く煮たサツマイモや、こんがり焼かれた卵餅、キムチのほか、モヤシやネギが豊富に用意され、客はサンチュと肉と一緒に好きな前菜を包み、思い思いの味が楽しめるわけだ。また、定番の焼肉のタレだけでなく、わさびと酢のタレも用意されており、一部の客の間では、あっさりと焼肉を食べられると好評。さらに、鉄板の淵で焼く卵やコーンチーズにお肉をディップしていただくのも通の食べ方で、あまりのおいしさに手がとまらなくなる要注意メニューでもある。PSYの『江南スタイル』を聴きながらジュージューと焼肉を楽しもう!白雲区心誼路108号初層105号
11:30~23:00
創意工夫のメニューを楽しめる!
TAIFOOK大福創意韓国料理深圳の「韓国料理店ランキング」で1位の座を獲得し続ける韓国料理店がここ。一度来店すると2回目、3回目とやみつきになるのが同店の人気の秘密らしい。人気の理由は何か、それは店名にもなっているように「創意」、つまり定番の韓国料理を独創的なアレンジでいただくことができるところ。例えば、看板メニューのタコと牛肉のコチュジャン炒め。大きな鉄鍋にもやしとたっぷりのチーズとともにアツアツの状態でサーブされる。目の前で焼かれるジュージューという音と、コチュジャンのいい香りを感じながら、やけどに気をつけて頬張るこのひと時は、幸せと言わずして何と言おうか。聴覚、嗅覚、味覚を同時に刺激される究極の一品だ。深圳では宝安区と南山区の2店舗あり、どちらも実際に韓国にいるような気分になる本格的な内装も特徴。ネットでは部隊鍋、海鮮チヂミ、韓国風フライドチキンも好評価。次に来店したら、また新しい独創的なメニューが増えているかもしれない。楽しいサプライズを見つけに出かけよう。宝安区新安三路裕安居2棟125-15号
南山区西麗街道石鼓路旺棠工業区11棟兹公寓
月~金 11:00~14:00、17:30~22:00、土日 11:30~22:00
必食!とろ~りチーズのスペアリブ
稻谷家同店はグルメアプリには広告を出していないにもかかわらず、深圳に住む韓国人から愛されて17年という長い歴史がある。シェフでもあるオーナーは韓国人で、独自に考案したメニューは300種類近くというバラエティー豊かさが自慢。その中でも来店客が多く注文するのが「ダッカルビ(チーズスペアリブ)」で、なんでも同店が深圳でこのメニューを始めた先駆者なんだとか。特製調味料で甘辛く味付けされ、こんがり焼き上がったスペアリブと、濃厚なとろ~りチーズのコクがたまらないメニューだ。もしチーズが足りなく感じたら追加も可能といううれしいサービスも。この時だけはカロリーの摂りすぎなんて気にするのはご法度!韓国の屏風や板の間という伝統的な韓国式家屋で、ゆっくりと落ち着いて韓国料理を楽しみたい時におすすめの同店、ぜひ訪れてみよう。深圳市大鵬新区迎賓南路大鵬佳兆業広場L 326号
10:00~22:00
家族でトライ!
お家で作れるカンタン韓国料理レシピ
レストランで食べるシェフの本格韓国料理もいいけれど、家庭で作る愛情たっぷりの一品も格別。今回は香港で韓国料理教室やケータリングサービスを行うミンジ先生に、家庭でも簡単にできる代表レシピを伺った。週末は家族でワイワイ、韓国の味を作ってみてはいかが?
キンパ
日本の海苔巻きに似ているキンパは韓国料理の代名詞。このキンパもコツさえ掴んだら、急な来客にも自信を持っておもてなしでき、テーブルを彩る一品になる。さっそく材料と手順を確認しよう!
材料(2本分)
米・・・・・・・・・・・・240g
海苔・・・・・・・・・・・2枚
A塩・・・・・・・・・・・ひとつまみ
Aごま油・・・・・・・・・小1
卵・・・・・・・・・・・・1個
たくあん・・・・・・・・・2枚
にんじん・・・・・・・・・1本
きゅうり・・・・・・・・・1~2本
ごまの葉・・・・・・・・・4枚
牛肉薄切り・・・・・・・・200g
Bしょうゆ・・・・・・・・・小2
B刻みにんにく・・・・・・・小1
B刻みネギ・・・・・・・・・小1
B砂糖・・・・・・・・・・・小1
Bしょうがのすりおろし汁・・小1
B粗びきこしょう・いりごま・適量
Bごま油・・・・・・・・・・小1
作り方
1.ご飯が炊き上がったらAをヘラで混ぜ、冷ます。
2.フライパンに油をひき、溶いておいた卵を流し込み薄焼き卵にする。冷めたら棒状にカットする。
3.にんじんときゅうりを薄くスティック状にカットする。薄くカットすることで巻きやすくなる。
4.Bの調味料に漬けた牛肉をフライパンで焼き水分を飛ばす。
5.巻きすに海苔を横向き(つやのある表面を下)に置き、ご飯(120gずつ)、ごまの葉(2枚)、卵、牛肉、たくあん、にんじん、きゅうりの順に並べ、手前からくずれないように巻く。
6.包丁の刃を濡れふきんで湿らせカットし、盛り付ける。
ポイント
牛肉のほか、ハム、ソーセージ、エビ、チーズなどお好みの具材を用いてもOK。
海鮮チヂミ
大人は酒のおつまみに、子どもはおかずとしてモリモリ食べられるチヂミは食卓でも大活躍の一品。日本人の家庭でもよく作る方もいるかもしれないれけど、ミンジ先生のレシピではナンプラーを入れて、海鮮の味を引き立たせるのがポイント!
材料(1枚分)
ニラ ・・・・・・・100g
玉ねぎ・・・ ・・・1/5個
にんじん ・・・・・1/5個
小エビ ・・・・・・10個
ベビーホタテ ・・・10個
イカ ・・・・・・・1/2杯
卵 ・・・・・・・・1個
赤唐辛子・・・・・ 1/2本
韓国チヂミ粉(なければ片栗粉と小麦粉を半量ずつ)1カップ
冷水 ・・・・・・・3/4カップ
ナンプラー ・・・・小1
作り方
1.ニラは5cm幅、玉ねぎとにんじんは薄切りにカットし、ボウルに入れる。
2.1にチヂミ粉、海鮮、ナンプラーを入れたら混ぜ、ゆるすぎず、固すぎない生地になるように冷水を少しずつ足しながらその都度混ぜる。
3.小4の油(分量外)をフライパンにひき、フライパンが温まったら生地を流し込む。火加減は中火。
4.あらかじめ溶いてあった卵を入れ、フライパンを動かしながら均一に卵液を広げ、全体的に火が通ったらチヂミを裏返す。お好みで赤唐辛子を乗せもう一度チヂミを返し、こんがりパリパリになるまで焼く。しょうゆ、酢、ごま油、唐辛子粉、玉ねぎ、ごま、チョンヤン唐辛子などをお好みで混ぜソースを作れば完成。
ポイント
お好みやスーパーの品ぞろえに合わせ、ニラを小ネギに変えてもOK。食感をさらにこんがりサクサクにしたい時は、冷水をスパークリングウォーターにしたらプロ並みの出来に!
ミンジ先生プロフィール2013年よりCWBにて韓国料理教室を主宰するエミリーミンジチャエ先生。著書に『Korean wife’s secret recipes』がある。現在は、料理教室&フードケータリングサービス「Min’s Kitchen」を運営、香港人や韓国人に伝統的な韓国料理の極意を伝え、またおいしい食を届けている。
WEB:minskitchen.hk
IG:mins_kitchen_hk
著書『Korean wife’s secret recipes』は香港の誠品書店でベストセラーに。