国際空港のあれこれ特集2:空港のことならこの人に訊け!

2016/03/07

空港のことならこの人に訊け!
空港施設に関しては、空港で勤務している方に訊いてみるのが一番!
ということで、日本航空の旅客サービスを担当する水谷さんと、日本航空香港国際空港所長 トーマス・ウーさんにお話を伺った。
空港で働いているからこそ知り得る空港情報など、知りたい事がいっぱい!
まずは水谷さんに空港での業務について聞いてみよう。

水谷純さん日本航空 香港支店 水谷 純さん
JAL 香港支店
旅客サービスセクション
総務セクション
アジア・オセアニア地区マネージャー
水谷純(みずたに・じゅん)さん
成田国際空港、関西国際空港、本社空港企画部を経て、2013年より香港国際空港にて旅客サービスを担当。また、総務部、アジアオセアニア地区の空港企画部としても世界を舞台に活躍。休日は、バスに乗り香港内を散策したりランニングに出かけ汗を流す。

空港の現場で働かれている日本航空(以下:JAL)の皆さんの業務内容を教えてください。
現在日本からの駐在員は、旅客、整備、オペレーション、貨物、客室担当が空港で勤務しています。旅客業務では、搭乗手続きのほか、ラウンジや機内食の品質管理、搭乗ゲートの業務等お客さまに直接関わるサービス業務を空港で遂行しています。香港では、台風や大雨の影響で仕事が休みになることがありますが、空港は、悪天候の時こそ正念場。泊まり込み覚悟で出社しています。

手荷物ベルトシステム大変なお仕事ですね。
香港国際空港のここがすごい!という点を教えてください。
航空業界の格付を行うスカイトラックス社の調査において、ベストエアポート賞で常に上位を獲得している点でしょうか。昨年は4位でしたが、以前は何度も1位を獲得していたようです。
その他、お客さまには見えない部分のお話になってしまいますが、香港国際空港で使用している手荷物ベルトシステムは、世界でもトップレベルだそうです。お預かりする手荷物に添付する1枚1枚のタグにバーコードのほか、ICチップが埋め込まれているため、荷物を飛行機に搭載する場合もスキャナーでICチップを読み取ることができ、他空港が手作業で確認する作業も瞬時に管理されます。このシステムは世界中で注目され、各国から多くの空港関係者が視察に訪れているようです。

JAL機内食知りませんでした。世界的にも優秀な空港なんですね!
ところで、JALの機内食について教えてください!
献立はどのように決めるのですか?またどこで作られているのですか?
機内食専門の日本人シェフと会議を踏まえた上で決定しています。ビジネスクラスでは和食・洋食をご用意し、日本の食材をできるだけ利用することにこだわりをもち、毎月試食を行うとともにお客さまや客室乗務員からのフィードバックを元に改善をしています。
製造は、空港内にある機内食工場で行っており、上空での味覚の変化や飛行機の機種によって加熱力が異なる点などを考慮しながら慎重に検食をします。限られた空間の中でも美味しくお召し上がりいただけるようさまざまな工夫をしています。

なるほど。私たちの知らない細かな配慮が詰まっているのですね。食事といえば(笑)、香港国際空港内でオススメの飲食店を教えてください。
個人的には、第1ターミナル内の出国審査場通過後にある「PIZZA EXPRESS」がオススメです。ピザは焼きたてで美味しく、外の眺めも良いのでランチタイムによく訪れています。社員の間では、第2ターミナル内にある「Windows Café(世窗茶餐廳)」が人気ですね。ローカル系メニューを揃えていますが、中でもポークチョップライスは、食べてみる価値ありだと思います。

他に空港内でオススメの穴場的施設はありますか?
第2ターミナルの映画館脇から上がることのできる展望デッキは現在閉鎖中のようですが、開放時には飛行機の離発着や空港全体を見渡すことができ、飛行機を撮影している方もいらっしゃいます。また、飛行機の離発着をもっと間近で見たいという方には、公共バスで行ける空港の最西端の整備工場付近もオススメです。

ターンテーブルJALではラウンジの場所が変わったそうですね。新しいラウンジについて教えてください。
昨年12月よりカンタス航空が運営するラウンジをご案内しています。北側出国審査場を通過後すぐ右に位置し、チェックインカウンターから最短の距離でアクセスできます。
約300の座席数を設けた明るく開放感のあるラウンジ内には、バーテンダーによるカクテルやビールなど豊富なドリンクメニューが味わえるバーカウンターやお食事コーナー、12室のシャワールームなどをご用意しています。ラウンジの和食メニューは、JAL社員がメニューを提案しカンタスラウンジのシェフと会議をして決めています。和洋食の幅広いメニューを提供し、定期的に新しいメニューへ入れ替えることでご満足いただけるよう取り組んでいます。

新しいといえば、4月からボーイング787型機が新たに導入されるそうですが、どのような飛行機なのですか?
今まで香港=成田路線は、ボーイング767型機で運航していましたが、まもなく新型の787型機に変更いたします。787型機の場合、一般的にはエコノミークラスの配列を1列9席(3-3-3)とすることが主流ですが、日本航空では1列8席(2-4-2)の配列に変え、1席少なくすることにより席幅を広くご提供し、快適な空間をお届けします。
また、電動で明るさをコントロールする大きな窓や優しい色で機内を照らすLED照明、湿度・気圧の設定がより快適になっていることなどが今までとは違うポイントです。さらに、世界初となる、機内で電子漫画が読める「SKY MANGA」を搭載したエンターテインメントシステムも充実のラインナップで魅力満載です!どうぞご期待ください。

丁寧にお答えいただき、ありがとうございました!

「空港のベテラン」日本航空香港国際空港所長に聞く

JAL啓徳空港(カイタック空港)と香港国際空港(チェクラップコク空港)の違いについて
1998年まで香港の空の窓口として開かれていた啓徳空港は、政府機関である民航局(Civil Aviation Dept.)が管理・運営を行っていました。一方で現在の空港は民航局が管理面を、香港国際空港が運営面を担っています。
啓徳空港はビクトリアハーバーに面した空港だったため、地形的な理由から拡張や改修工事などは難しい空港でした。一方で香港国際空港は商業施設などが充実していますし、2015年の年間利用者数6,800万人の内、乗り継ぎ旅客が約50%を占めているなど、アジアの巨大ハブ空港としての役割を期待されていることを実感しています。

啓徳空港啓徳空港の思い出
人員や機材が限られる中で人も会社も助け合いながら働いていました。施設も少なかったため、働く者同士とてもタイトなコミュニティだったのを覚えています。啓徳空港の最終営業日である1998年7月5日は皆夜遅くまで働き、次の日の香港国際空港オープンに向けてハード面、ソフト面、人員全てを移動させる準備をしていました。最終日に啓徳空港の灯りが消された時は、香港空港界の歴史の一幕が下ろされ、新しい歴史が歩み始めた感覚がしたのを覚えています。

Thomas Woo(トーマス・ウー)さんThomas Woo(トーマス・ウー)さん
1970年代入社、現日本航空香港国際空港所長。フライトの運航管理、旅客、貨物、整備、機内食、客室乗務員の管理など担当業務は多岐に亘る。それぞれの分野で働くスペシャリスト達を纏め上げ、日本航空としての総合力を上げることを日々心がけている。スムーズで安全、かつ定刻の運航が目標。

 

 

 

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