尹弁護士が解説!中国法務速報 Vol.33

2020/12/02

深セン個人破産条例の重要ポイント(4)

 

Q9:債務者の免責不可事由は?

A:債務者が次の事由のいずれかに該当する場合、その未弁済債務を免除してはならない。

 

① 行為制限に関する規定に故意に違反した場合

② 債務者の遵守すべき義務に関する規定に故意に違反した場合

③ 債務者財産の申告義務に関する規定に故意に違反した場合

④ 高額消費、賭博等の行為により、重大な債務を負担し又は財産が著しく減少した場合

⑤ 財務証憑、印鑑、手紙・文書、電子文書等の資料物品を隠匿、廃棄、偽造又は変造した場合

⑥ 財産を隠匿、移転、毀損し、財産権益を不当に処分し、又は財産価値を不当に減少させた場合

⑦ 法律に定めるその他の免除不可事由

 

 免責制度は個人破産手続のキーポイントであり、債務者の再出発を実現するための重要な手段であり、免責対象は「誠実にして不幸な債務者」である。

 債務者が破産手続において個別の債権者との間で弁済義務免除財産を用いて弁済を行う協議を締結した場合、又は債務者が免責された後、債権者と新たに弁済協議を締結した場合、これらの協議の効力についてはさらに明確に定める必要がある。

 

Q10:深センの裁判所が個人破産手続において発行した司法文書は深セン以外地域の裁判所に対して拘束力があるか?

A:「企業破産法」と同じく、「個人破産条例」でも破産申請を受理した日から債務者の財産に係る保全措置を解除しなければならず、執行手続を中止しなければならないことを定めている。ただ、当該規定は企業破産の実務において有効に適用・実施されていないため、今後の個人破産実務においても同様の問題に遭遇する可能性が高い。

 

Q11:企業法人及びその自然人株主が同時に破産を裁定された場合、関連手続はどのように調整すべきか?

A:「個人破産条例」に明文の規定はない。深セン市の個人破産案件は深セン中院の管轄を原則とし、法により基層(区)裁判所の管轄指定を例外とする。企業破産案件の管轄原則もこれと同じである。企業法人の住所が深セン市にある場合、企業法人及びその自然人株主の破産案件の審理を効率的に行うためには、深セン中院が破産企業及びその自然人株主の破産案件の管轄裁判所を確定し、かつ管理人を指定して破産事務を一括処理させることが望ましい。なお、企業法人の住所が深セン市以外にある場合は、企業法人及びその自然人株主の破産案件の管轄裁判所と管理人を統一的に確定することは現段階において難しい。

 

Q12:債権者が申告期限内に債権を申告しない場合は、どのように処理するか?

A:債権者が申告期限内に債権を申告しない場合、債権者の有する手続上の権利と財産分配等の権利はいずれも制限を受ける。債権者が自己の責めに帰さない事由により、債権申告を行うことができなかった場合は、債権申告に影響を及ぼす事由が消滅した日から10日以内に補充申告を行わなければならない。債権者が債権申告を行ったか否かに関わらず(法律に定める免除不可債務を除く)、未弁済債務を免除する裁定は、債権者に対して効力を有する。

 


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尹秀鍾 Yin Xiuzhong尹秀鍾 Yin Xiuzhong
卓建律師事務所深圳本部 パートナー弁護士、法学博士 (慶応義塾大学)
主な業務領域は、企業法務全般(投資、M&A、撤退等)、労働法務、模倣品等不正行為対策、国際紛争解決など。

 

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