中国伝統建築装飾芸術の集大成「陳家祠」
「食は広州にあり」とも言われるが、食べ物以外にも広州には様々な魅力がある。秦の始皇帝が中国を統一して、南海郡番禺県を設置して以来、躍動を続けてきた広州。そのため、歴史的スポットが所々に存在する。今回はその歴史的建造物の一つ、広州市の中山七路にある「陳家祠」を紹介しよう。
「陳家祠」又の名を「陳氏書院」は、清の光諸16年〜20年(1890~1894年)にかけて族祠又は書院として建造された。当時の広州72県の「陳氏」(陳一族)が、彼らの先祖を祀るために創建した。陳氏はかつて河南省周辺に存在した小国「陳」を発祥とする姓で、紀元前1127年、舜の末裔であった陶器匠・嬀満が周の武王より与えられた土地(現在の河南省淮陽)で建国した。紀元前478年に陳は滅亡したが、「陳」姓を名乗った末裔たちが各地に散り、陳氏となったといわれる。先祖を祀るための「族祠」は、一族の集会や一族子弟の教育を行なうための「書院」としても使用されていた。
陳家祠の魅力は歴史だけではなく、建築装飾芸術が随所に盛り込まれているところだ。内部には19の庁堂があり、面積は約8千平方メートルになる。前院、後院、西院が中庭を挟んで立ち並ぶ、複雑に構成された書院は、伝統的な広東式建築の特徴だ。ここまで保存状態の良い南方様式の建築物は非常に貴重だという。また所々に木彫、石彫、中国独特の建築装飾芸術である砖雕(レンガに彫刻を施したもの)や泥塑(泥を
用いて制作した人形)などがあしらわれており、中国でしか見られない建造風景がある。まさしく中国建築芸術の集大成であるといえよう。そのため中国の全国重点文物保護単位、いわゆる重要文化財に指定されており多くの人々や芸術専門家たちの注目を浴びている。
陳家祠は、現在東民間工芸博物館として開放されており、内部には陶器、玉器、端渓硯、南方刺繍など、南方を代表する美術工芸品が数多く展示されている。広州の「羊城新八景」の一つに選ばれていることから、週末や祝日になると多くの観光客が訪れるスポットとなっている。中国の歴史的建造物を肌で体感したいと思う方、ぜひ陳家祠へ出かけてみよう。
住所:広州市荔湾区中山七路恩龍里34号
アクセス:地下鉄1号線「陳家祠」駅 D出口付近
時間:8:30~17:30
入場料:10元(学生、高齢者証明書持参で5元割引)