【香港中文大学】 アジア最古のビジネススクール
将来の夢に向け実践を積む学府
香港中文大学(CUHK)と専業進修学院(CUSCS)
中国神話の伝説の鳥「鳳凰」が大学のロゴになっている。1963年の創設以来、「伝統と現代の結合および中国と西洋文化の融合」を使命とし、多くの優秀な卒業生を輩出してきた香港中文大学。本部はMTR「大学駅」最寄りの沙田キャンパスで、自然豊かな学習環境の中にある。中文という名の由来は中国語を指すほかに「中華文化」のことも指し、設立当初は中国語を指定言語としていたが、現在では英語を主とし普通語、広東語などを交えながら中華文化を学生たちに継承している。また、同校はアジア最古のビジネススクールとしても有名だ。香港の大学受験制度が日本と異なる点は、日本でいうセンター試験のような「HKDSE」の成績結果をもとに、事前に登録していた志望大学・学部学科のリストから自動的にマッチングが行われ、学生に該当大学から入学通知が送付されること。学生は通知通りの大学へ通うことになるのだが、この時自分の深めたい分野が別にある場合は、専業進修学院(School of Continuing and Professional Studies)へ進む学生もまた多い。2年間のフルタイム学習を経て、香港や海外大学の3年生に編入または、就業するというようないくつかの選択肢が用意されている。
「日本を知りたい・教えたい」探求心と未来が交差していく
将軍澳、中環、尖沙咀にキャンパスを持つ香港中文大学専業進修学院(CUSCS)。フルタイムの学生や社会人を対象に、言語やビジネス、アート、幼児教育などさまざまなジャンルの生涯学習プログラムを提供している。今回は同学院で講師を務める飯田先生と応用日本語学科の学生たちとの対談を取材した。
飯田 由美講師
高級文憑課程応用日本語講師&アカデミックコーディネーター
石川県出身。筑波大学卒業後、客室乗務員を経てシドニーに移住し、結婚を機に香港へ。数年会社員として勤めた後、現職のCUSCS講師の道に。言語教育研究で修士号取得。
「日本語講師になることがずっと夢だった」と語る飯田先生。結婚を機に香港へ移住後、外資系企業で働くかたわら、空き時間や休日を利用して同僚に日本語を教え始めたことがきっかけで、幼少期からの夢は現実のものとなる。そんな先生は、アカデミックコーディネーターとして日々同校オリジナルのプログラム作りに奮闘する。例えばカリキュラム作成のほか、スタディーツアーの企画、インターン受入企業との連携、日本人コミュニティとの文化交流、日本の大学との交換留学プログラム
など非常に多岐に渡るものだ。中でもユニークなのは、Zoomを利用し、地方のとある神社やシイタケ農家と中継を結び、現地の生の声を学生たちに届けるという取り組みも行ってきたことだ。
同氏が教学の中で重視していること、それは英語、中国語など言語により異なる考えや気持ちの表現の仕方を伝えることだそうだ。辞書では知り得ない日本語の複雑で細かい表現方法を理解してもらえるように日々邁進している。
「同学院に入学する日本語専攻の学生たちの中には、初学者の学生も多くいますが、1年後にはスムーズにコミュニケーションが取れるまでに成長します。覚えることもたくさんあり大変だと思いますが、楽しみながらできるのはやはり学生たちの日本が好きという気持ちがあってこそ。そんな彼らの成長を見ることが私の楽しみです」と語ってくれた。
Curryさん
高級文憑課程応用日本語コース 1年
日本語を学んで10年、日本語能力試験N1保有者。好きな食べ物はカレー。日本のポップカルチャーに興味があり「あのちゃん」に夢中。
日本語を学びたいと思った理由は?
幼少期からアニメの歌をよく聞いていました。日本語の発音がとてもきれいだなと思い、10年前から学んでいます。能力試験N4から2までは独学で、N1は日本人の先生にレクチャーを受け取得しました。今年の夏は、今までの成果を実践に移すべく、鳥取県のホテルでインターンシップをする予定です。親元を長期で離れる初めての機会なので、いろいろな意味でいい経験になると思います。
Nickyさん
高級文憑課程応用日本語コース 1年
大の特撮ファンで「仮面ライダー」シリーズは特に熟知している。幼少期からテレビで日本語に触れていたが、CUSCSで初めて正式に日本語を学ぶ。
同学院の好きなポイントは?
ひらがな・カタカナの基礎から学んでいますが、先生たちは皆親切で優しく、初心者の僕でも難しさを感じることなく通っています。また、この学院を選んだのはインターンシップやスタディーツアーなど実践的に日本に触れ合えるところが魅力的でした。今夏は宮崎大学に行きます。日本人ともっとたくさん話せると思うと今からワクワクしています。
Yauさん
高級文憑課程応用日本語コース 1年
アニメの影響を受け高校から日本語学習を始める。大学卒業後は香港の日系企業に就職することが目標だ。
学校生活はいかがですか?
とても楽しいです。授業中わからない単語や文法があると、休み時間に先生のところに質問に行くことが多いのですが、いつも丁寧に説明してくれます。以前、「日本旅行時に現地の人との会話を録音する」課題があったのですが、自分のアクセントはまだまだだなと感じました。日本語は発音や敬語が難しいです。夏休みは鳥取県の旅館にインターンシップに行くのが楽しみです。
Linさん
高級文憑課程応用日本語コース 1年
日本の文化や社会に興味を持つ。学内のクラブ「日本案内所」のメンバーとしてクリスマスイベントやカラオケ大会などを企画した経験も。
同学院で学ぼうと思ったきっかけや将来の夢を教えてください。
幼少期から日本や日本語に興味があったので、基礎からしっかりと学びたいと思ったのがきっかけです。1年生では「秋祭り」にボランティアで参加し、とてもいい経験になりました。来年は交換留学で京都に留学する予定です。現地で日本人の友達を多くつくりたいですね。アートが好きなので日本のさまざまな面をSNSで発信していけたらと思っています。