僕の香妻交際日記 第54回 香港の幼稚園に申し込む

2020/10/07

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 香港の9月と言えば食欲の秋…でもなく、中秋の名月…でもなく、「幼稚園の申込みに決まってるでしょ!」というのが香港ママたちのもっぱらの口癖である。

 今年で2歳を迎えた娘を持つ我が家も例外ではなく、もう6月くらいからあっちやこっちの幼稚園のウェブサイトを訪問しては「まだ詳細出てないね、ね?」と妻と私は互いを安心させることに必死だ。

 特に今年はコロナウィルスの影響で「面接を対面でやるのかやらへんのかどっちやねん」状態なので、突然ウェブで説明会とかあるんじゃないか、ウェブ面接とかあるんじゃないかとママパパたちは例年よりも余計に神経を尖らせているのではないだろうか。

 香港の場合、幼稚園によって申込手順も期間も全く異なることがこのようにバタバタ、ヒヤヒヤさせられる原因なのだが、一方でインターやローカル、日系幼稚園と選択肢が豊富な点はここでの教育における利点の一つと言えよう。

 

香港のローカル幼稚園の噂

 香港といえば、超学歴社会がまだまだ健在している場所でもあるので、各学校の競争は熾烈を極めている。そして、その闘いは幼稚園から始まっており、「香港幼稚園排名」とGoogleで調べるとなんと幼稚園のランキングが見られるくらいである。しかもそのランキングはご丁寧に最下位までランキングしてくれているので容赦ないといえば容赦ないのだが、おそらくこのランキング制が各幼稚園にとって次年度へのモチベーションになっているのだろう。そんなローカル学校の特徴は学費が安い、宿題が多い、学校名が大事、広東語がメインといったところがよく耳にするところである。学費に関して言えば幼稚園では半年で1000HKDちょっとという話であるからローカル有名校の申し込みに行列ができるのも無理はない。

 

香港のインター幼稚園の噂

 インターというと学費が高いという噂があるが、噂通り学費が高い。学費だけで月々10000HKD前後するのは当たり前でそこに諸経費が加算されるとそれはもうパパは発泡酒から水道水に、ママはプラチナリングからシルバーアクセサリーに変えないと家計は毎月ヒノカミ神楽(←鬼滅の刃で検索)状態で体力がもたない。さらに、各インター校はDebenture(学校資本債券)というディズニーランドのファストパスみたいなものを発行していて、入学志願者はこれを購入することで優先的に面接が受けられる仕組みになっている。しかもこの債券の額といったら何十万HKD(数百万円)から多いところでは何千万HKD(数億円!)もするのだから、香港インター校の人気の凄まじさは可愛い顔してク〇強い胡蝶しのぶ(←鬼滅の刃で検索)に匹敵する。

 

香港の日系幼稚園の噂

 学費で見ると日系幼稚園も安くはなく、月々6000~8000HKDほどの費用が必要になる。日系幼稚園は民間企業同様に香港のク〇高い家賃や先生たちの給与も自分たちの力で払いながら経営をしていかなければならないのでこれくらいの学費が必要になるのも致し方ない。英語教育はローカル幼稚園ほどではないが、日本の幼稚園同様に情操教育(豊かな感情を育む)を軸にして香港の日系幼稚園でも子どもたちは伸び伸びと育っているように見受けられる。また受験戦争やディベンチャーなど世間のしがらみもないので、年齢などの最低限の条件さえ満たせばいつでも入園ができる点はママパパにとっては非常にありがたい

 

香港に住む日本人家庭の学校選びのポイント

 子どもの学校選びにおいては、まず自分たちがどれくらい香港に滞在するつもりなのかが最も重要なポイントであり、その期間に応じて選択肢も自ずと限られてくる。例えば、駐在で5年以内には日本に戻る予定なのであれば、数年後に日本の学校へ戻ることを考えるとやはり日系の幼稚園や小中学校に通うのがいいだろう。一方で自営業や現地企業に就職している、または香港人配偶者を持つなど香港に長く滞在する予定の家庭では逆に日系学校は考えものである。なぜなら香港の日本人学校は中学校までしかないので、日本の教育を引き続き受けるためには日本に戻るかシンガポールや上海などの日系高校に進学するしかないからだ。もちろんそれぞれの高校には学生宿舎もあり子どもだけ香港を離れるということは可能だし、もしくは香港のインターに編入するという手もあるので、その判断は家庭の教育方針によるが。

 


ルーシー龍ルーシー龍(りゅう)

東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。

 

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