カバーストーリー 2022年11月第2週号「香港にグランドキャニオン!?良田坳峽谷」

2022/11/09

ハイキングシーズン到来!いざ良田坳峽谷へ
ややエネルギッシュすぎる香港の日常から遠ざかって大自然の中に身を置きたい…。オーストラリアのエアーズロック、カナダのロッキー山脈、アフリカのヴィクトリアの滝、アメリカのグランドキャニオン……。ん?グランドキャニオン!?あるではないか!ここ香港に!!
というわけで訪れたのが、香港版グランドキャニオン「良田坳峽谷」。当然のことながら本家とは雲泥の差があるものの、なかなかの見応え、なかなかのスリルを味わえるおすすめのスポットだ。1

旅は移動から始まっている…
まずはMTR兆康駅から軽鉄に乗り換える。都心部に住む筆者にとっては、もう移動から非日常。軽鉄の何ともいえないスピード感と心地の良い揺れ、カランカランカランという優しい警笛が、日々の慌ただしい生活とは違う世界へと穏やかに誘う。降り立ったのは良景駅。のどかな田舎の繁華街といった雰囲気だ。ここからわずか徒歩10分ほどで山道入り口に辿り着く。

誰がこの山を易しいと言ったのだ?
この山の難易度は評価が分かれるところ。入山口から早ければ1時間ほどで山頂に到着できるので、気軽に登ることのできる軽いコースという人もいる。しかし峽谷付近は滑りやすい砂利道で柵なども無いため危険度はやや高め。小さな子ども連れなら目は離せない。また初っ端から永遠と続くコンクリート坂は、登り始めたことを後悔させるほどの急勾配。大人でも休み休みでないと足が前に進まない。
それでも地元住民がこしらえたであろう手作りの休憩ポイントをいくつか拝借しながら何とか山頂辺りまで登りきる。すると今までの舗装された道が突然砂利道に変わり、風の抜けるほぼ平坦な稜線に。道端には大きく伸びたススキの穂。さわさわとそよぐその様は、香港にも秋が訪れたことを教えてくれる。4

ついに現れるグランドキャニオン!
見晴らしも最高。視界に入る人工物といえば、海の向こうの深圳に建つ高層ビル群だけ。深圳なんていつから行ってないんだろう…なんて郷愁に駆られながら更に20分ほど進むと、ついにグランドキャニオンが!高所恐怖症でなくとも足がすくむ断崖絶壁。遠目に恐る恐る崖下を覗いてみると思わずお尻がムズムズ。本物はこの何十倍も凄いんだろうなとは思いつつ…それでもこの景色は圧巻だ。23

香港イチの夕陽
峡谷の景色を楽しんだあとはそのまま道なりに進み、下白泥へと抜けることもできる。スカイミラーとも呼ばれる下白泥は中国側の海に向かって広がる干潟で、水面に映る夕陽が格別なのだとか。サンセットを狙って夕方ごろから登り始める人も多いという。しかし交通の便がやや悪いため、あまり時間に余裕のない場合は峡谷で引き返したほうが無難だ。
良田坳峽谷まで半日の小旅行。香港にいながらちょっとだけ異国気分を味わえた。

 

行き方:MTR兆康駅から軽鉄615P或いは505に乗り換えて良景駅下車、徒歩10分で入山口
※良田坳は軍の射撃練習用地のため、軍事演習の際は入山できないので注意

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