PPWビジネス通信 × アナシス Vol.21

2019/09/25

人事労務のアナシスによる誌上相談会

M1

 

人事労務のアナシスによる誌上相談会

「報連相なんて要らないという意見も聞きますが、

どうなんでしょうか」

 

 

問い:Googleをはじめ「報連相は要らない」という意見があると聞きます。私は必要だと思っているのですが、香港・華南ではどうなんでしょうか。

黒崎:この地域では中間報告を要望すると「任せたのではないのか?信頼していないという意味か?」などと、反論されるケースもありますね。Googleをはじめおっしゃるような不要論もあります。しかし多くの日系企業では「報連相」を重要視しているのではないでしょうか。今回は報連相の意義と課題を整理してみたいと思います。

 さて、報連相とは何か。全ての業務は指示命令に始まって報告で終わる。そして指示を受けてPlan・Do・Seeを行う、その途中の所々で報連相は必要である。これは「新入社員」に教える基本であり、これに異を唱える方はいないのではないでしょうか。義務である報告、情報のシェアである連絡、人の意見や知恵を借りて問題を解決する相談。どれもが成果を出すために必要なものだと思います。しかし「新入社員」と書いた通り、指示が無くても動けるシニアとなれば、報連相の意義は変わってきます。シニアにも必要な報連相とは何でしょうか。

 ここで不要論を見ておきたいと思います。Googleはカレンダーを見れば部下が何をしているのかが分かるなどの理由を含め報連相不要と言っているようです。Googleカレンダーの営業上も必要な広報でしょうね。そして結果重視の仕事で、それなりの能力のあるメンバー達のお話しです。一般的な会社とは一緒にはできません。
 「社員が日本一幸せ」ともいわれる未来工業。創業者の故山田昭男氏は「ホウレンソウ禁止」としていました。それは製品開発が命の会社で、個別製品に詳しくない上司が、下手に口出しするのを防ぐためでもありました。「ダメな上司ほど部下を管理したがる」と。

 不要論者の論理は大きくは(1)責任の所在が曖昧になることがある(2)スピードが削がれる(3)子供扱いと感じてのデモチベーション、の三つです。上司は報連相で状況を知ることとなり、当然なのですが責任を負うこととなります。そのため部下達は責任転嫁しやすく、また現場での決断力が削がれていくと。ある上司は全てを報告せよと、部下を信頼せずにコントロールしようとして、部下の集中力を削ぎ、時間のムダも生じさせています。あるいは部下が相談に行ったら「自分で考えろ」と突き放され、実は上司も知識経験なく全く役に立たなかったなどのケースも。これら全てに共通しているのは報連相が、上司が部下をコントロールするためのものである点です。報連相は成果を上げるためのものです。そのために上司と部下が共に必要とするもの。その部下のレベルによっても求めるものが違うものです。新人や部下側だけに必要なものではなく、上司も報連相する必要があります。私が提唱した報連相3段階のレベルは、コピーされてかなり多くの人に使われていると思います。しかし、それも上司側のコントロールの為のものと伝わっているケースもあるので注意が必要です。それは上司にしろ部下にしろ、本人やチームが成果を出すためのものなのです。

 報連相を世に広めた『ほうれんそうが会社を強くする』を書いた山崎氏によればさらに深い意味がありました。「下の意見を吸い上げ、働きやすい環境を作り、良好な人間関係をつくるためにほうれんそうがある」としているとのこと。その「ほうれんそう」が立派に育っているかどうかの目安は、上司にとって嫌な情報・悪いデータが粉飾されずに上に伝えられているかどうか。ある大手企業トップは嘘が多い報告などは役に立たないから、報連相には意味が無いと言い切っていましたが、それは従業員を信じないという天に唾するようなものでした。また、下のまともな意見を吸い上げられない組織にも報連相は不要でしょう。立派に育てなければならないのが「HO-REN-SO」なのです。(漢字・ひらがな・カタカナ・英語で使い分けました)

Group photo (アナシス香港)

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