テレビドラマ「武媚娘伝奇」唐時代の髪型を再現
武則天(則天武后)を題材にしたテレビドラマ「武媚娘伝奇」が昨年末から放送を開始し、2015年上半期話題の古装宮廷ドラマとなった。このドラマを見た視聴者に注目されたのは、豪華絢爛な宮廷衣装だけでなく、唐時代の貴族たちの髪型だったに違いない。
高春明著「中華歴代服飾芸術」(Chinese Dress & Dornment Through The Ages)によれば、唐の時代、女性は頭部をどのように作るかをたいへん重視していたという。当時の髪型や髪の結い方は多様を極めた。珠玉宝石や生花で彩られた簪釵(かんざし)や髪飾りを戴き、過去の遺風を引き継ぎつつ斬新な趣向を取り入れた彩り豊かなものとなったのだ。唐の時代に流行した女性の髪型の特徴は”盛り“を重視している点にある。当時の女性は自身や他の人の切り落とした髪利用してウィッグや毛たぼを作った。それを自分の髪の中に仕込んでボリュームアップすることで様々な髪型を作り上げたのだ。それなりの資力と時間がなければ作れない髪型であったため、こうした髪型そのものが貴族女性であることの証となった。当時の一般庶民の場合、婚礼の時以外はこのような髪型をすることができなかったはずだ。
実際にどのようにこの髪型を作るのか?これまで数々の中国古代女性の髪型を手がけてきたイメージデザインを専攻する大学生に実演してもおう。今回紹介するのは唐代の”飛天髻“という結い方だ。
結い方
髪を前と後ろの二部分で分ける。
前部分はヘアクリップで留めておく。
頭頂部の髪をポニーテール状に束ねてからアップにしてくるりと結う。
残った髪は二つに束ねて巻いた後、頭部前方へ持っていきヘアピンで留める。
ウィッグを後ろ側にあててヘアピンで留める。
前側に残した髪を手に取り毛先から毛根方向にとかしてまとめる。
毛たぼをあてがう。二つの毛たぼを左右二箇所に固定し、
左右にたれた髪でそれぞれの毛たぼを覆う。
左右それぞれスプレーでセットする。
スプレーを吹きかけるとには手で眼と耳を覆ってガードする。
“
蝴蝶結”を後ろに垂れたウィッグにセットする。
後ろに垂れたウィッグのヘアを二つに分けて束ね、交差させて“蝴蝶結”下を通し、
それぞれ編みながら頭頂部へもっていき、ヘアピンで留める。
“髮髻”(髷)を頭頂部にセットする。
更に“玫瑰餅”を左右にセットする。
髪飾りをあしらう。
額に“花鈿”(ペイント)をほどこす。
完成
陳䡎䑍、車海媚
イメージデザインを専攻する大学二年生。これ
まで様々なタイプの中国古代女性の髪型を手が
けており、現在は現代のヘアスタイルを勉強中。
専攻科目の担当講師 江映霖先生は北京で学び、
映像制作クルーでメイク・スタイリストを担当。
二人も先生同様映像業界での活躍を目ざす。
モデル:蔡燕虹