Key Woman 旬鮮海宝香港店社長の久和恵子さんにインタビュー

2019/03/06

「会社員」から「社長」へ!
持ち前の起業家精神と粘り強さで、香港に美味しい和食を届ける!

会社員生活に終止符を打ち、ここ香港で、飲食店の社長として新たなキャリアをスタートした久和さん。未経験の業界に飛び込み、手探りでかたちにしてきたという、その経緯についてお話を伺った。

6. Ms.Kuwa

久和恵子さん
香港人のご主人との出会いにより、2007年より香港での生活をスタート。2017年にOL生活に終止符を打ち、愛知県東海市に本店を持つ海鮮料理専門店「旬鮮海宝」の2号店である香港店の社長を務めることとなり、現在に至る。

 

日本ではどのようなお仕事をされていましたか?

1. 米国

約3年間、JALの国際線グランドスタッフとして中部国際空港で働いていました。不規則な生活でしたが、1便1便に全力投球し続ける活気に満ちた職場で、心から楽しんで働いていました。

大学時代に米国で出会った香港人の彼と暮らすため(2009年に結婚)、米国での就職も考えたのですが、この仕事が好きでしたし、彼がいずれ香港に戻る可能性が高いこともあり、そのタイミングまでは日本で働くことにしました。

 

 

香港にいらしたきっかけを教えてください。

2. JAL03

彼が香港に戻ったのが2007年。「生活基盤が整うまでは待って欲しい」と言われましたが、ちょうどJAL香港支店でスタッフ募集の話があり、「これはチャンスだ」と思い、強引に引っ越してきました(笑)周囲の心配をよそに、未知の世界に飛び込むのが楽しみでしたね。

 

 

香港の生活はいかがですか?

慣れるまでに3年はかかりました。当時は、今のように日本のものが簡単に手に入らなかったので、そこでも苦労しました。なので、一時帰国のときは買い物の嵐!家族からは「爆買い」と恐れられました(笑)一番大変だったのは、香港生活のスタートと同時に、彼と彼のお兄さんと3人暮らしを始めたこと。当時、私とお兄さんは反りが合わず、毎日のようにケンカをしていました。今では仲良くしていますけどね(笑)現在は、香港のとにかくエネルギーに満ち溢れていて、出る杭はどこまでも出ていけみたいな自由さが好きです。

 

 

どのような流れで、現在のお店を立ち上げることになったのでしょうか?

実の兄が経営している、愛知県東海市の海鮮料理専門店「旬鮮海宝」の2号店をどこでオープンするか模索している中、「どうせ挑戦するならば海外で!」という話になり、私の住む香港でオープンすることになりました。周囲からはいろいろと言われましたが、少しも迷いはありませんでした。

家族や親戚が自営をしている人ばかりなので、以前から「私もいつか起業したい」という、漠然とした思いはありました。何より、若い頃に友人を病気や事故で亡くして以来、「人生は一度きり」と痛感しており、「思いっきり謳歌したい!」といつもエネルギーが有り余っている状態だったので、早く何かに打ち込みたかったんです。

副業的にチャレンジしていたときもあります。ただ、起業までは至らず、どうしたものかと思っていたので、兄から香港店の構想を聞いたときは、「来るべくした来た!」と思い、すぐに行動に移せました。

 

 

立ち上げまでに大変だったことはありましたか?

とにかく何もかもが大変で、ハプニングの連続でしたね(笑)実は、雇われ店長として関わると思っていたので、かなり悠長に構えていました。が、蓋を開けてみると、香港店の経営は全て私に一任!香港における社長を務めることになったんです!これまで会社員の経験しかなく、飲食業界の経験はアルバイト程度だったため、何もかもが手探り状態でした。食器を何枚用意したらいいかもわかりませんでしたから。ただ、コストを抑えたかったこともあり、コンサルタントに頼ることなく、全て自分たちだけで進めました。

業者や行政の方々との意思疎通が一番大変でしたね。言葉の壁はもちろん、契約書の解釈の違いなんかもたくさんあり、驚かされることもしばしば。特に、ライセンス取得に至る過程は、ここには書ききれないほどの苦難がありました。プロだからと全てを鵜呑みにするのではなく、違和感を察知する力と、それを見過ごさず検証する力が、物事をスムーズに進める鍵となります。だからこそ、一度信頼を得るととても固い絆になることも知りました。

 

 

現在はいかがでしょうか?やりがいを感じる瞬間などがあれば教えてください。

やりがいを感じるのは、シンプルに、お客様が笑顔で帰ってくださったとき、リピートしてくださったときですね!嬉しさが込み上げてきます!

香港に「海宝」がオープンして、丸1年が経ちました。開店当初から通ってくださる常連さんも多く、他店にはない、「海宝」に求められているものを形にできるようになってきたと思います。最初は、1日にご来店くださるお客様が1桁という日が続き、無我夢中でチラシ配りに繰り出す日々でした。今は、お客様の方からいらしてくださり、心から感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 

普段、どのようにリフレッシュしていますか?

主人と一緒に青空の下でビールを飲むのが至福のときです。お互い経営者なので、同じ悩みを抱えていることも多く、相談し合ったりしています。あとは、漫画が大好きなので、ネットであらゆるジャンルの漫画を流し読みしたりしてます。

 

 

今後の目標をお聞かせください。

メニューに載せている目標を真摯に貫いていくことです!至近の目標に関しては、季節ごとのメニューを作ること。現在も仕入れ状況により毎日メニューをアップデートしていますが、今後は、旬のものだけをピックアップしたページを設けて、お客様に日本の季節の移り変わりを感じていただき、メニュー選びを楽しいひと時にしていただきたいです。

本店から受け継いだ目標をメニューの1ページ目に掲載している「お客様が笑顔で帰路につけるよう居心地の良い場所づくりを目指していきます」

本店から受け継いだ目標をメニューの1ページ目に掲載している「お客様が笑顔で帰路につけるよう居心地の良い場所づくりを目指していきます」

 

 

香港で仕事をすることについて。

香港には、「出社後に朝ごはんを食べる」「15分以内は遅刻と見なされない」等の暗黙のビジネスルールが存在します。いわゆる勤務態度の良し悪しよりも、結果主義の人が多く、これは文化の違いとして黙認しないといけないと思いました(笑)

また、仕事の役割分担もハッキリしてます。役割を明確に理解させることで、各自の領域は完璧にこなそうと努力しますが、それ以外は、ちょっとした頼みごとであっても、不満の元になり、プライドを傷つけかねません。それを前提として知っているかどうかで、社内での接し方、社員教育の仕方は違ってきます。

そして、社長には社長の役割があるということを実感しました。今になって、前職で行なわれたコーチングやマネジメント講座が役に立っています。当時は、私には無縁だと思ってましたが、こうして活かされるときが来て、人生は本当におもしろいと感じました。

本店店長・中島さんと社員一同

本店店長・中島さんと社員一同

 

 

最後に一言どうぞ!

そろそろ春のお酒が入ってきます。「海宝」は、日本酒をグラス提供している、珍しいお店です。いろんなお酒を飲み比べていただけますよ!また、「桜海老のかき揚げ」や「ホタルイカの酢味噌和え」等の、春メニューも登場します。ぜひ美味しい日本酒とともに、日本人料理長が作り出す、美味しい食事を召し上がりにいらしてください!

鮫の心臓のお刺身

鮫の心臓のお刺身

 

 

5. Mr.Onibuchi料理長・鬼淵さんに伺った!

ずばり、久和さんはどんな方?いつも明るく、着物+割烹着姿がよく似合う女将です。広東語もペラペラで、香港人からも絶大な支持を得ています。お客様に提供する大事な食事を、よりよいものにしてくれるのが恵子さん!そんな女将の割烹着姿を見に来ていただけたら嬉しいです(笑)

 

 


7. 内装01

旬鮮 海宝
住所:8/F., Circle Plaza, 499 Hennessy Rd., CWB
電話:(852)2788-0522
時間:火~土 18:30~LO 24:30、日 18:30~LO 23:30、月休
フェイスブック:旬鮮 海宝 ‒ 香港店

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