「新 労務派遣暫定規定について」 広東盛唐法律事務所
「新 労務派遣暫定規定」の概要
中国人力資源社会保障部は、2014年1月24日、労務派遣に関する最新規定「労務派遣暫定規定」(以下「暫定規定」と言います。)を公布しました。暫定規定は、2014年3月1日から施行されています。
今回新たに公布された暫定規定は、昨年施行の改正労働契約法おいて不明確であった点を明確化したものであり、主要な点としては、労務派遣の雇用部署、雇用比率及び雇用比率調整の経過措置などの分野に関して、より具体的な規定を設けています。
暫定規定の内容は、労務派遣を活用していることが多い現地日系企業にとって影響が大きいものと思われ、速やかに暫定規定の規制内容に対応した実務的措置をとることが必須であるといえます。
そこで、今回は其の中でもとりわけ重要と思われる、「補充性に関する規定の追加」、「派遣労働者の雇用比率及び雇用比率調整の経過措置」について、重点的にご説明します。
一、新たに施行される「暫定規定」の内容
1.補助性に関する規定の追加
暫定規定においても、労働契約法の規定と同様に、臨時性、補助性又は代替性のある業務部署にのみ派遣労働者を使用することができると規定され、臨時性、補助性、代替性について、労働契約法と同一の基準を規定しています(暫定規定3条1項、同2項)。
これに加えて、暫定規定は、労働契約法の規定を一歩進め、補助性部署について、派遣先企業が派遣労働者を使用する補助性部署を決定する際には、従業員代表又は全従業員との協議を経て案及び意見を提出し、労働組合又は従業員代表と協議して確定し、かつ派遣先企業内において、従業員に公示しなければならないと定めています(暫定規定3条3項)。
2.派遣労働者の雇用比率及び雇用比率調整の経過措置
労働契約法及び労働契約法実施条例では、派遣労働者の雇用比率について具体的な比率が定められていませんでした。
暫定規定は、1つの企業が使用する派遣労働者の数は、従業員総数の10%を超えてはならないと具体的な比率を明確に規定しました(暫定規定4条1項、同2項)。
この雇用比率については、暫定規定施行以前に派遣労働者の数が従業員総数の10%を超える企業は、雇用調整案を制定し、暫定規定の施行の日から2年以内に規定された比率まで下げなければならいという経過措置が設けられ、派遣先企業は、制定した雇用調整案を現地の資源社会保障行政部門に届け出なければならないとしています(暫定規定28条1項、同2項)。
また、暫定規定で定められた雇用比率に達するまでは、新たに派遣労働者を用いることができません(暫定規定28条3項)。
なお、外国企業の駐在代表機構及び外国金融機構の駐中代表機構等が派遣労働者を使用する場合には、上記1の臨時性・補助性・代替性の部署の制限、及び派遣労働者の雇用比率の制限を受けないとされています(暫定規定25条)。
二、今後の実務的対応の必要性
以上のとおり、暫定規定は、労働契約法及び労働契約実施条例の規定内容を明確化ないし補充したものですが、特に、補助性業務部署の決定についての社内手続(暫定規定3条3項)、労務派遣の雇用比率の調整(暫定規定4条、28条)については、実務的な影響が大きく、労務派遣を活用している現地日系企業においても、速やかに対策を検討する必要があるといえます。当事務所は、労働法分野において実務経験が豊富な弁護士を擁し、労務派遣についても多数の企業からのご相談に対応しております。今回の暫定規定の内容・対応について、ご不明な点等ございましたら、なんなりと当事務所までお問い合わせ下さい。
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