中国法律コラム35「三期期間にある女子従業員の待遇変更について」広東盛唐法律事務所

2018/12/27

時々、クライアントから次のような問い合わせを受けることがございます。

「妊娠をした女子従業員は、長く休暇を取得するため、会社の業務に影響をきたしてしまう。代替人員の手配などで会社もコストがかかるため、妊娠した女子従業員の賃金を減額することはできないか?年末のダブルペイや賞与を減額できないか?」

今回のコラムでは、妊娠期間、出産期間、授乳期間(中国では、これらを併せて“三期”と呼んでいます)の待遇を変更することができるのか?という問題について解説させていただきます。

 

一、問題提起

“三期(”妊娠期間、出産期間、授乳期間)にある女子従業員について、

  1. 賃金を減額することはできるか?
  2. 労働契約を解除できるか?
  3. 産休から復帰した後、職場を調整できるか?

 

二、賃金を減額することはできるか?

中国の労働法令によりますと、女子従業員の産休期間において、会社は賃金や福利待遇を従来どおり支給しなければならないとされています。

つまり、基本給及び各種の手当/補助(職場手当、勤続年数手当、食事手当、住宅手当など)は、毎月従来どおり支給しなければならず産休期間中にあることを理由に賃金を減額したり、ボーナスの査定を悪くすることはできません。

もっとも、産休期間中の女子従業員は、残業をしたわけではないので、残業代や、みなし残業手当などは支給する必要はありません。

 

三、労働契約を解除できるか?

(1)“三期”にある女子従業員の利益を保護するため、法律は、“三期”にある女子従業員の労働契約を解除してはならないと定めています。“三期”にある女子従業員は、法により特別に保護されているため会社は随意に労働契約を解除することはできません。

(2)但し、労働契約法によると、会社は以下の方法によれば“三期”にある女子従業員との労働契約を解除することができます。

  1. 協議合意による労働契約の解除
    双方が労働契約解除の条件につき協議により合意した後、書面の協議書を締結し、労働関関係を解除する。
  2. 使用者による予告を要さない解除
    “三期”にある女子従業員が、労働契約法第39条に定める状況の一に該当した場合(就業規則に著しい違反をした場合など)、会社は直接解雇することができます。
    この場合は、経済補償金を支払う必要はありません。但し、“三期”にある女子従業員は法により特別に保護されているため、会社は十分な証拠を持って、労働契約法第39条に定める解除事由に合致することを証明する必要があります。立証責任を果たせないときは、違法解雇と認定されるリスクがあります。

 

四、産休復帰後、職場を調整できるか?

(1)中国において、職場は、労働契約中に約すべき重要事項の一つとされており、労働者の密接な利益に関するものであるともいえます。原則として、使用者は一方的に職場を調整することはできません。

(2)但し、次の4つの要件を満たせば、職場調整をすることができるとされています。

  1. 職場調整が、使用者の生産経営に必要である
  2. 職場調整後の賃金水準が、元の職場と基本的に同等である
  3. 侮辱性、懲罰性を有さない
  4. その他法律・法規の定めに反しないこれらの条件を満たせば、使用者が適法に経営自主権を行使したものとみなされますので、労働者の同意を得ることなく、一方的に職場を調整することができます。

(3)“三期”にある女子従業員の職場を調整する場合、上述の職場調整の4つの要件を満たすかを慎重に検討し、かつ、該当従業員とコミュニケーションをとり、会社の職場調整を受け入れるように促したうえで、書面形式により同意を取り付けるようにすることがよいでしょう。

以上

 

 


盛唐法律事務所

広東盛唐法律事務所
SHENG TANG LAW FIRM
法律顧問
大嶽 徳洋 Roy Odake
行政書士試験合格
東京商工会議所認定
ビジネス法務エキスパート
Tel: (86)755-8328-3652
E-mail: odake@yamatolaw.com

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