フラワービジネス「FELICE Regalo」 Iguchi Kunikoさんにインタビュー

2015/03/17

2004年に香港でフラワービジネスを行う「FELICE」を立ち上げ、現在ギフト用のフラワーブランド「FELICE Regalo」とスクールの「FELICE Flower Design Studio」を経営する、Iguchi Kunikoさん。「お花を通して笑顔をつくり、社会を明るくしていきたい。お花も特別なものとしてではなく、野菜と同じ感覚で買ってもらえるといいなと思う」と微笑む。幼少時代から花が大好きで、OL時代は趣味でフラワースクールに通い、香港に渡ってから講師の資格を取得。香港で自分の道を見つけ、歩み続けている女性の魅力に迫る。
Iguchi Kuniko
フラワーデザイナーIguchi Kunikoさんインタビュー

香港にいらっしゃったきっかけは?
夫の仕事の転勤で香港に来ました。2000年9月に香港へ渡航し今年で15年目になります。香港に来る前は夫がイギリスのバーミンガムで働いており、私もそこで1年ほど生活していました。

現在のお仕事をされる前は何をされていましたか?
日本では海外向けの出版物の編集をしていました。取扱い説明書を作製する会社で、専門的なライターさんが書いた原稿をもとに、イラストや翻訳などを手配するコーディネーターのような仕事を6年ほどしていました。

夫とは同じ職場で出会いました。付き合っている時に夫がイギリスに転勤になり、結婚を機に退職し私もイギリスへ。学生時代に1ヵ月アメリカにホームステイしたことはありましたが、本格的に海外に住むのは初めてでした。ビザの関係で仕事はできませんでしたが、庭師のおじさんに頂いた花を自分でアレンジして飾ったりしながら、朝からパンを焼いたりケーキを作ったりと、主婦生活を楽しんでいました。

お花は小さい頃から好きだったそうですね。
はい、祖母も母も花が好きで、日常的にお花がある生活を送っていました。なので私も自然とお花が好きに…。小さい頃から自分専用の花壇もあったんですよ。OL時代は、会社が終わってから週に1回フラワースクールに通っていました。もう20年ほど前のことになります。好きなので続けていたらカリキュラム終了後、講師認定試験に合格し、フラワー資格が取れました(笑)。イギリス生活を経て、香港でお花のお仕事を始めるにあたり、日本でフラワー講師の資格をとりました。好きなことが自然と今の仕事に繋がっていったように思います。

香港の印象はいかがでしたか?
当時の香港のイメージといったら、ジャッキー・チェンくらい…(笑)。日本ではのんびりした街で育ったので、街の匂いや人混みのことを考えると、香港で暮らしていけるのか心配でしたが、皆さん気さくに話しかけて下さり、昔から話好きの私はすんなり香港の環境に溶け込んでいました。香港では、日系企業で3年間、電話対応のカスタマーサービスや経理などの社員さんのサポートをするパートをしていました。Key Woman香港、広東で輝き続ける女性に会いたい!

Feliceを立ち上げたきっかけは?
夫が2004年に会社を立ち上げたのがきっかけです。その会社にフラワー部門としてFELICEを作りました。プリザーブドフラワーレッスンから始め、やがて生花のレッスンも行うようになりました。また、生徒さんから「お祝い事にお花をプレゼントしたい」とオーダーを受けるようになり、ギフト用のお花の販売も始めました。その後、ギフト用のフラワーブランドFELICE Regaloを立ち上げ、スクールのFELICE Flower Design Studioとは分けて活動しています。

お花はご自身で市場へ行き、仕入れていらっしゃるそうですね。
はい、ピンクといっても様々なピンクがあるように自分の色の感覚があるので。また、お花は鮮度が一番なので、毎回自分で市場へ行き自分の目で見て仕入れています。通常は卸売り市場に行きますが、教室の前日には、だいたい4店舗くらいのお店屋さんを回って調達します。前日に調達するのは一番いい状態のお花を生徒さんには使用して頂きたいから。それはこだわりのひとつです。

仕事上で苦労されたことは?
苦労と感じるよりも、全て経験しておくべきことだという意識があるので、こういうこともあるんだなと受け入れています。失敗も数々ありますが、それも「次に気を付けよう」と考えて前向きに捉えています。その中でも、思い出に残っているのは、クリスマスのレッスンですね。2週間前に予約しておいたお花をレッスン前日に取りに行ったらないと言われました。その時はひやひやでした。確認の電話までしておいたのに無責任すぎる…。そう伝え、香港にあるお花をかき集めてもらうように話をつけました。全部オランダからの輸入物だったので、飛行機で空輸しても間に合いません。私自身もお店を片っ端からまわり、お花をかき集めました。しかも、その日に限って生徒さんの人数が多かったんです(笑)。でもなんとかお花を集めることができました。

逆にうれしかったことは?
お花のお届けも自分で行くようにしていますが、直接お届けに伺うと直に受け取った方の気持ちに触れられるので、うれしい体験をすることができます。特に男性から女性への贈り物はサプライズが多いのですごく感激してくれます。そういった場面に接すると辞められない仕事だなと感じます。香港の男性からオーダーをよくいただきますが、香港にいる日本人の男性にも、もっとお花を送ることが普通になってほしいと思います(笑)。

どういった注文が多いですか?また注文の多い時期は?
おまかせが多いです。また、日本人の方には日本語が通じるということで、お選びいただくケースもあります。また日本にいる方が、香港にお住いの方へお花を送りたいというご注文もいただきます。お店のオープニング、コンサートそしてウェディングへのご注文も。ホームページにお花の写真が載っているので、イメージしやすいかと思います。
注文が多い時期は母の日です。5年前から、母の日は日本で活動しています。駐在で働いていらっしゃる方のお母様は日本にいるので、このサプライズができたら喜ばれるだろうなと思い始めました。香港で注文を受けて、日本でメイキングして全国発送しています。直筆のメッセージをお預かりして、お花と一緒に送ることもできるので、さらにサプライズになります。すごいアイデアですね。

始められたきっかけは?
これをしたら喜ばれるだろうなというサプライズ企画が好きなので思いつきました。また、お店を構えているお花屋さんと同じことをしてもやはり敵わないところがあるので、違うところでアプローチできた方がメリットがあるのではないかなと思い始めました。香港のローカルのお花屋さんにはないデザインのお花を贈りたいというお客様もいるので、日本人だからこそできることもあると思います。これからも香港で活動を続けていきたいですね。お花とハサミがあればどこでもやっていけるという思いは常々持っています(笑)。お花のレッスンをする上で私自身の腕を磨いていかなければいけないと考えているので、フランスでフローリストの方のレッスンを受けたり、花瓶などの小物の買い付けもしています。もともとフランスが好きなので、年に一度は行きたいですね。
フランスで買い付けてきた雑貨やアンティークをはじめ、セレクトグッズを販売したいとも考えており、今構想を練っている最中です。お花だけでなく、花瓶やリボン、ラッピングなどのグッズも取り扱い、ライフスタイルが豊かになる空間を作りだせるよう目指しています。また、地元の浜松に香りと質のいいバラがあるので、色々な方々に知ってもらえるような取り組みをしていきたいと考えています。生産者の方も世界に目を向けていきたいという思いがあるので、それを実現していきたいですね。

仕事風景  ブーケを作っている風景

Iguchiさんの取材で久々に花を手にすることに…。花の香りにふれ心が安らぐのを感じた。それは毎日慌ただしく過ぎていく日々で忘れかけていたことだった。「たまには一呼吸おいてお花を手にしてみよう」と温かい気分になった。

FELICE Regalo
フラワーレッスンは、趣味の単発レッスンコースと講師になりたい方のためのレギュラーコースがある。ランチ付のフラワーパーティーなどイベントも開催。詳細はウェブサイトで。
ウェブ:http://www.enbus-felice.com
ブログ:http://felicehk.exblog.jp
メール:felice@enbus-felice.com
電話:(852)9635-4990
Pocket Page Weekly 20 March 2015 No. 479 19B

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