NAC 香港ビジネス通信③ 人材の定着と採用を容易にする福利厚生を目指して
近年、香港での人材不足が慢性化し深刻な問題になっています。移民などでの香港人の海外流出もその要因の1つですが、日系企業が人材を確保することを困難にしている理由は給与と福利厚生が大きいと言えます。外資系や中資は魅力的給与とベネフィットを用意しているため、日本語スピーカー人材や日本文化が大好きな人材までも、そちらに流れている状況は以前からもありましたが、ここ数年それが急速に進んでおります。そこで、給与については既存社員の給与バランスやご予算の問題で底上げは難しいかもしれませんが、福利厚生を充実させることは直接コストに響くものでありませんので、福利厚生の充実をはかり人材の定着と求人時の応募人材の増加に繋げてくださればと思います。今回は具体的に以下3つの項目をご提案させていただきます。
1.有給休暇
正社員やパートタイムスタッフといった雇用形態に関係なく、同一雇用主の下で継続的に4週間以上雇用され、週18時間以上勤務する場合は継続的雇用契約と見なされ、有給休暇を付与する義務があります。雇用条例が定める年次有給休暇の付与日数は下表の通りです。雇用開始日から1年目と2年目は7日、3年目以降は1日ずつ加算され、9年目以降は最高の14日が付与されます。
年次有給休暇の考え方には、「権利日数」と「取得可能日数」があります。雇用条例の規定通りですと、雇用開始日から1年間は従業員が有給休暇を取得することができず、2年目になって初めて1年目の7日を取得することができます。 香港人は旅行が大好き!というのは周知の事実。そんな国民性のためか、転職の際に有給休暇日数を決め手にする人が多いのも事実です。しかし雇用条例通りの有給日数は最低限ですから人材へは全く響きませんし、むしろ応募を避ける傾向にあります。外資系企業のように1年目から2週間以上の有給休暇を設定するのは難しいと思いますが、人材紹介会社の立場からは、出来る限り多めの日数が非常に有効と常々感じています。有給休暇日数は給与の次に人材にリーチしやすい項目ですので、アイキャッチ的に利用くだされば人材採用の際の候補者数は増えますし、既存スタッフの有給休暇日数も底上げすることで人材の定着も図れる事でしょう。
具体的な日数や内容についてのご相談も弊社で承っておりますので、いつでもご連絡をお待ちしております。
2.新しい働き方
働き方の多様性や可能性を考えさせてくれたのは、コロナ禍があったからかも知れません。日本ではリモート勤務案件が多くなりましたが、狭い香港ではまだまだという印象です。そこで、新たな働き方として在宅勤務とオフィス勤務を混ぜたハイブリット勤務の導入も一策です。
担当職務によって在宅ワークは難しい場合もあると思いますが、コロナ禍の際に構築された在宅ワークのシステムをハイブリット勤務として活用することで、子育てや介護でフルタイム就労を諦めている人材や、通勤時間を気にする人材にも魅力あるお仕事と映ることでしょう。そのほか、新たな働き方としてフレックスタイム制の導入で人材の定着や新規採用が容易になった例もあります。採用出退社時間をスタッフ自ら選択できることで、こちらも子育て世代や夜間学校に通う人材にもお仕事しやすくなるので、長く安定した勤務が見込めるようです。
企業とスタッフ双方にとってより良い働き方が人材の定着にも繋がることと思います。弊社もそのお手伝いが出来るよう企業と人材の橋渡し役としてもお手伝いをさせていただきたいです。
3.傷病手当と傷病休暇
香港では雇用条例に規定されている「傷病手当(Sickness Allowance)」と従業員の福利厚生の一環として導入している「傷病休暇(Sick Leave)」があります。
傷病手当(Sickness Allowance)
傷病手当は継続的に雇用されている従業員の権利として、雇用条例で定められています。登録医の適正な診断書により「連続4日以上」の取得が必要であることの証明が必要となり、傷病手当の休職期間中の賃金は直前12カ月の平均日給額の5分の4に相当する額となります。
傷病休暇(Sick Leave)
傷病休暇は、香港の雇用条例で定められている傷病手当とは異なるため、各企業で任意で設定でき、制度の有無、および休暇日数を裁量で決めることが可能です。
有給休暇同様、雇用条例通り傷病休暇を設けていない企業は、新たに人材を募集する際に応募者が集まらず苦労をされる事が多いです。スタッフが安心して働ける環境作りが人材の定着と新規募集時の採用のしやすさに繋がりますので、傷病休暇を設定されていない企業はこの機会に導入をご検討されることをお勧めいたします。
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