おいしいもヘルシーも!夏に食べたい香港スイーツ

2023/07/19

甘くて爽やか「楊枝甘露(ヨンジーガムロウ)」
地元スイーツ店ではよく見かける、甘くて冷たい夏の定番おやつ。ペースト状にしたマンゴーにココナッツミルクやコンデンスミルクを混ぜて作る。トッピングに角切りマンゴーとタピオカ、ポメロ(グレープフルーツのような甘みと酸味のある柑橘類。日本では改良されザボンや文旦として生産されている)を投入して出来上がり。とろりとしたのどごしと果肉の食感が絶妙で癖になる。一般的にはお椀に入ったものをスプーンでいただくが、ペットボトルで飲むものもコンビニなどで買うことができる。Mango-pomelo-sago

 

健康ゼリー「涼粉(リャンフェン)」
ぷるぷるした、やや弾力のある食感が病みつきになる「涼粉」。中国では「仙草凍」と呼ばれ、その名のとおり乾燥した仙草を煮詰めて作った黒いゼリーだ。それほどクセはないが、薬草独特のほろ苦さが少しあるのでシロップや蜂蜜をかけたりフルーツやアイスクリームと一緒に提供したりする店が多い。仙草は中国医学で熱中症予防の効果があるとされており、この暑い時期には若い人からお年寄りまで好んで食べる。また熱を鎮め、にきびや便秘予防にも効果的。女性には嬉しい美容スイーツとも言える。Grass-Jelly

 

栄養まんてん「燉椰皇(ダンイエーウォン)」
ミネラルやビタミン、ダイエットに効果的な中鎖脂肪酸を多く含み、かつコレステロールはゼロと、その効能が注目されているココナッツミルク。香港では美味しいココナッツプリンとして食べることができる。お店によって燕の巣や白きくらげを入れて、女性が飛びつきたくなるような美容・健康効果抜群のスイーツに仕上げていたり、フルーツやタピオカを入れてジュースとして提供しているところも。ヤシの実の器に入れられていることも多く、南国気分満載!ほとんどの店では冷やした状態で出されるが、冬にはホットバージョンも登場する。coconut

 

ヘルシーといったらこれ! 「豆腐花(ダオフーファー)」
香港スイーツの中でも最も人気と言っても過言ではないであろう、豆腐スイーツ「豆腐花( ダオフーファー)」。シンプルかつヘルシーなところが人気の理由。好みに合わせて、きび砂糖やジンジャーシロップをかけるのが、香港スタイル。深水埗( サムスイポー)にある「公和荳品廠」は、豆腐・豆乳・湯葉・油揚げなどを販売するお店。お店の奥の小さなイートインスペースで、豆腐花を食べることができる。暑い日は豆腐の冷たさが喉に心地よい。これなら罪悪感なしでいくらでも食べれそう!

図1

夏の薬膳「緑豆」を使った体にやさしいスイーツ
薬膳には伝統的な夏バテ対策の知恵も隠されている。地元の人に夏バテ対策に何を食べたら良いかと尋ねると、「緑豆(リョクトウ)がいいよ」と教えてくれる。暑い時期になると、町中でも冷やした緑豆粥がドリンク容器に入って売られていたり、緑豆のアイスキャンディーを見かけたりする。ここでは、この「緑豆」にスポットを当ててみよう。

緑豆とは?
緑豆はマメ亜科の一年生植物「ヤエナリ(八重生)」の種子のこと。別名は青小豆(あおあずき)、文豆(ぶんどう)といい、アズキとは同属になる。日本ではもやしの原料(種子)として利用されているが、国内では緑豆を生産していないため、ほぼ全てを中国から輸入している。Greenbean1

中華圏では馴染み深い「薬膳の代表格」
日本では緑豆そのものを見かけることも料理として食することもほとんどないが、中国ではとてもポピュラーな食材。特に薬膳の世界ではたいへんよく知られている。中国・明の医者で本草学者でもある李時珍は、緑豆を「菜中的佳品(野菜の中の逸品)」と称している。体にたまった余分な熱を取り除くほか、利尿作用があるため、渇き、むくみ、下痢、はれものなどに効果があるとされている。昔から「その効は衣にあり」と伝えられているように、薬膳効果は特に皮の部分にあるとされている。そのため、多くの場合、皮(緑豆衣)をつけたままで使用する。またでんぷん質は春雨などの材料としても使われる。Greenbean2 夏の時期、緑豆の煮汁「緑豆湯」や豆の形が崩れるまで煮た「緑豆沙」、米と一緒に炊いた「緑豆粥」などを、お茶の代わりにいただいて夏バテを予防するのが生活の知恵として知られている。緑豆粥はいわば緑豆版おしるこのようなイメージで、常温でも冷やしてもおいしくいただける。夏場、日本家庭の常備飲料といえば麦茶だったが、中国では緑豆飲料がどの家庭でも常備飲料として用意されていた。緑豆湯や緑豆粥を朝早く作っておき、冷ましておいていただくのが中国・夏の風物詩でもあった。 日本では緑豆そのものがあまり流通していないので、海外に来て初めてその存在を知った方も多いはず。見慣れない食材は何かきっかけがないとなかなか使ってみようとは思わないものだが、緑豆は手軽に調理ができるスグレモノなので、ぜひこの機会に挑戦してみてはいかがだろう。Greenbean4

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