香港・孟意堂の風水シリーズ!父の尊厳

2014/11/10

中国で生まれ五千年以上の歴史ある風水。ここでは便利な風水の道具(ツール)をご紹介しながら風水の奥義に迫ります。

◆父親の愛情◆

テレビドラマ「信長協奏曲」では、小栗旬さん扮する織田信長に嫁いだ柴崎コウさん扮する帰蝶(濃姫)と西田敏行さん扮するその父親・斎藤道三との父娘の葛藤が描かれていました。父親に大事に育てられたはずなのに、帰蝶は幼少期から人質に出され、最愛の父親からは「おまえは戦(いくさ)の道具に過ぎぬ」と言われてしまいます。自分を見放し、愛情のある言葉のかけらもない父親を帰蝶は段々と憎むようになります。しかしそれは、自分の娘を手元に置いておくと娘の命が危ないため、一番安全な武将に娘を任せて戦国の乱世から娘の命を守ってあげたい一心で行ったこの不器用な父親の言動であり、その本心に帰蝶が気づいたのは父親の身に危険が迫った後というものでした。

父親の子供に対する愛情は、一緒にご飯を食べたり、週末や休暇に共に楽しい時間を過ごすだけではありません。背中を見せるだけの育て方もあるでしょうし、切羽詰まった環境の中で子供の行く末を考え子供との別れを選択してしまう、この斎藤道三のようなケースもあるでしょう。

一方で、父親の言ったことや行ってきたこと、父親との間に起こった出来事は子供の先々の人生に確実に影響を及ぼしていきます。ですから、四柱推命で人をみる際に筆者はこの親子関係をとても重視しています。

十神でみる父子関係

「十神(日本では変通星と呼ぶ)」は父子をはじめ肉親関係を四柱推命で分析する際のとても大事なツールの1つです。

左下の図にあるように、比肩星は自分自身、劫財星は兄弟、食神・傷官星は女性にとっての子供であり、財星は男性にとって妻や妾であり、男女ともに父親を意味します。正官・七殺星は女性にとっての夫や愛人を意味し、男性にとっては子女にあたります。そして印星は母親を意味します。

ここから様々な事象を読み取ることができます。

例えば、財星が全くない或いは無きに等しい場合、父親との縁は薄いものになってしまうでしょう。財星が存在していても自分自身の力が強すぎてしまうと、自我が強く父親の意見を聞かず、父親を頼りにしないで一人で生きていく傾向が出てきます。逆に、自分自身の力が十分にあり適度に食傷星と財星に洩らされている人は、父親と良い関係になるでしょう。

そして、それらの星が四柱のどの場所にあるかで親子の関係は変わってきます。

◆久美子的四柱推命で父子関係を読み解く奥義◆

「自分から見た父親」という角度からぐるりと変わって「父親から見た子供」という見方をすると、男性の場合、子供である正官・七殺星から剋されてしまい、女性の場合でも子供である食神・傷官星が夫である正官・七殺星を剋しています。いずれにしても父親は子供に剋されてしまうのです。

四柱推命の面白いところは、女性の場合、食神・傷官星と正官・七殺星をつなぐのは物質的な充足、つまりお金や財産を意味する財星ですが、男性の場合、子供である正官・七殺星と自分の間をつなぐのは「印星」という精神的な充足、つまり名誉や愛情、知恵の星であることです。言い換えれば、「印星」がしっかりあれば子供から剋されることはなくなるのです。

父と子をつなぐのは精神的な絆なのです。
子供にとって「やっぱり私のお父さんなんだ」と自負できるような父の存在がこの親子関係をつなぐのです。

父親が寡黙であってもおしゃべりでも、人から理解されにくい行動をするような人でも、父と子の心と心の絆がしっかりあれば子供は父親にしっかりついていくものです。

そして、たとえ父親との間に辛いことがあったとしても表面的な言動や出来事に惑わされず、子供は父親のすごさや本当の素晴らしさを見抜くことです。父親が築いてくれた環境や親から受け継いだDNAに感謝し、忘れないことです。家族という1つの共同体を見失わず、共に1つの方向に向かっていくことは親子だからできることなのです。

父の尊敬 風水

 

彦坂久美子

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