中国史・法律の軌跡「中国・五四憲法歴史資料陳列館」

2024/05/01

スクリーンショット (2544)中国近代史は、現代中国につながる重要な歴史といえる。この中国近代史の中でも、法制史につながる部分を中国を知りつくした著者が、日本人が踏み込まないようなマニアックな地を訪れ、近代法制史を振り返る旅行記。

毛沢東が起草した中華人民共和国初の憲法
中華人民共和国の憲法は、現在施行されているもので、1982年12月4日に公布・施行されました(そのため、この憲法は「82年憲法」とも呼ばれています)。これに対して、中華人民共和国最初の憲法は、1954年9月20日に公布・施行されました(そのため、この憲法は「54年憲法」と呼ばれています)。このような54年憲法の起草時の資料を展示している資料館が、浙江省杭州市の西湖のほとりにあることをご存知でしょうか?「五四憲法歴史資料陳列館」という資料館です。

中国・五四憲法歴史資料陳列館
54年憲法は、毛沢東が浙江省の西湖の畔で起草したとされており、まさにこの資料館の場所で作成されていたのです。中華人民共和国初の憲法の起草資料と聞いて、興味もなにも考えたことがなかった人がほとんどかもしれません。しかし、ある意味、現代中国法の礎である場所であることは確かです。名物の龍井茶を飲みながら西湖の壮大な景色を堪能してみるのはいかがでしょうか?

「54年憲法起草の地」石碑

「54年憲法起草の地」石碑

外観

外観

場所:中国・浙江省杭州市北山街84号(「浙江西湖山庄」というホテルの敷地内)
開館時間:9時~16時30分(入館は16時まで)
毎週月曜日休館。
なお、54年憲法に関する直接の資料は、北山街館区に展示されています。
北山街館区以外にも、近くに五四憲法歴史資料陳列館(栖霞吟館区)があり、こちらには、54年憲法に関する直接の資料は展示されていないので、注意が必要です。
五四憲法歴史資料陳列館については、本稿以外にも筆者の別稿である高橋孝治「中国・五四憲法歴史資料陳列館訪問記」(『なじまぁ』(9号)立教大学アジア地域研究所、2019年、13~15頁収録)でも紹介しているので、そちらもお読みください。

54年憲法初稿の議論

54年憲法初稿の議論

資料館

資料館


高橋孝治〈高橋 孝治(たかはし こうじ)氏プロフィール〉
立教大学 アジア地域研究所 特任研究員
北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)、国会議員政策担当秘書有資格者、法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格者)。中国法研究の傍ら講演活動などもしている。韓国・檀国大学校日本研究所 海外研究諮問委員や非認可の市民大学「御祓川大学」の教授でもある。著書に『ビジネスマンのための中国労働法』、『中国社会の法社会学』他多数。FM西東京84.2MHz日曜20時~の「Future×Link Radio Access」で毎月1、2週目にラジオパーソナリティもしている。Xは@koji_xiaozhi

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