話題の新店紹介「Trattoria Kagawa by Mihara」湾仔
ほかにはない新しい食体験を
香港の飲食界で挑戦し続ける日本人シェフ
三原 光史氏
10月末、湾仔の船街にて「Trattoria Kagawa by Mihara」がオープンした。
この店、イタリアンでも和食でもない、香川県をコンセプトに、イタリアンと和を融合させた新しい業態の店だ。
姉と作ったクッキーがシェフへのきっかけ
香港は東京に次ぎミシュラン獲得レストラン数の多い国際都市。飲食業界も回転が速く、香港に住む人々の心を捉えられなければ、瞬く間に淘汰される厳しい世界だ。そんな香港の飲食界で、20年近く変わらずに第一線で活躍してきた三原光史氏が今回の主役。
新しくオープンした同店は、店名の通り香川県がコンセプトだ。それはメインシェフ三原氏の生まれ故郷である香川県から由来している。香川で育った彼に、どんな幼少期を過ごしたか伺うと「よく姉とお菓子作りをしていました。作ったクッキーを学校の友達に配って喜んでもらえると嬉しかったですね」と語る。料理への興味はこの頃から持っていたそうだ。調理専門学校卒業後は、大阪にあるイタリアンレストランなどで約5年間修行を積む。その後、海外で自分の腕を試してみたいという長年の夢を実現させるべく単身渡米し、在シカゴ日本国総領事館の公邸料理人として2年半に渡り任務を全うした。
競争の激しい香港の飲食界を生き残った
来港したのは2005年、培ってきた確かな技術をひっさげ、香港出店プロジェクトにシェフとして参加したことが、三原氏にとって大きな一歩となった。その後は、数々の飲食店立ち上げに携わり、香港の飲食界で確実にその存在感を持つように。近年では、香港で幅広く飲食業を手がける「PONG Group」に見初められ、将軍澳に「鉄板焼き 三原」や、今回の新店「Trattoria Kagawa by Mihara」をメインシェフとして手掛けるようになった。
「どこもやっていないことに挑戦したい」これが氏のモットーだ。新店のコンセプトである、香川県の食材を使ったアイデア溢れる料理の数々が、シェフのオリジナリティを感じさせる。香川と言えば小豆島のオリーブ、さらにはオリーブオイルが有名だ。これを使った同店の名物料理「バーニャカウダ」には、香川の太陽をたくさん浴び、元気に育った野菜が添えられサーブされる。
また、イタリアの庶民食「トリッパ(ハチノスのトマト煮込み)」は11時間丹念に煮込み、手間暇かけて作られたもの。そこに日本地鶏の弾力ある黄身が特徴の卵を乗せ、イタリアンに日本の要素をプラスした。そのほか、上述の特産オリーブを肥料に育った和牛肉は、赤身が強く引き締まった食感が香港人客にうけているという。
素材だけじゃないプラスαが鍵
「どの料理にも、素材に合うオリジナルのソースを作り、サーブしています」と自身のこだわりについてシェフは語る。新鮮な素材を使うことは大前提だが、主役の素材がもっと活きるように、脇役のソースにさらなる労力を惜しまないところから、シェフの細やかな心配りを感じることができる。
最後にシェフに今後の目標を伺うと「既存の店舗はもちろん、この新店を軌道に乗せていきたいですね。年内にはさらなる店舗拡大の予定もあります」と力強く答えてくれた。日本人シェフ一人のみという責任重大な環境下で、それをあえて跳ね返し自由な発想で新しい料理を生み出していくシェフとレストランの今後が楽しみでもある。
Trattoria Kagawa by Mihara
G/F, 18 Ship Street, Wanchai
www.facebook.com/trattoria.kagawa
(852)5394-3690