特集:春だ!長洲に渡ろう!2

2017/04/03

長洲のテッペンから、遠く香港を望む

小さな島、長洲を歩いてみよう!

-Cheung Chau Map2_586-01

長洲には北側と南側にハイキングコースがある。「ハイキング」とは言っても、小さな島のこと、本格的な装備などなくても「お散歩」の延長的な気分で登れてしう。まずは北へ行ってみよう。目指すは長洲のテッペン、標高97メートルの「北眺亭」だ。

長州 長洲埠頭から港の船溜まりに沿って海鮮料理店が集まる北社海傍街を北へ。バスケットコートを過ぎると観光地の賑やかさは消え、静かな田舎道の風情に変わる「長貴路」を道なりに進んで行けばすぐ左手に海が。港ではなく「海」。指呼の先に対岸の大嶼山(ランタオ島)を眺めながら行く、波打ち際の遊歩道は快適そのもの。もとより自動車のない島のこと、開放的な気分ですいすい歩けてしまう。道なりに行くと、波内際に降りられるポイントが。ここを素通りしてしまう手はない。少し早いがこの「小さなビーチ」で暫し休憩だ。大嶼山・芝麻半島との海峡を行き交うフェリーやマオとを往復する高速船を眺めているだけで、いつまでも飽きない(個人的感想ですが…)。夏なら泳ぎたくなってしまうだろうが、ここには海水浴場ではない。おそらく流れが速いとか、急に深くなるとか…、ともあれ裸足になって波と戯れる程度にしておくべし。
さて、長貴路に戻り、先へ。しばらく行って「桂濤花園」という低層高級住宅地を過ぎると道は右手の坂道へ。道の名も「長北路」へと変わる。しっかりと分かりや
すい看板と道しるべがあるので見落とす心配はない。「長貴路のこの先には何があるのかな?」と好奇心で行ってみたが、すぐに行き止まりで何もない。「無駄足」でした(笑)。

長州 長貴路の快適お散歩気分から一転、長北路は上り坂が続く。たいした勾配ではないのだが、続くのだ…。木々に覆われていた道はいつのまにか開け、右手に海の景色が見えて来る。坂道と日射しで暑い。やがて左手に折り返して登る径が分かれ出ているが、これはレーダーに向かう道なのでスルー。そのまま登って行くと今度は手すり完備の階段登り口があるので、こちらへGO!だ。階段は急だが、手すりのおかげでなんとか上へ。石畳に整備された道を行くと、やがて「東湾仔」に向かう道と岐する。東湾仔方面の道は平坦で魅力的だが、ここはもう一踏ん張り、登りの続く階段へと折り返す。と、ここからが正念場。階段がキツイ! と、汗を拭き拭き行くと視界は左右とも開け、「北眺亭」の屋根が見えてくる。着いたのだ。さすがに眺望の素晴らしいこと!しばし写真を撮るのも忘れて(言い訳ではありませんが…)グルリと360度見渡してしまう。ことに北東の方角、岬に挟まれた小さなビーチ・東湾仔越しに望む香港方面の眺めはまさに「絶景」。快晴に恵まれたこの日は10km離れた香
港、九龍まではっきり遠望できる。IFCビルは香港島の陰で見ることはできないが、西九龍のsky 100は、あたかも九龍半島の目印として置かれたかのようにしっかりと確認できるではないか!
かくして流した汗は報われ、この特集の冒頭15ページを飾るに相応しい会心の一枚を撮ることができたのだった(やっと写真のことを思い出す)。

古蹟【石刻】

埠頭から「長洲のくびれ」東湾路を真っすぐ東側へ歩くと、そこはビーチ。東湾ビーチだ。夏、というより日射しが強くなり始めれば、夏を待たず週末のビーチは若者グループや家族連れ、休日のヘルパーさんたちで賑わう。泳がずとも、開放的なビーチは歩いているだけでも気持ちいいものだ。(ビキニのお姐さんを眺めているわけではありません!)

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このビーチを右手(南東)に行くと島で唯一のホテル「Warwick Hotel」がある。冒頭で触れた、青銅器時代のものと推定される「石刻」はこのホテルの足元にある。1970年に発見され、香港政府から「法定古蹟」に指定されたのは1982年のこと。以降ガラスケースで覆われ大切に保存されているが、それと知らなければ気づかないほど目立たない存在だ。古代人が海を鎮め、航海の安全を祈って刻んだこの地味な石は、太古から海と密接な生活がここにあったことを物語る。約3000年の時を経てこの石はなお、海を見つめている。

巨岩・奇石を巡る回廊【小長城】

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「石刻」からヘリポートの傍、1996年アトランタオリンピックの金メダリスト李麗珊を育てた「長洲滑浪風帆中心(Cheung Chau Windsurfing Centre & Outdoor Cafe)」を抜けると、ビーチの名称は「東湾」から「観音湾」へと変わる。ここから山側に少し登ったところにこの湾の名前の由来となっている「観音古廟」がある。が、今回の目的地はここではない。険しい海岸沿いに巨岩・奇石を巡る径、「小長城」がここから始まるのだ。起点となる道の分かれ目には詳しい案内プレートが設置されているので、まずはこちらでコースを確認しておこう。

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 観音古廟のあたりの地形は谷。まずは、湿気が多くうっそうと茂った樹々の中の薄暗い階段を登って行く。平坦な道になったところで左手の視界が開ける。視線の先は先ほど歩いてきた東湾の全景だ。穏やかな湾を見渡すこの位置はかなりの急斜面に造られた道に立っていることが感じられる。先ほどまでの薄暗さから開放され清々しい気分もまたひとしおだ。

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狭い小道を進むと見上げる斜面に顔を出す巨大な岩、奇妙な形の岩があちこちに見られる。どれも波による浸食、風化を受けていることが遠目にもわかる。今から1万年ほど前の海水面は今よりかなり高かったと聞いたことがあるが、こんなところまで海だったのだろうか?と、想像はふくらむ。崖下の海際にも波で丸くなった巨大な岩が撮影ポイントとなっている。

 

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