路線バス特集5・バスマニアの写真コレクション

2015/07/15

香港 バスマニアMatthewさんのフォト・コレクションから
1983年まで香港はイギリス産のバスしか輸入できなかったため、第2次世界大戦の後すぐにアメリカ軍から流れてきたトラックバスを除くと、香港のバス市場の初めはダイムラー、デニス、ガイ、レイランドなどのイギリス系企業のみがシェアを占めていた。スコットランドのアレキサンダー社製のボディーが取り付けられていたとはいえ、最初のイギリス産ではないバスと言えるのはMercedes-Benz O305という2階建てバスで、それに続いて30年の間に、日本企業の三菱やいすゞを含めた、イギリス以外の各国の製造企業が香港市場に参入してきた。しかし、これらの会社のバスは200台以上生産されることは一度もなく、300台、そして500台を大きく超えるバスは全てイギリス製であった。

無料路線バス

デニスダーツ、香港最後の非フランチャイズの無料ー路線バス。写真は北角で撮影。

ダイムラーフリートライン

113ルートを走るチャイナモーターバスのダイムラーフリートライン。オイマンバスターミナルまでのルートは道路工事のため度々ルートは変更されている。写真は1997年に撮影。

チャイナモーターバス

初期のチャイナモーターバスのバス。エアコンなしだが、座席がとても居心地が良い。現在、スタンレー行きのバス260のルートをよく走行していた。

KMCのダイムラーフリートライン

KMCのダイムラーフリートライン。窓が高く設置されていて大人でもほとんど中から外の道の景色を見ることができな。これが原因で香港に人々からはあまり人気がなかった。

チャイナモーターバスの空港バス

A20,チャイナモーターバスの唯一運営する空港バス。セントラルと啟德(カイタック)空港間を循環。1998年に啟德空港の閉鎖により路線は廃止された。もバスもまだ残っている。

エアコン付のレイランド・オリンピアンバス

KMB(九龍巴士)から出たエアコン付きのレイランド・オリンピアン(Leyland Olympian)バス。

Bus22バス好きが高じてバス会社に。
あなたの知らないクロスボーダー・バスの世界
Busman Shiu氏日本人読者の皆さん、こんにちは!私はBusman Shiuと申します。まずは声をかけてくださったPPWに感謝いたします。今回、初めてメディアから寄稿を依頼され、たいへん嬉しくもあり、また誠に光栄に思います。私は今年27歳です。香港職業訓練局(IVE)高級運輸および物流管理認定コースで学び、その後UK Leeds Metropolitan Universityで運輸物流管理学士号を取得、卒業しました。現在、香港最大の私営クロスボーダーバス会社の主任補佐として、バスターミナルでのチケット業務、人事、カスタマーサービス業務等に携わっております。幼い頃、バスや乗り物の虜となり、在学中はもちろん社会人になってからもずっと乗り物に夢中でした。今こうして自分の好きなことを仕事にして、得意分野を役立てることができ、とてもうれしいです。幼い頃からバスのファンで、その巨大なボディと多種多様な外観デザインに魅了されてきました。バスに乗車するのは好きでしたが、一番好きだったのは父のトヨタESTIMAに乗ることでした!バスマニアですから、いつもあちこち出かけてはバスの写真を撮影して、ネット上の自分のフォトギャラリー(http://www.fotogallery.hk/user/busman)に写真をアップしたり、趣味を同じくする仲間と個性的なバスをチャーターして観光しています。ただ一つ、一般のバスマニアと違うのはバスの模型や部品のコレクションはしていないことです。でも、バスのミニカーを香港仕様のデザインに変えるのは好きです!

クロスボーダーバスの概説
クロスボーダーバス香港クロスボーダーバスサービスは、中国香港を結ぶ主要な交通手段。乗降場所の多さ、チケットの安さ、路線の多さ、豊富な便数、バスのクオリティの高さが魅力だ。ただ一つの難点は出入国審査場を通過する際に乗客はすべての所持品を持ってバスを降りなければならないことだ。1980年初めてクロスボーダーバスを運行する会社が設立されて以来、香港と中国の住民、ビジネスマン、旅行客に便利で迅速な入出境サービスを提供してきた。主要な営業エリアは広東省一帯で都市ごとに路線を設定する直通サービスを開始。80~90年代、多くの事業者が市場のさまざまなニーズを見通してクロスボーダーバス会社を設立した。例えば、「通寶巴士」は台湾企業の需要に対応するため香港空港と東莞を往復する路線、「永順安巴士」と「華通巴士」は、香港に住む福建人向けに香港と福建省の都市を結ぶ専用路線を運行。所要時間は8~10時間だ。また、以前、ある会社では、香港と浙江省義烏市とを結ぶ超長距離路線も運行していた。かつては中山市に不動産会社が建設した大型住宅が幾つもあり、多くの香港人が不動産目的で中山市を訪れていた。そのため、「991巴士」が立ち上げられ、香港―中山市路線を専門に運行、運行本数も1時間1便ととても多く、香港人に頻繁に利用されていた。
貸し切りバス定期路線で見れば、大規模事業者はたいてい広東省一帯(深セン、広州、佛山、東莞、開平、江門、中山、台山、恵州など)をメインに路線を展開している。これらの地域は人口密度が高く、珠江デルタ地帯の経済的つながりも深いことから多くの企業が集結。そのため、常に一定の顧客がおり採算が見込めた。また、所要時間も約3~4時間とそれほど長時間ではないため、中国と香港を頻繁に行き来する人たちにとっても利用しやすい。移動中の車窓からは、賑やかな街、のどかな田舎町、農村など異なる地域の美しい風景を眺められることから、小旅行を趣味とする人たちにもこれらの路線が好まれている。同時に、多くの小規模事業者もこれらの路線の競争に参入したが、資金源が限られるため、1~2路線のみの運行となっている。例えば、「國旅」では九龍-広州路線、「湛港」では香港-湛江の長距離路線、「汕頭帝豪酒店」では香港-汕頭帝豪酒店の路線のみを運行。定期路線以外では、貸し切り観光バスやクロスボーダースクールバスを提供する事業者もある。


車両のクオリティー

流行に合わせたデザインバスマニアとして、日本の方々に香港の観光バスのクオリティーと型式について紹介しよう!日本では、バスは国産の三菱、いすゞ、日野、日産ディーゼルのものがほとんど。しかし、香港ではバスを生産していないため、ディーラーを介して各国のバスが導入されている。1990年代のクロスボーダーバスは主に日本の三菱、いすゞが使われていた。幾度かこれらのバスに乗って中国のデコボコ道走行を体験したことがあるが、すでに10年ほど使用されたにもかかわらず日本製観光バスは依然として力強く走ることができた。とても柔らかいサスペンションで、予想もしなかったことだが車内からは“本当に”雑音が出ない。これほどのクオリティーは、今でも多くの欧州バスメーカーにはできないことだ。日本の車両製造技術は賞賛に値する。
現在、クロスボーダーバスのメーカーは主にドイツの「マン(MAN)」とスウェーデンの「スカニア(SCANIA)」が使用されている。わずかではあるがスウェーデンの「ボルボ(VOLVO)」やイタリアの「イヴェコ(IVECO)」、ドイツの「メルセデス・ベンツ(MERCEDES BENZ)も使われている。1990年代はSCANIAのエンジンをスペイン「IRIZAR」の車体に載せたバスが主力だった。外観は当時の流行に合わせたデザインで、内装も豪華、加えて運転手にやさしい運転席空間と機器配置で、乗客・運転手共に好評だった。クロスボーダーバスのシンボル的な存在だ。多くのメーカーのバスが使われるようになると、年式の古い日本式バスは次第に減少し使われなくなった。
バスの車内昨今、中国製の車体が国際市場に打って出ることが期待されている。ただ、デザインに工夫をこらしているが、快適性、堅牢性、材料と技術のクオリティーにかなりのバラつきがある。全てのメーカーで質の高いバスが製造されているわけではない。香港ではバスを製造していないが、香港の観光バス会社のために車体組立を専門とする車体製造工場が3箇所ある。香港の運行環境に合わせた設計でバス会社から高い評価を得ている。また長年にわたるノウハウがあり、各バス会社のリクエストに応じた改造が可能なことから、そのクオリティーの高さも認められている。どこで製造されたバスかにかかわらず、快適さは日本製観光バスにも劣らない。中国国内の長距離路線に非常に適している。さらに、利用者がいつでもきれいなバスに乗車できるよう、またバスの旅を快適に過ごせるよう、各社定期的に新型車両を導入している。

 

Busmanさん オススメ路線
日本人に一度は乗車してもらいたいクロスボーダーバス路線を紹介。

❶香港-広州:広州は広東省の大都市で、たくさんの観光スポットがある。例)長隆野生動物園、広州タワー、沙面、北京路歩行街など。クロスボーダーバスで約3時間、新しくできた
「沿江高速度道路」を走行するため、列車よりも気持ちのよい風景を楽しめる。通常料金はHKD80~100で、広州行の最もリーズナブルな交通手段だ。

❷香港-佛山:佛山は広州のとなりだが、より多くの文化的・歴史的価値のある観光地がある。例)祖廟、西樵山、三水荷花世界、南風古灶など。所要時間約3時間半~4時間。料金はHKD約100~120。

❸香港-深セン:日帰り旅行なら深センがオススメ!深センと香港を隔てるのは一本の河川のみ。クロスボーダーバスは皇崗、深セン湾、沙頭角、文錦渡などの各口岸に直通。運行本数も15~30分に1本と多い。RMB100もあればバスに乗って深センでのショッピングや食事、各種エンターテイメントを満喫できる。

❹香港-深セン空港:香港クロスボーダーバスは主に広東省一帯をカバーしている。中国の他の省に行きたければまず深セン空港行きのクロスボーダーバスに乗ろう。その後、国内線の飛行機で広西省、江蘇省、四川省、浙江省など中国各地へ行ける。便数も多くチケットも安い。多くの香港人や国外の旅行客に人気の方法だ。

 

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